今回の記事では、Figmaの活発なユーザーコミュニティや、Figmaが目指す「デザインの民主化」について紹介します。
最初にお知らせがあります。Figmaは2022年7月27日に日本語版をリリースしました。従来はツール操作は英語のみ、Webサイトやヘルプページは英語、フランス語、ドイツ語のみの対応でした。今回のリリースにより、ツールを操作する際の言語設定が日本語になるのはもちろん、日本語版のWebサイトやヘルプページも提供しています。
日本語化のプラグインをユーザーが自主開発
実は、日本語版の公式リリース以前から、FigmaのUIを日本語化できるGoogle Chromeのプラグイン(拡張機能)が提供されていました。この拡張機能は有志のFigmaユーザーによって開発されたものです。また、日本語のヘルプページがなかったころから、多くのユーザーがFigmaの各種ツールの使い方などを情報発信していました。
自主的に行動し、互いの課題を解決し合ったり、助け合ったりするユーザーコミュニティは、Figmaの特徴の1つだと言えるでしょう。
ユーザーコミュニティは世界各地に合計200以上も存在します。ツールの使い方を教え合ったり、デザインテンプレートをシェアしたり、拡張プラグインを提供したり、ユーザーがお互いに情報を共有し合っています。
日本の「Friends of Figma Tokyo」というコミュニティは2018年に発足しました。コミュニティメンバーはDiscordなどで活発な情報交換を行い、初心者向けに使い方をレクチャーするセミナーを何度も開催しています。また、メンバーの有志が執筆した日本語の書籍も出版されています。
Figmaでは、利用プランを問わず誰でも、プラグインやデザインテンプレートを開発・公開することができます。
豊富なデザインテンプレートや素材のおかげで、デザインの専門家でなくても気軽にデザイン設計が可能になるのです。このほか、Webサイトやアプリなどの開発をサポートする開発者向けのプラグインも多く公開されています。
Figmaでは、そうしたユーザーコミュニティの存在を重視しており、ユーザーの声を聞き、積極的にサービスにも反映できるような、さまざまな機会を設けています。
2022年7月27日には、日本のユーザー向けイベント「Figma Community Event」が東京・原宿で開催され、300人以上のユーザーが集まりました。
こうしたイベントでは、ユーザーが自分の使い方をプレゼンテーションする「SHOW & TELL」というライトニングトークセッションも実施しています。毎回、たくさんのユーザーが立候補してくれるので、イベントに参加するごとにユーザーコミュニティの熱量を感じています。
将来的には東京のみならず、日本の各主要都市でもコミュニティ活動が積極的に行われるなど、日本のユーザーコミュニティのさらなる盛り上がりを期待しています。
誰もがデザインに携われる「デザインの民主化」を目指す
「デザインの民主化」という言葉がありますが、Figmaでは、たくさんの人がデザインに参加できる世界を実現することがデザインの民主化につながると考えており、誰もが使えるデザインツールを提供しています。
かつて、「デザイン」の仕事はデザイナーだけが関わることができる領域でした。もちろん、デザインに関するノウハウや成果物もデザイナーのパソコンの中だけにありました。 Figmaの共同創業者でCEOのディラン・フィールドは、以前あるデザイナーから「もしFigmaがデザインの未来なのであれば、自分はデザインの仕事はやめる」と言われたそうです。
しかし、Figmaを使って他職種も含めたチームメンバーとコラボレーションをしていくうちに、そのデザイナーも共同作業でデザインすることの魅力に気付いてくれたそうです。 すでに多くの「デザイナーではない人たち」が、Figmaを通してデザインに携わっています。現在、Figmaユーザーの3分の2がエンジニアやマーケター、コピーライターなどの非デザイナーです。
前述したようにFigmaでは、ユーザーが自分で作ったテンプレートやプラグインを公開し、共有資産のように活用し合っています。これは、エンジニアがGitHubでコードを公開したり、QiitaなどでTipsやノウハウを共有したり、ローコードツールを利用したりする「開発の民主化」に似ているかもしれません。
Figmaの日本語版リリースをきっかけに、たくさんの人がデザインに参加しやすくなるツールとコミュニティが日本に揃ったと自負しています。Figmaのさまざまな機能と、コミュニティから得られるデザインノウハウが活用されることで、プロダクトやサービスがより良いものになることを願っています。
次回は、Figmaを初めて使用するユーザー向けに、ログインや具体的なデザインのやり方、他ユーザーとのシェアなど基本的な使い方を紹介します。