新機能が目白押し!のNetBeans 6.1
Eclipseと並んでオープンソースのJava統合開発環境の代表格であり、本誌でもたびたび取り上げているNetBeansの最新版6.1がリリースされた。近年、Sunの商用統合開発環境のオープンソース化や、Ruby on Railsのサポートなど大幅な機能追加の目立つNetBeansだが、このリリースでもJavaScriptのサポートなど注目の新機能が目白押しだ。
今回はリリースされたばかりのNetBeans 6.1の新機能を紹介したい。なお、こちらのサイトから、NetBeans 6.1のインストーラに加えて日本語化するためのZIPファイルを入手することが可能だ。
JavaScriptを強力サポート
NetBeans 6.1の新機能の中でも特に注目したいのがJavaScriptの編集支援機能だろう。Eclipseでも次期バージョンでJavaScriptサポートの強化が予定されているが、NetBeansはいち早く対応する形になる。
JavaScriptエディタでは構文のチェックや強調表示、コード補完、変数や関数の定義部にジャンプするハイパーリンク機能など豊富な編集支援機能が提供されている。これらの機能はHTMLやJSPファイルに埋め込まれたJavaScriptを編集する場合ももちろん利用することができる。なお、コード補完はprototype.jsの$関数にも対応している。
図2 prototype.jsの入力補完 |
また、関数名や変数名を変更するリファクタリング機能も利用可能だ。
Spring Frameworkのサポート
Java関連の新機能で注目なのはSpring Frameworkのサポートだ。以下のような機能が提供されている。
- Spring Framework 2.5のライブラリを内蔵
- WebプロジェクトでのSpringMVCのサポート
- SpringのBean定義ファイル、SpringMVCのコントローラを作成するためのウィザード
- コード補完やハイパーリンクなどの機能を備えたBean定義ファイルエディタ
Bean定義ファイルの編集時はXML要素/属性やクラス名、プロパティ名、コンポーネント名に対してコード補完機能を利用することができるほか、NetBeansのリファクタリング機能でJavaクラス名を変更した場合も自動的に追従するようになっている。
図3 SpringのBean定義ファイルエディタ |
また、アップデートセンターからHibernateの利用をサポートするプラグインをインストールすることもできる。Spring + Hibernateは実際に多くのプロジェクトで利用されているフレームワークの組み合わせだけにNetBeans活用の幅がより広がることだろう。
Java関連ではこのほかにもJavadocの入力補完が可能になっている。Javadocタグやパラメータなどの補完を行うことができる。また、NetBeans 6.0系では削除されていたJavaBean関連の機能(BeanInfoエディタ等)やJSFのCRUDアプリケーション生成機能が復活している。
図4 Javadocタグの入力補完 |
SaaSサービスのサポート
Webサービス開発支援機能はAmazon、Facebook、Google、Yahooなどの著名なサービスプロバイダが提供するWebサービスをサポートするよう改善されている。
ServicesビューのWeb Servicesノード配下にはさまざまなサービスがあらかめ登録された状態になっており、これらのサービスをJavaエディタ上にドラッグ&ドロップすることで、該当のサービスを呼び出すJavaコードを自動生成することができる(自動生成されるコードはNetBeansが提供する独自APIを使用したものになる)。
Ruby/Rails関連機能の強化
NetBeans 6.0で導入されたRuby/Railsのサポートも順調にバージョンアップしている。6.1での新機能は以下の通りだ。
- 同梱のRailsが2.0系にバージョンアップ
- エディタの機能強化(ヒント表示とクイック修正機能)
- 高速なデバッグ
- サーバ統合、データベース設定の改善
また、新機能の追加以外にも多くのバグフィックス、安定性の向上が図られている。
まとめ
本稿で紹介した機能以外にも、NetBeans 6.1では性能面での改善、MySQLサポートやRuby/Rails関連機能の強化、RESTful Webサービスを作成するための機能が標準搭載されるようになるなど、大小さまざまな改善が行われている。アップデートセンターからは前述のHibernateプラグインのほか、ClearCaseやAxis2、SOAP UIなどをサポートするプラグインをインストールすることも可能だ。
これまでNetBeansを使っていた人はもちろん、NetBeansを利用したことのないJava開発者も要注目のリリースといえるだろう。