NetBeansはPHPもサポート

オープンソースのJava統合開発環境として知られているNetBeansは、バージョン6.0でRuby/Ruby on Railsを標準サポートしたことで大きく注目された。さらにNetBeans 6.1ではまだアーリーアクセス(Ealry Access)版という位置付けではあるものの、PHPのサポートが追加されており、スクリプト言語のサポートが強化されている。

今回はNetBeans 6.1で提供されているPHPアーリーアクセス版を試してみよう。PHPアーリーアクセス版はNetBeans 6.1のダウンロードページより入手することができるが、PHPを動作させるための環境(ApacheやPHP)は別途インストールしておく必要がある。また、NetBeans上でPHPデバッガを利用するにはXDebugのインストールも必要となる(デバッガを利用しないのであればXDebugは不要だ)。

プロジェクトの作成

まずはプロジェクト作成ウィザードで「PHP」→「PHP Application」を選択し、PHPプロジェクトを作成する。ウィザードの途中で「Copy files from Source Folder to another location」にチェックを入れ、コピー先フォルダとしてApacheのhtdocsフォルダを選択しよう。こうしておくことでNetBeans上で作成/更新したファイルが自動的にApacheにコピーされるため、簡単に動作確認やデバッグを行うことができる。

なお、ここで指定するコピー先フォルダは、ウィザードの最初の画面で入力するProject URLで閲覧できるよう設定をあわせておく必要がある点に注意してほしい(あとから設定を変更することも可能だ)。

図1 PHPプロジェクトの作成

図2 コピー先の指定

ProjectsビューでPHPスクリプトを右クリック→「Run File」でWebブラウザが起動し、PHPスクリプトを実行することができる。PHP側にXDebugをインストールしておくことで、NetBeans上でグラフィカルにデバッグを行うことも可能だ。

図3 ファイルの実行

PHPエディタのさまざまな機能

PHPエディタではコード補完([CTRL] + [SPACE])や変数や関数の定義部分へのジャンプ([CTRL] + [B])、変数や関数のリネーム([CTRL] + [R])、コードフォーマット([CTRL] + [F])などの機能を利用することができる。また、PHPスクリプトに構文エラーが存在する場合は即座に検出され、エラーマーカーが表示される。このあたりは最近のIDEではもはやお馴染みの機能といっていいだろう。

なお、コード補完機能はオブジェクトの型が特定可能なケースでも、メソッドなどの補完までは行ってくれないようだ。今後の改善に期待したい。

図4 コード補完機能

そのほかにも閉じカッコの自動挿入や、選択範囲のコメント化/コメント解除など便利な編集機能を多数備えている。よく利用する機能にはショートカットが設定されているので、PHPスクリプトを効率よく編集することができるだろう。

ただし、筆者の環境では巨大なPHPスクリプトをエディタで開くと、スクリプトのサイズにもよるが数秒から数十秒の間、NetBeansそのものが操作不能になるという現象が発生した。通常のPHPスクリプトのサイズであれば特に問題はない。

まとめ

NetBeansのPHPサポートは現時点ではアーリーアクセスという位置付けであり、軽微な問題は残っているものの、すでに実用レベルの機能を備えており正式リリースが待たれるところだ。

とりわけ充実したソースコードの編集機能やグラフィカルなデバッガはIDEを利用するメリットを大いに感じさせてくれることだろう。また、NetBeans 6.1ではJavaScriptの編集機能も強化されるため、PHPによるWebアプリケーション開発には最適な統合開発環境といえるのではないだろうか。

本連載の第6回でも取り上げたが、Eclipse FoundationでもPHPでの開発を支援するPDTというプラグインの開発が行われている。テキストエディタでPHPスクリプトを作成している開発者はぜひこれらのIDEも試してみてほしい。