こんにちは。吉政でございます。

先日、興味深い調査データを見つけました。そのデータによるとと、公開されている日本語のCMSサイトの82.8%がWordPressで動いているとのことでした。このデータを見て、「まぁ、こんなものか」と思う方もいれば、「こんなに増えたんだ」と思う方もいるでしょう。

長年、Webマーケティングをしている筆者の肌感覚では納得する数字です。大手企業になるとMovable Typeの比率が増えるような印象がありますが、企業単位でみると、9割の企業でWordPressが稼働しており、WordPressが導入されているのが当たり前という状態になっているのではないでしょうか。

改めて考えるWordPressが企業のWebサイトに向いている理由

過去、いろいろな方がWordPressについて語っていますし、このコラムを読まれている方も多くの方がWordPressを知っていると思います。そこを敢えて、筆者の経験を基に、WordPressが企業のWebサイトに向いている理由4点を紹介します。多くの方が共感できる内容になっているのではないでしょうか。

(1)WordPress本体やプラグイン、テーマの開発が活発

企業で使用されるOSSとして重要なことですが、WordPress本体に加えて、プラグイン、テーマの開発も活発です。セキュリティ上の問題があってもすぐに解決され、新機能の開発や新しい技術への対応も早いです。また利用者数もかなり多いため、フィードバックも多く、OSSとして健全に運営されているのが良くわかります。

こうした背景から、企業はWordPressにおいて有用なプラグインやテーマを活用しやすいうえ、カスタマイズの工数やメンテナンスの工数も少なくなり、導入と運用の障壁が下がります。

(2)保守サービスが充実

WordPressを活用しているホスティングサービスはもとより、WordPressをベースにしたマネージドサービスで上場した企業もあります。最近では、大手企業でWordPressを中心に数十のWordPressサイトを統合管理するような事例も珍しくなくなってきました。

OSSであるWordPressは、ソフトウェア自体のライセンス料金が無料であり、開発も活発です。それに加えて、マネージドサービスが充実してくると、ますます企業は安心してWordPressを活用できるようになるのではないかと考えています。

(3)高速化が容易

高速化プラグインがフロントエンドを補強したり、OSSの高速CMS実行環境である「KUSANAGI」がバックエンドを高速化したりと、WordPressは高速化の仕組みが整っています。

高速化はGoogleが掲げるCore Web Vitalの重要な要素の一つです。つまり、高速化は検索順位を決める大きな要素の一つとなります。また、表示速度が速ければ、離脱率が減少したり、ページ閲覧数が増えたり、広告収入が増えたりというメリットもあります。

WordPressに限らず、全てのWebサイトに言えますが、コンテンツ量が増えると、検索順位が上がりやすい反面、表示速度が遅くなることが一般的です。WordPressは高速化技術も進化しており、実稼働ベースで月間数億PVのアクセスにも耐えられるようになりました。(稼働環境やチューニングにもよります)。

(4)更新しやすい管理画面

多くのCMSが更新しやすい管理画面になっていますが、WordPressはユーザー数が多く開発も活発なこともあり、個人的には一番洗練されていると感じています。表現の自由度も高いです。

また、管理画面も比較的高速で更新しやすいです。中には、1本のコラム公開さえ時間がかかるようなCMSもあります。

そして、当たり前ですが、更新しやすいWebサイトはコンテンツの更新量が増えます。その結果、検索順位も上がりやすくなり、PVも増えるため、企業としてはますますコンテンツを公開しようという動きになり、好循環が生まれます。そう考えるとCMSなら何でもよいというようにはならないですよね。

WordPress利用上の注意事項

続いて、今、WordPressに不満を持っている企業の方や、WordPressのサイトを新たに立ち上げる方に読んでほしい注意事項を書きます。

(1)バージョンアップの度に大きなコストがかかる場合

PHPのメジャーバージョンアップのように、本当にコストがかかる場合もありますが、プラグインやテーマのマイナーバージョンアップで高額な保守料金を請求される場合があります。これは、テーマの子テーマ化をしていないことや、メンテナンスをしやすいカスタマイズ手法を採用していない場合によって発生します。

もちろん、テーマによっては子テーマ化ができない場合もありますが、多くの場合できると考えています。子テーマはカスタマイズする部分を別ファイルで管理して、テーマの本体のみをバージョンアップしてメンテナンス工数を下げることができます。子テーマができないため、お願いしている業者が子テーマ化に対応していない場合は業者を変えたほうが良いかもしれません。

(2)ステージング環境の用意

WordPressを企業で本格運用する場合はステージング環境(本番に近い模擬環境)を用意してメンテナンスすることをお勧めします。業者に委託することで安価に実現できるケースもありますので、安全にメンテナンスや機能改修ができるように、ステージング環境の用意ができたほうが良いです。

(3)ユーザー管理

企業ユーザー向けに限った話しではないのでが、WordPressはユーザIDとそのユーザーが公開したコンテンツがひもづいています。退職者のユーザーIDをうっかり削除してしまうと、そのユーザーが公開してきたコンテンツがすべて消えてしまいます(ユーザーIDを削除するときにアラートが上がるので、うっかり消せないようにはなっています)。

餅は餅屋に

業者を選定する際に、デザインが得意なWeb制作会社とシステムの保守運用が得意な会社に分かれます。デザインはWeb制作者に依頼したほうが良いものができますし、システムの保守は保守会社に依頼したほうが良いと思います。

いかがでしょうか? 日本のCMSのシェアでWordPressが8割を取っていたので、改めての情報を共有しました。少しでも参考になる面があると幸いです。