アプリケーション指向の研究でさらに発展めざす

imecは現在、ASML、Applied Materials(AMAT)、Lam Research、東京エレクトロンなとをはじめとした装置・材料サプライヤ61社、世界の先端IDMやファウンドリ8社 (Intel、Samsung、TSMC、GLOBALFOUNDRIES、Micron Technology、SK Hynix、東芝、SanDisk)、ファブライト/ファブレス7社(Qualcomm、Huawei、Xilinx、Altera、ソニー、パナソニック、ソシオネクスト)、アプリケーション・パートナー97社と研究協業ネットワークを構築し、グローバルな規模で研究を行っている。imecの研究契約収入のうち、22%を日本企業からの収入で占めており、米国の31%に次いで多く、imecのおひざ元の欧州からの収入よりも多い(図9)。

「日本は、以前は、数世代先の半導体微細化のためにプロセス開発で契約するケースが多かったが、最近は、太陽電池やヘルスケア・医学分野など広範なアプリケーションで契約するケースが多くなってきている」とVan deb hove社長はimecにとって日本が非常に重要な国であることを強調した。そして、「半導体・ナノテクノロジーの力で少数の幸福を多数の幸福へと変換させて、直観的なあらゆるモノのインターネット(intuitive internet of everything)を実現をとおしてスマートリビング、さらには持続可能な社会の実現を目指す」と話しを結んだ。

図9 imecの研究契約収入の国・地域別内訳。日本は22%で、米国に次いで多く、imecの本拠地の欧州よりも多い

日本からの収入は80億円規模か

なおimecは現在、2200名(協業企業からの派遣社員を含む)の社員を抱え、予算規模は3億6300万ユーロ(2014年)。このうち、ベルギー・フランダース地方政府とオランダ政府からの補助金は2割程度なので、残りは協業企業からの研究契約による収入となる。そのうち、22%が日本企業からということは、日本から6000万ユーロ程度 (2014年平均となる1ユーロ140円換算の場合で約84億円)の売り上げがあることになる。

またimecは、今回の技術フォーラムに合わせて、「カネカがimecと、従来の太陽電池だけではなく包括的な研究協力に関する3年契約を締結した」と発表した。カネカは、次世代型太陽電池の研究に加え、医療機器などのライフサイエンス分野とフィルムエレクトロニクス分野などで新しい研究・開発のシーズをimecと探索し、各種研究プロジェクトを立ち上げることを目指すという。さらなる半導体微細化をめざす半導体企業は、世界規模で減少する一方なので、imecとしても将来を見越して半導体のアプリケーション分野のパートナ―開拓に力を入れているようだ。