前回の「ハイブリッドワーク時代の研修をどのように企画したか」では、PwCあらた有限責任監査法人(PwCあらた)の新入職員(以下、新入社員)研修企画チームが、オンラインとオフラインを組み合わせた効果的な研修をいかにデザインしたかを紹介しました。
今回は、実際に2021年度新入社員向け育成プログラムを受けた若手4人の視点から、研修の様子や得られた学びについて紹介します。
菅野 佑太と田中 健佑の視点
2021年度入社の新人社員は約3週間のオンライン研修後に、8日間の新入社員向け育成プログラムを受講しました。そこでは、業務を進めていく上で必要なスキルやマインドセット、業務において使用するツールなどについて、対面形式で同期とともに集中的に学びました。
それまで一緒にオンライン研修を受けていたものの、新入社員同士は一度も対面で会ったことがなく、新入社員向け育成プログラムの初日は良好な関係性を築けるかどうか、非常に不安でした。しかし、始まってみればグループワークが多く、コミュニケーションを取る機会がたくさん設けられていたため、プログラムの終了時にはすっかり打ち解けることができていました。
新入社員向け育成プログラムでは、監査法人での仕事の進め方、業務上の作法、監査手続の理解、PCスキルの習得など、会計士としてスタートを切る上での基本的なスキルをオフラインで実践的に学びました。
PCスキル研修では、表計算ソフトや文書ソフトなど仕事で使う基本的なソフトウェアの操作方法を学ぶもので、座学で講師の話を聞くだけではなく、グループで研修課題に取り組み、グループごとに発表するという形で進みました。
興味深かったのは、同じ課題でもグループごとに正解を導くまでのアプローチが異なっていたことです。表計算ソフトの複数の関数を駆使して解答を導き出すという課題があったのですが、どの関数をどのような組み合わせで使用するかにより解答を導くまでに必要となる関数の数や計算のしやすさが異なり、解答の精度にも影響しました。また、グループワークでは、思考の軌跡をわかりやすく伝えることも重要だと感じました。
オンライン監査プラットフォーム「Aura」に関する演習では、監査経験の豊富なベテラン社員から、具体的な監査現場でのエピソードも交えてAuraの使い方を教わりました。この演習では、具体的なツールの操作方法だけでなく、なぜこの手続を行うのかまでを掘り下げて考えることの重要性を学ぶことができました。
これまで会計士試験の受験勉強を通じて得た知識が実務につながっていることをイメージでき、オンラインの研修で学んだ内容から理解を一歩深めることができたと感じています。
新入社員向け育成プログラムを通じて得た2つの収穫
この新入社員向け育成プログラムを通じて、大きな収穫が2つありました。
1つ目は、オフラインで同期や講師役の先輩社員の方々と実際に会ってコミュニケーションを取ることができたことです。育成プログラム参加前にもオンラインで交流する機会はありましたが、なかなかお互いの人柄を理解するまでには至りませんでした。育成プログラムでは、他愛のない雑談をする時間的な余裕もあり、気軽に声を掛け合えるような仲になることができました。
また、講師の方にもすぐに話しかけることができたため、些細な疑問でもその場で解消することができ、オンライン研修だけを受講したいた頃と比較して、業務で利用するデジタルツールのスキルがしっかり身につきました。その結果、実際に監査チームに配属されてからもスムーズに業務に取り組むことができています。
2つ目は、監査に必要なマインドを講師の方たちから直接学べたことです。業務で必要なデジタルツールの操作方法を学び、正しく使えるようになることは、監査人としての第一歩を踏み出す土台になります。大切なのはそれらを基礎として会計士としてのより本質的な業務に集中し、必要な知識や経験を積み重ねていくことだと考えられるようになりました。
ビジネス環境が加速度的に変化し続ける時代の中で、私たちにはテクノロジーを活用して日々の業務をより効果的かつ効率的に実施できないか模索すること、今持っている知識に固執せず課題解決に必要なスキルを日々更新していくこと、変化が著しい社会に迅速かつ柔軟に対応していくことが求められていると考えます。今回の新入社員向け育成プログラムを通じて得た経験をベースに、実務でより一層の研鑽に励みたいと思います。