Pirka'rとは?
Pirka'r(ピリカル)は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のオープンソフトウェア利用促進事業の一環として開発されたオープンソースソフトウェアで、オープンソースコミュニティ「The Ashikunep Kotan」にて公開されているEclipseRCPをベースとしたWebサイト制作用のツールだ。とりわけブラウザ間の互換性チェックや、マルチブラウザ対応のプレビュー機能など、これまでWebサイト制作者が頭を悩ませていたWebブラウザごとの挙動の違いによるトラブルを事前に防止することができる。
Pirka'rのインストールと起動
Pirka'rの実行にはJava実行環境が必要となるので事前にインストールしておこう。また、マルチブラウザのプレビュー機能を使用するにはIE(Windowsのみ)、Firefox 3、Safari 4をインストールしておく必要がある。
Pirka'rはダウンロードページから入手することができる。Windows、Linux、MacOS X向けのアーカイブが用意されている。また、ブラウザの互換性チェック機能を使用するにはPirka'r本体とは別に検証サーバが必要となる。検証サーバは全プラットフォーム対応のアーカイブが用意されているのであわせてダウンロードしておこう。
ダウンロードしたアーカイブを適当な場所に展開すればインストールは完了だ。ただし、検証サーバについてはパスに日本語や空白を含む場所に展開すると正常に動作しないことがあるので注意してほしい。
Windowsの場合はpirkar.exeをダブルクリックするとPirka'rが起動するはずだ。また、互換性チェックを使用するにはまず検証サーバを起動しておく必要がある。Windowsの場合、検証サーバを展開したディレクトリにあるsuite-start.batをダブルクリックすることで検証サーバが起動する(検証サーバはPirka'r本体の起動前に起動しておく必要がある)。
Pirka'rを使ってみよう
Pirka'rの画面構成は以下のようになっている。画面上部にはエディタで編集中のHTMLをIE、Firefox、Safariで表示した結果がプレビュー表示される。プレビューはHTMLを編集するとリアルタイムに更新される。
Pirka'rのエディタではHTMLタグやCSS、JavaScriptなどのコード補完機能が利用可能なほか、HTMLの誤りなどは画面下部の問題ビューに一覧表示され、エディタ上でもマーキングされる。タグの閉じわすれといった気づきにくい問題も自動的に検出することが可能だ。
また、Pirka'rのインポート機能を使用すると、ローカルファイルシステム上のHTMLファイルをプロジェクトにインポートしたり、リモートのWebサイトをクロールしてコンテンツを取り込むこともできる。既存のコンテンツをPirka'rにインポートする際に利用するといいだろう。
ブラウザ互換性チェック
Pirka'rの目玉ともいえるのがブラウザ互換性チェックだ。HTMLやJavaScriptなどにブラウザ依存のコードがないかなどをチェックすることができる。
前述の通り、ブラウザ互換性チェックを行うには事前に検証サーバを起動しておく必要がある。検証サーバが起動している状態でチェックしたいファイルを選択して右クリックメニューなどから[Pirka'rバリデーション]を選択することでブラウザ互換性チェックを行うことができる。問題がある場合は問題ビューに一覧表示される。
なお、検証サーバはローカルで起動するのではなく、リモートサーバで起動したものを使用することも可能だ。この場合は[ウィンドウ]メニューから[設定]を選択すると設定ダイアログが表示されるので、[Web]-[非互換検証]を選択し、検証サーバのURLに接続する検証サーバのURLを変更すればよい。
まとめ
Pirka'rはWebサイト制作用のオーサリングツールと見ると不足している機能が多い。しかし、ブラウザ間の互換性問題の解決に特化するというコンセプトは特徴的だ。他のツールと組み合わせてプレビュー機能や互換性チェック機能だけを利用するという使い方もアリだろう。また、EclipseRCPアプリケーションとして実装されているため、Eclipseプラグインで機能を拡張できるというメリットもある。
ブラウザ間の互換性に悩まされているWebサイト制作者は一度試してみる価値のあるツールではないだろうか。