「この会議資料が何を伝えたいのか全然分からない・・・・・」

そんな場面をあなたも経験したことがあるのではないでしょうか。

そもそも会議資料というのは会議の場で議論をスムーズに進めるために用意するものです。にもかかわらず、 会議の主題に合致するわけでもない図表やとりあえず貼り付けてみたようなグラフなど、 何の足しにもならない情報で溢れた会議資料のなんと多いことでしょう。

例えば、次に挙げているものは私がこれまでに見た「これはひどい」と思った資料の内容です。

・某SIerのシステム構築提案書で、システムの物理構成図とアプリケーション機能図がスライドに描かれているだけで、 システム運用業務の変化やユーザへの影響は一言触れてあるだけ。

この資料では、伝えたいと思っていることを文章に託すのではなくポンチ絵、図表、画面イメージで表現するに留まっていました。 資料に目を通しただけは理解できないというのは、語り部がいないと伝わらない、”紙芝居”のようなものでしょう。

パワーポイントで作られる会議資料が”紙芝居” に成り下がっている大きな理由は文化的背景に起因するところが大きいと言われています。

欧米人はローコンテクスト(言語中心)文化で日本人はハイコンテクスト(感情中心)文化だと評される通り、 日本人が作成する資料は言葉で十分に説明するのではなく、視覚的に理解することを主眼に置いたものになりがちであり、 例に挙げたような資料を作ってしまう人が多いのです。

特にワード文書やエクセル文書よりもパワーポイント文書にこの傾向が多いのは、 特に難しい操作も必要なくグラフィカルに資料が作れてしまうという製品の特性にあるからでしょう。

昨今、パワーポイントやKeynoteなどプレゼンテーション製品をことさら貶める発言を散見しますが、 単に資料の作り方が悪いだけであって、「匿名掲示板で問題発言が多発しているからインターネットは危険な存在だ」 と主張しているようなものです。

視覚的な理解を求めることは悪いことではありませんが、それだけに頼って資料を作成するのは良くありません。 よく考えてほしいのは「会議というのは何のために行うのか」ということです。

あなたが会議でプレゼンをするのは「何かを伝えるため」ではありませんか?

自分の考えを文章に表して正確に伝える努力をすべきなのに、 受け取る側の視覚的な理解だけを頼りにした資料を使って会議に臨むというのはおかしな話ですよね。

会議の本質を理解していれば、視覚的な理解に頼ったハイコンテクストな資料を作ろうとは思わないはずです。

会議資料の本質を見失わないように!

上記エントリーは以下サイトで本論を展開しています。会議資料を作成する守・破・離について触れておりますので、 会議資料を作ったことのある方は是非一度ご覧下さい。

『パワーポイントを紙芝居に貶めたのは誰なのか?』
→ http://enterprisezine.jp/article/detail/911

著者紹介

吉澤準特 (ヨシザワジュントク)

外資系コンサルティング会社に勤務。守秘義務を破らない範囲でIT業界の裏話をつぶやきます。ファシリテーション、ビジネスフレームワーク、人材教育など執筆多数。日本能率協会、秀和システムそれぞれから書籍刊行。執筆依頼/インタビューお引き受けします。こっそりITIL Manager (v2)資格保有。

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この記事は吉澤準特氏のブログ「IT業界の裏話」の過去記事を抜粋し適宜加筆・修正を行って転載しています。