タイトルに挙げたこの言葉、ナポレオン戦争終結後のウィーン会議で、各国の利害衝突により遅々として進まなかった様子をオーストリアの将軍が皮肉って述べた言葉です。
ウィーン会議から200年近くも経ちますが、いまだに世の中には踊っているだけの会議がいくつも存在します。あなたの周りにもそんな会議はありませんか? もしあるのなら、それはファシリテーションを理解している人がいないせいかもしれません。
ファシリテーションとは、コミュニケーションを円滑に進めるためのテクニックと思ってもらえればOKです。
例えば、八百屋で大根を買う時を思い浮かべてみましょう。大根を買うためには店員さんに「大根をください」と注文しなければなりません。
ただ、大根と言えども大小様々な種類があります。もし、あなたが一人暮らしで「今晩のおかずにちょっと大根を使いたいな」という程度なら小さめの大根の方が嬉しいですよね。
ですが、八百屋さんにしてみれば、同じ金額を払ってもらうなら、大きい方が嬉しいと普通は考えるでしょう。その結果、自分の考えているものより大きな大根を購入する羽目になり、「思っていたものとちょっと違う」と不満を感じることになります。
ビジネスの現場も同じようなことが起きています。
製品を購入するシーンに限らず、何かを決定する際には必ず複数の人と話し合い、何をどうするか決めていきますが、その過程でコミュニケーションミスが発生した結果、目も当てられない状況に陥っていることのなんと多いことでしょう。
コミュニケーションミスは、言い換えると、自分が言いたいことを正しく相手に伝えることができていない、ということに他なりません。八百屋の例で言うと、自分が必要とする大根の分量を正しく伝えていれば、相手は小さめの大根を渡していたはずです。
ファシリテーションを理解している人は、こういったコミュニケーションミスを最小限に抑えています。そのため、ビジネスにおいても、後からちゃぶ台返しを受けて手戻りが発生することはあまりありません。
著者紹介
吉澤準特 (ヨシザワジュントク)
外資系コンサルティング会社に勤務。守秘義務を破らない範囲でIT業界の裏話をつぶやきます。ファシリテーション、ビジネスフレームワーク、人材教育など執筆多数。日本能率協会、秀和システムそれぞれから書籍刊行。執筆依頼/インタビューお引き受けします。こっそりITIL Manager (v2)資格保有。
この記事は吉澤準特氏のブログ「IT業界の裏話」の過去記事を抜粋し適宜加筆・修正を行って転載しています。