リモートでのPC操作を無料で実現
iPhone向けアプリは非常に大量にあるし、iPad向けに大画面を活かしたアプリも数多く存在するが、PCでやっていることをそのままスマートデバイス上でやりたいと考えた時には力不足に感じることも多いのが実情だ。その不満を解決する1つの方法が、リモートデスクトップだ。
オフィスや自宅のPCをリモートで直接操作できれば、当然のことながらPCが持つ機能の大半をスマートデバイスから利用可能になる。企業として採用している場合はVDIソリューションなどを導入するわけだが、個人レベルで簡単に利用できるものもある。その1つが、ブラウザであるChromeの拡張機能を利用する方法だ。
無料で手軽に利用できる「Chromeリモートデスクトップ」でiPadからWindows PCを利用する場合の手法を紹介しよう。
PCとiPad側の両方で準備
利用にあたっては操作されるPC側と、操作するiPad側の両方で下準備が必要となる。PC側が利用できる条件は、ネットに接続した状態でOSとChromeが起動していることだ。この状態のPCに、Chromeの拡張機能としてChromeリモートデスクトップが導入されていれば、操作対象となる。
iPad側でも「Chrome Remote Desktop」のアプリをインストールしておく必要がある。さらに、PCとiPadの両方で同じGoogle IDでログインしておこう。ここまでの下準備を済ませた後、最初の接続はPCの前で作業しておく必要がある。
PCでChromeの拡張メニューからリモートデスクトップを起動し、利用にあたって必要な各種条件を承認した後、表示された画面で「マイパソコン」の「利用を開始」をクリックする。
さらに「リモート接続を有効にする」をクリックするとPINコードの設定画面が表示されるから、任意のコードを指定しておこう。
PINコードの指定が終わると「マイパソコン」欄に自分のPC名が表示される。iPad側でアプリを起動した時にも同じPC名が見えるはずだ。もし複数のPCで同じ設定をしていれば、PC名はリストになる。その中から操作したいPC名を指定し、登録してあるPINコードを入力すれば接続されるはずだ。
iPad上でカーソルを動かしてPCを操作
リモート接続されている状態でもPCは普通に利用できるが、下部に共有中であることを示すバーが表示される。これはiPad側からも見えているが、邪魔ならばドラッグして表示場所を移動させることも可能だ。もし自分がリモート操作しているつもりがないのに表示されている時には「共有を停止」をクリックして切断できる。
iPadの場合、右上に表示されているマウスボタンが青くなっている場合には、マウスと同じようにカーソルを操作して利用することになる。少し動き方が独特ではあるが、カーソルから離れた部分を指で触れると、その指の動きに連動してカーソルが動く。タップすれば左クリックの扱いだ。マウスボタンをタップしてグレーにしている場合、iPad側での直接操作というイメージになり、触れているところが選択され、タップされるようになる。操作対象によってどちらが便利か違うから、上手に切替えながら利用するとよい。
2本指でタップすると右クリックメニューが表示される。3本指タップならばマウスの中央ボタンをクリックした状態だ。2本指で上下にスワイプすればウィンドウ内がスクロールされる。PC側が複数ディスプレイの場合もマウスカーソルを移動させてゆけば隣のディスプレイを表示できる。もちろん、右上のキーボードボタンをタップしてキーパッドを表示させれば、文字入力も可能だ。
右上の四角いボタンからはフルスクリーン表示への切替えが、メニューボタンからはPCの再起動が行える。PCにログインパスワードが設定されていても、その時点でリモート操作はできるため、一旦接続は切られるが少し待ってから再接続すればログイン画面から操作可能になる。また、iPad側では左上の「X」をタップすると接続を解除できる。またスリープになった時には自動的に接続解除されるから、作業を続けたい時にはスリープへの移行時間を設定しなおすなどしておくとよい。
オンラインストレージなどと組み合わせてより快適に
iPadからは通常利用できない、フル機能のMicrosoft OfficeやAdobe製品なども、iPad上から利用できる。出先で資料を少し修正したい時などにも活躍してくれるはずだ。
また、オンラインストレージと組み合わせて利用すると、より便利になる。ローカル保存しかしていない資料でも、リモートでPCを操作してオンラインストレージに保存すれば、少し待つだけで手元のデバイスから利用可能になる。もしもに備えて何でもオンラインストレージに保存しておく必要がないから、容量が圧迫されることもなければ、ファイルが多すぎて探しづらくなるという心配もない。
ただし、利用にあたっては注意も必要だ。企業によってはセキュリティの関係から利用を制限したいという場合もあるだろう。セキュリティポリシー上問題がないことを事前に確認しておきたい。
利用料金:無料
制作者:Google, Inc.