オープンソースのAIR用RADツール

AIR GEARはオープンソースで開発されているAdobe AIR向けのEclipseプラグインだ。以下のような機能を提供している。

  • AIRプロジェクトを作成するためのウィザード
  • AIRパッケージを作成するためのウィザード
  • FlexアプリケーションのためのWYSIWYGフォームデザイナ
  • mxmlファイル、ActionScriptのインクリメンタルビルダ
  • ActionScriptを編集するための簡易的なエディタ
  • AIRアプリケーションのランチャー
  • AIRアプリケーションのデバッグ

無償で利用可能なAIR開発ツールはほかにFlashDevelopなどが存在するが、グラフィカルなフォームデザイナを搭載しているのはいまのところAIR GEARだけだ。

AIR GEARのインストール

AIR GEARはProject Amaterasのダウンロードページからダウンロードすることができる。ダウンロードしたJARファイルをEclipseのdropinsフォルダに配置しよう。

なお、AIR GEARで開発を行うにはAIR SDKもしくはFlex SDKのいずれかを別途インストールする必要がある。SDKのインストールはダウンロードしたアーカイブを適当なフォルダに展開すれば完了だ。Eclipseの設定ダイアログのAIR GEARのページでインストールしたSDKのパスを指定しておこう。

図1 SDKの設定

AIRアプリケーションの開発

まずはEclipseの新規プロジェクト作成ウィザードでAIRプロジェクトを作成する。AIRはHTMLベース、Flexベースのいずれかでアプリケーションを開発することができるが、AIR GEARでは両方をサポートしている。今回はFlexベースで開発するため[AIR Project(Flex)]を選択してプロジェクトを作成しよう。プロジェクトを作成すると以下のようなAIR GEARパースペクティブに切り替わる。

図2 AIR GEARパースペクティブ

MXMLエディタではパレットからGUIコンポーネントをドラッグ&ドロップで配置することができ、プロパティービューで詳細なプロパティを設定することが可能だ。

また、MXMLやActionScriptに間違いがある場合、エディタにエラーマーカーが表示され、問題ビューにエラーの一覧が表示される。

図3 エラーがある場合

AIRアプリケーションの実行とデバッグ

作成したアプリケーションの動作を確認するにはプロジェクトを選択して右クリック-[実行]-[AIR Application]を選択するとAIRアプリケーションが起動する。

デバッグを行うには同様に右クリック-[デバッグ]-[AIR Application]を選択する。あらかじめActionScriptのソースコード中でストップさせたい行にブレークポイントを設定しておこう。変数の値などを監視するにはエディタ上で任意の式を範囲選択し、右クリック-[Watch]で式ビューに追加することができる。追加した式は即座には認識されず、次回実行時から反映される。

図4 デバッグ

AIRパッケージのエクスポート

アプリケーションが完成したら配布するための可能なAIRパッケージとしてエクスポートしよう。プロジェクトを右クリック-[エクスポート]から[AIR]-[AIR Package]でAIRパッケージをエクスポートするためのウィザードが起動する。

図5 AIRパッケージの作成

このウィザードでパッケージに含めるファイル、AIRパッケージのファイル名、電子自己署名の設定を行い[終了]をクリックするとAIRパッケージが生成される。

まとめ

AIR GEARは無償のAIR向け開発ツールの中でもグラフィカルなフォームエディタを備えているのが大きな特徴だ。ただし、いまのところ入力補完機能などは備えておらず、ActionScriptのコーディングという面で見るとFlashDevelopなどに劣る。MXMLをAIR GEARで作成し、ActionScriptをFlashDevelopで記述するといった具合にツールの使い分けをするといいかもしれない。

いずれにしろAIR向けの開発ツールはAdobeが提供するFlex Builderが有償製品なだけに、AIR GEARやFlashDevelopといった無償で利用可能なプロダクトが存在するのは開発者にとって喜ばしいことといえるだろう。