ウマの合わない人。誰にでもそういった人はいるはずです。

コーチングの考え方では、人は以下の4タイプに分かれます。

・感情表現: 大、自己主張: 大→プロモーター

・感情表現: 大、自己主張: 小→サポーター

・感情表現: 小、自己主張: 大→コントローラー

・感情表現: 小、自己主張: 小→アナライザー

感情表現と自己主張を縦軸横軸にとった4象限に各タイプを置くと、対角に位置する性格の人が、最も相性の悪いタイプになります。

私はプロモーターですから、苦手なタイプはずばりアナライザー。そういえば、以前一緒に仕事をしていた人に以下のようなアナライザーの悪い面が出ている人がいました。

・人の意見をさえぎる(最後まで話を聞かない)

・話の細部に拘って大局を見失う

・自分の意見が正しいと信じて疑わない

道理で苦労をするわけです。

しかし、話を聞いて理解するのと実践するのでは大違い。相性の悪いタイプとうまく付き合うというのは本当にエネルギーを使う作業です。意見が分かれたとき、歩み寄るのにどれだけの力を費やしているのか、相性の良いタイプと比較すると一目瞭然です。

前提:

あるシステム要件に対し、A案、B案どちらを採用するかを決める。

【プロモータ×サポータ】

プ「これはA案の方が優れてませんか?」

サ「そうですね、A案いいですね。うーん、でもB案も悪くないと思うんですけどどうでしょうね。」

プ「なるほど、確かにB案にも見るべきものがありますね。例えばXXのような部分なんかは要件にジャストフィットしますもんね」

サ「そうそう! それにここの部分も今回の要件に意外に使えると思うんですよね。」

プ「たしかにおっしゃるとおりですね。それは気づかなかった。あ、でもその機能ならA案のこれを使えば同じことができそうじゃないですか?」

サ「ふむふむ、たしかにそうかも。ではB案よりもA案の方がいいみたいですね。」

プ「じゃあA案でいきましょうか。」

【プロモータ×アナライザー】

プ「これはA案の方が優れてませんか?」

ア「何をもって優れているのか、具体的に言ってもらえませんか。私はB案の方が機能要件を満たしていると思いますが。」

プ「なるほど、確かにB案にも見るべきものがありますね。例えばXXのような部分なんかは要件にジャストフィットしますもんね」

ア「ジャストフィットするかは実際にやってみないと分からないと思いますよ。今の段階で断定するのは危険です。ただ、色々と応用できる機能があるのは確かでしょう。」

プ「たしかにおっしゃるとおりですね。それは気づかなかった。あ、でもその機能ならA案のこれを使えば同じことができそうじゃないですか?」

ア「これもベンダーに確認しないとハッキリ言えないですよ。ただ、A案の機能で代替できる可能性は比較的ありますし、これまでの意見を総合すると、A案の方がより多くの必要要件を満たしてるように思えますね。」

プ「じゃあA案でいきましょうか。」

どうですか、タイプがちょっと違うだけで、同じこと決めるのにやりとりがまったく異なっていますよね。特に、アナライザーの発言は最初に否定的な表現から入っているため、プロモーターに対して与えるプレッシャーは強くなります。

上記例はプロモーターからの視点ですが、他のタイプの人も同じように苦手なやり取りというのがあります。自分の言動が相手に不快感を与えないよう、人と話すときにはちょっと気をつけてみてはどうでしょうか。

著者紹介

吉澤準特 (ヨシザワジュントク)

外資系コンサルティング会社に勤務。守秘義務を破らない範囲でIT業界の裏話をつぶやきます。ファシリテーション、ビジネスフレームワーク、人材教育など執筆多数。日本能率協会、秀和システムそれぞれから書籍刊行。執筆依頼/インタビューお引き受けします。こっそりITIL Manager (v2)資格保有。

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この記事は吉澤準特氏のブログ「IT業界の裏話」の過去記事を抜粋し適宜加筆・修正を行って転載しています。