よくある問題 Webスクラップを探すのは面倒だ

前回まで、この連載ではブックマークをあちこちに分散させるという、一元化の流れに逆行する提案ばかりを行ってきました。たとえば、ちょっとしたネタやWebクリップなどは「あとで読む」を使い、Webスクラップ専用のツール(Thunderbirdなど)に貯めて整理することを提唱しました。

他に、ウェブ上で「後でやる」タスクをこしらえてしまったときには、NetRocketなどを使って管理することを提唱しました。「お気に入り」や「はてなブックマーク」を使っているなら、こうすることで、そこに集中してしまう情報の負担を減らすことができると思うのです。もちろん、スクラップやタスクを減らしただけでは、ポータルやSNSの認証画面など、まだまだたくさんのURLが残るでしょう。

それでも、スクラップとタスクをより分けることで、状況は大幅に改善できるはずです。それほどまでに、「あとで読もう」「後でやろう」という理由から、ブックマークする機会というものは多いのです。

とはいうものの、こうして「Thunderbird」をWebスクラップ専用リーダーにしてしまうと、何かある度にThunderbirdを開かなければならなくなります。文章を書いている最中、「そういえばあの資料」というわけでThunderbirdを開く。するとそこに取っておいたアダルトネタが目に入り…これでは仕事の妨げになります。

ライフハックス「紙copiを使う」

私自身は、仕事の資料に使えそうな「Webスクラップ」は必ず、「紙copi」に「箱」を作って、そのどこかにその場で入れることにしています。その「箱」は何らかの意味で「現在の仕事」のためのフォルダです。選択した箇所だけをドラッグアンドドロップで、箱の下の階層のフォルダにまで切り落としできるため、十分に便利です。

紙copiの使用例。このように、選択箇所をドラッグすると画面右下に「箱」が現れ、箱にマウスカーソルを当てると、さらにその下の階層フォルダが現れ、選択内容を取り込める

たとえば今は「マイコミジャーナルに書く」ことが仕事ですから、そのための「箱」があります。他の仕事には他の「箱」があります。Webスクラップは必ず、その箱のどれかに入らなければなりません。つまり、後で仕事に使うからこそスクラップするのです。でなければ、「箱」には入れません。

先ほど取り込んだ選択内容を、紙copiで表示すると、このようになる

そんなローカルのフォルダより、オンライン上に資料をすべておいておいた方がいい、と思われる方も多いと思います。しかし、オンライン上に資料を置くというのは、それを「あとで読まない」可能性が高い限り、避けたい方法なのです。

「あとで必ず読む」ルールを設けても、結局「使わなかったWebスクラップ」は出てきます。つまり、「あとできっと読むだろう」と思って取っておいても、無駄に終わる資料は少なくないのです。それならば、紙copiやThunderbirdのように、ローカル上で資料を参照できた方がいいと思うのです。ローカル上ならば次々に参照し、次々に捨てることができます。どれほど動作が「軽く」ても、オンライン上のツールでは、次々に参照するのは難しいのです。

このように「仕事専用フォルダ」に資料も原稿の草案もあれば、資料を参照するために、いちいちアプリケーションを開かずに済みます。しかし、これ自体も重要なことですが、もっと大事なのは「他のWebスクラップを目にしない」ことなのです。

情報というのは、人を刺激します。それほど刺激的でない情報でも、思わず目に留まるということは当然あります。結局その情報を無視することにしたとしても、目に留めるという行為自体が、時間と精神力のムダを生み出すのです。時間はまだしも、仕事中には精神力の消耗は避けたいところです。

まとめ

とはいえ、仕事のために厳選した資料ですら、使用率は50%以下です。つまり、2つに1つは見直して捨てるのです。捨てるということは、あまりじっくり読む気になれてはいないのだし、読んでもその仕事には役立たないのです。

仕事というのはテーマもはっきりしていて、資料の有効性に関する判断も、比較的つきやすいと思いますが、それでもこうなのです。ですから、「仕事あるいは生活に、いつか何かの役に立ちそうな気がしないでもないけど、今は読む気になれない資料」というものは、再び日の目を見るとは、私には思えないのです。

それでも、「今は読む気になれないけど、捨てるには惜しい資料」というものもあるでしょう。その場合はThunderbirdなど、仕事をするための資料保管場所とは、別の認識空間を用意したほうがいいでしょう。