欧米企業に限らず、今や日本企業の多くが社外のコンサルティングサービスに依存するという状況に陥っています。もしあなたが所属する会社が東証一部に上場しているなら、外資系コンサルタントや国内総研(以下、総称してコンサル)が出入りしていると見て間違いないでしょう。
こうなると、社員とコンサルタントが机を並べて仕事をするというスタイルが当たり前になり、今やコンサルタント無しでは業務が立ち行かなくなるということも現実の話になってきました。
日テレドラマ「ハケンの品格」にて、「今や企業は派遣社員無しでは業務が成り立たなくなった」というナレーションが流れていましたが、実はコンサルについても似たようなことが言えるのです。
このようなご時勢で、クライアント(企業)とコンサルはどのように付き合っていけば良いのでしょうか。
業務推進のサポートとしてのコンサル
プロジェクトを立ち上げたいが、ヒューマンリソースが足りていないという企業はよくありますが、それなりの専門知識と技量を持ち合わせたメンバーを外部から得るために、コンサルを呼び寄せるというのはよくある話です。
状況にもよりますが、推進メンバーとしてクライアントの社員が名前を連ねている場合、コンサルは彼らの影として立ち振る舞います。例えば、プロジェクトの成果のほとんどをコンサルが作成したとしても、社内外にアナウンスする場合、間違いなく担当社員の成果として報告します。
ドラマ「ハケンの品格」で、派遣社員の名前で社内公募企画に企画書が出てしまい、大問題に発展するという話がありました。これは、企画の推進には企画者の継続的な責任を負う必要があるという点で、派遣社員では問題があるとされていましたが、まったく同じことがコンサルにも言えます。
成果物に対して最終的な責任を持つのはクライアントの担当者になりますから、そこを履き違えると、後悔することになりかねません。
※政治的な理由や、対外的なポーズでコンサルを使っていると思わせたくないケースもしばしばありますが、ここでは割愛します。
クライアント担当者の影として動くのであれば、コンサルはバイヤーの意図を十分に汲み取り、その利益が最大限になるように行動することが大切です。選択肢や判断材料は提示しますが、最終的な決断は全てクライアント担当者に任せるのです。
外部の目としてのコンサル
客観的な視点が欲しいということでコンサルを呼ぶこともよくある話です。社内意見が割れてまとまらない時、社外からの風を吹き入れて、流れを変えるために外部意見を活用するのです。
このケースでは、外部の意見であることが重要になってくるため、成果物もコンサルの名前(会社名)で出すことが多くなります。
業界一般としての観点や、他業界からの知見を求めることが多いため、コンサルとしては「あるべき論」を展開し、クライアントの現状についてフィット&ギャップ分析を行います。
ですから、クライアント担当者としては、外部意見としてコンサルの提案を取り入れ、社内の意識改革のために使うことを考えるのが良いかと思います。
雇う側も相応の考えを持っていないと、コンサルの効用を最大化することはできません。彼らを雇うのも安くないのですから、クライアントの担当者は、彼らに仕事を丸投げするのではなく、要所のレビューポイントでは自分の意見を持つように関わっていくのが重要です。
著者紹介
吉澤準特 (ヨシザワジュントク)
外資系コンサルティング会社に勤務。守秘義務を破らない範囲でIT業界の裏話をつぶやきます。ファシリテーション、ビジネスフレームワーク、人材教育など執筆多数。日本能率協会、秀和システムそれぞれから書籍刊行。執筆依頼/インタビューお引き受けします。こっそりITIL Manager (v2)資格保有。
この記事は吉澤準特氏のブログ「IT業界の裏話」の過去記事を抜粋し適宜加筆・修正を行って転載しています。