IT業界の人であれば、WordPressという言葉を一度くらいは聞いたことがあるはずだ。WordPressはオープンソースのCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)の1つであり、数年前から根強い人気がある。

Googleトレンドで見てみても2005年辺りから上昇し、高い位置で推移をしている。この人気の背景には、コンテンツが管理しやすく、ITリテラシーがそれほど高くなくてもきれいでおしゃれなWebを作れることがあると思う。

WordPressやその派生プログラムであるテーマ(デザインをつかさどるプログラム)やプラグイン(個別機能をつかさどるプログラム)は数万単位で存在しており、これを組み合わせることで、かなりレベルの高いWebサイトを作ることができるのも魅力だ。また、PHPをマスターしてWordPressを理解している人であれば、比較的簡単にカスタマイズができる点も普及した背景にある。

そのWordPressであるが、奇しくも新型コロナウイルスの流行とともにトレンドが上昇している。以下のグラムの赤丸の部分がまさにそれだ。

さらに、W3TechsのCMSシェアを見ても以下の通り、全CMSの63%をWordPressが占めている状況である。しかし、注目していただきたいのは、その左側の全世界のWebサイトの中のシェアである。WordPressの全Webでの世界シェアは38.6%(2020年10月1日時点)であり、先月比で0.3%伸びているのである。実に、新型コロナウイルスの流行が始まってから伸び続けているのである。シェア40%を超えるのも時間の問題となってきた。

さて、ここからが筆者の深読みなのだが、このWordPressのトレンドとシェアの上昇がたまたま新型コロナウイルスの流行と重なっただけなのだろうか。外出禁止令でみんな自宅にこもってWordPressでサイトを構築していたからなのだろうか?多少は自宅にこもって新サイトを作った人もいるとは思うが、筆者の読みは違う。

筆者は吉政創成という創業10年のマーケティングオフィスを経営している。そのクライアントからの新規依頼内容の多くがデジタルトランスフォーメーション(DX)に関係するものであり、その基盤の一つのWebをWordPressで強化したいということだ。

アフターコロナで攻める会社の多くがDXをキーワードにしており、まずはWebからリニューアルしたり、新規Webを立ち上げたりしようという話なのだが、その際に社員でも簡単にコンテンツを管理できるものという要件が入っていることが多い。

現状のCMSにおいて、非エンジニアにとっては何と言ってもWordPressがダントツで使いやすい。Microsoft Office製品のようなイメージでコンテンツを作ることができるし、説明書を読まなくても直感的に使えるのが良い。有料、OSS含め主要なCMSをほぼ使ってきた筆者の感覚では、WordPressの操作性が頭二つ三つ抜き出ている。

また、総務部や広報部門が管理しているコーポレートサイトでは、更新するたびに申請書や審査が必要であるのが面倒ということで、コロナ後に新しいビジネスを迅速に展開するため、自分の部門が自由に作れるWebサイトがほしいというニーズも多い。これらの案件でも、IT部門ではなくビジネス部門の社員が簡単に利用できるということで、WordPressでの依頼をいただくことが多い。

総じて思うのがコロナ禍によって、時代の流れが一機に進み、DXやオウンドメディアの強化の波が一気に来ることで、より更新しやすいWordPressが採用されたという様相である。

さて、Web業界で次に来る波は次世代画像フォーマットだと思う。JPEGやPNG、GIFに代わる超軽量画像フォーマットへの移行が進むと思うが、シェアが高いWordPressを使っていれば救済ツールが利用できる可能性も高く、選択肢も多そうだ。

筆者はこのように考えるが、皆さんの意見はいかがだろうか?興味がある方はTwitterなどのSNSでご意見を述べられるのもよいだろう。

著者プロフィール

吉政忠志


業界を代表するトップベンチャー企業でマーケティング責任者を歴任。30代前半で同年代国内トップクラスの年収を獲得し、伝説的な給与所得者と呼ばれるようになる。現在は、吉政創成株式会社 代表取締役、プライム・ストラテジー株式会社 取締役、一般社団法人PHP技術者認定機構 代表理事、一般社団法人Rails技術者認定試験運営委員会、BOSS-CON JAPAN 理事長、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会 代表理事を兼任。