信頼のおける友人のミスによってあなた自身が損害を被ったとき、一体どのように対処しますか?
大したことのない損害であれば笑って許すでしょうし、多少の損害を受けたとしても、逆に励ましの言葉を贈るのではないでしょうか。
これはクライアントとの付き合い方に通じるものがあります。
プロジェクトを進めていく上で、一番重要になるのは、クライアントとの信頼関係です。
信頼関係のあるプロジェクトでは、不測の事態によりスケジュールが遅延したり、スコープが拡大することがあっても、それが正当と認められるのであれば、許容してもらえます。
たとえベンダー側に落ち度があったとしても、それも含めて許容してくれることがほとんどです。
しかし、信頼関係がない、もしくはうまく醸成されていないとどうなるでしょうか。
言うまでも無く、責任の擦り付け合いに発展するでしょう。ちょっとした意思疎通ミスが大事に発展しかねない状況にもなります。
信頼関係を醸成する最も手早い方法は、クライアントの意思や考えに賛同し、自分とあなたは一緒なのだと思わせることです。
相手を喝破して、コントロール下に収める方法もありますが、相手と親しくないうちにやってしまうと、最悪の場合は交渉決裂になりかねないので、まずは相手に賛同してみましょう。
これによって、クライアントとあなたの間にはラポートを確立することができます。
※ラポートとは、相互理解による調和がとれている状態を指します。
ラポートが成立していれば、ネガティブなシチュエーションでも問題なく意思疎通することができますが、ラポートが成立していなければ、そうはいきません。
(ラポートが成立している)
Aさん「御社の業務には改善する余地があると思います。」
Bさん「外部の人間にそんなことが分かる訳がない。」
Aさん「なぜそう考えるのですか? 何か以前にあったのですか?」
Bさん「実はこんなことがあって・・・・・」
(ラポートが成立していない)
Aさん「御社の業務には改善する余地があると思います。」
Bさん「外部の人間にそんなことが分かる訳がない。」
Aさん「なぜそう考えるのですか? 何か以前にあったのですか?」
Bさん「そんなことを話す必要はない。」
経験があると思いますが、知り合いレベルの人には話さずとも、親友レベルの人にはつい話してしまうことってありませんか?
上記の例はやや極端ですが、仲良くなってしまえば、色々な情報も引き出し易くなります。
著者紹介
吉澤準特 (ヨシザワジュントク)
外資系コンサルティング会社に勤務。守秘義務を破らない範囲でIT業界の裏話をつぶやきます。ファシリテーション、ビジネスフレームワーク、人材教育など執筆多数。日本能率協会、秀和システムそれぞれから書籍刊行。執筆依頼/インタビューお引き受けします。こっそりITIL Manager (v2)資格保有。
この記事は吉澤準特氏のブログ「IT業界の裏話」の過去記事を抜粋し適宜加筆・修正を行って転載しています。