デビルズ・アドボケイトという言葉をご存知ですか?
わざと相手の意見に反論し、議論を盛り上げ活発にする目的で用いられる手法でして、討論では一般的なスタイルです。
よく「朝まで生テレビ」で、田原総一郎氏がコメンテーターの真意を引き出すために、わざと喧嘩口調で反論をぶつけていますが、あれこそ、まさにデビルズ・アドボケイトです。
相手に反論する行為に引け目を感じる方は多いでしょう。
ですが、例えば、業務要件を定めるためのミーティングで、あれもこれもと意見を取り入れていたら、過剰機能のゴテゴテなシステムができあがってしまいます。
勘違いしてはいけないのは、反論とは相手を非難することではありません。あくまでも、真の解を導き出すために、肯定的な側面だけではなく、 否定的な側面からも議論を行うのです。
昨今の業務システムは、企業もしくは社会インフラとして十分に浸透するようになり、それ無しには日常業務が立ち行かなくなるほどに存在感を増しています。
このようなミッションクリティカルなシステムに携わるなら、是非ともデビルズ・アドボケイトの視点を持ち続けたいところ。
「この機能が無かった本当に業務は回らないのか?」
「こんな不正データを流したら、データが流出するのではないか?」
「不正操作でシステムを停止させることができるのではないか?」
これってテスト項目を作成するときに必要な視点ですよね。
そうです。テストチームのメンバーこそ、アプリチームに対してデビルズ・アドボケイトを持たなければならないのです。
テストチームに皆さん、これからはアプリチームの言い分は全て疑って掛かりましょう。
あ、もちろん、反論するのは仕事の上だけにしておきましょう。さもないと、プロジェクトの人間関係が破綻してしまいますよ。
著者紹介
吉澤準特 (ヨシザワジュントク)
外資系コンサルティング会社に勤務。守秘義務を破らない範囲でIT業界の裏話をつぶやきます。ファシリテーション、ビジネスフレームワーク、人材教育など執筆多数。日本能率協会、秀和システムそれぞれから書籍刊行。執筆依頼/インタビューお引き受けします。こっそりITIL Manager (v2)資格保有。
この記事は吉澤準特氏のブログ「IT業界の裏話」の過去記事を抜粋し適宜加筆・修正を行って転載しています。