スクリプト言語のサポートがより充実

今回は2008年8月にリリースされたNetBeans 6.5ベータ版を紹介する。NetBeansはここ数年、Java IDEとして標準の地位を築いたEclipseに追いつけ追い越せと言わんばかりの勢いで機能改善や新機能の追加を行ってきた。NetBeans 6.5ベータ版では、とくに以下のような新機能が追加されている。

  • PHPのサポート
  • Groovy/Grailsのサポート

PHPサポートは、NetBeans 6.1ではEarly Access版として提供されていたものが正式にNetBeans本体に組み込まれたものだ。NetBeansのPHPサポートについては本連載でも以前取り上げているのでそちらを参照してほしい。

なお、NetBeans 6.5ベータ版ではUML関連の機能が含まれていない。これは6.5でUML機能を大幅に書き換えたため、予想以上に多くの問題が発生し、ベータ版としてリリース可能な品質に達しなかったためとのことだ。ただし正式版には含まれるはずだ。

Java開発支援機能の強化

まずはJava開発の支援機能を見ていこう。NetBeans 6.5ではエディタでソースコードの保存時にコンパイルを行うことができるようになっている。しかし、コンパイルされるのはそのクラスだけであり、たとえばfinal定数などを参照しているクラスがある場合でも参照元のクラスはコンパイルされないため、変更が反映されないことがある。このあたりはEclipseのインクリメンタルビルドと比べると相変わらず注意が必要だ。

図1 ソースの保存時にコンパイル

また、NetBeans 6.1でSpring Frameworkがサポートされたのに続き、6.5ではHibernateも正式にサポートされている。すでにJPAはサポートされていたためようやくといった感もあるものの、Hibernateの設定ファイルの編集支援機能に加え、データベースからマッピングファイルやエンティティのソースコードを生成することが可能だ。

Groovy/Grailsのサポート

PHPの正式サポートと並んでNetBeans 6.5での目玉機能とも言えるのがGroovy、Grailsの正式サポートだ。

GroovyはRubyのエッセンスを組み合わせたJavaVM上で動作するスクリプト言語で、Javaとの親和性が非常に高い。GrailsはRailsにインスパイアされて登場したGroovyベースのWebアプリケーションフレームワークだ。

NetBeans 6.5ではGrailsプロジェクトやコントローラ、ドメインクラスなどをウィザードで生成することができるほか、Groovyスクリプトやgspファイルを編集するためのエディタ、GrailsのシェルをNetBeans上から利用する機能なども提供されている。

図2 Grails関連のウィザード

図3 Grailsシェル

また、Javaとの連携も強力にサポートされており、JavaクラスをGroovyで利用する際にコード補完が可能なほか、GroovyのクラスをJavaで使用する場合もJavaエディタでコード補完などの機能を利用することができる。

SQLエディタ

データベース周りでは、SQLエディタでテーブル名やカラム名のコード補完が可能となっている。

図4 SQLエディタ(1)

また、SQLエディタでクエリを実行するとエディタの下半分に結果がテーブルで表示されるが、この結果表示部分ではソートやページングに加えてデータの変更やレコードの追加・削除も可能となっており、データのちょっとしたメンテナンスにも利用することができるだろう。

図5 SQLエディタ(2)

まとめ

NetBeansもEclipseも成熟期に入っているが、サブプロジェクトが乱立気味でクオリティにもややバラつきが見られるEclipseと比べ、NetBeansはC/C++・Ruby・PHP・JavaScript・Groovyと、着々とサポートする言語を拡大しつつも、統一されたインタフェースと高いクオリティを維持し続けている。

特にNetbeans 6.5ではこれまでサポートされていたRubyやJavaScriptに加え、PHPとGroovy/Grailsという新たなスクリプト言語が正式にサポートされることもあり、Java以外の言語の開発者も要注目のIDEといえる。正式リリースを楽しみに待つことにしよう。