PCの画面で読むより、印刷した方が使いやすい情報があります。ネットで検索した地図を、紙にプリントしてから出かける方も多いのではないでしょうか。あるいは複数のWebサイトにまたがる情報を比較するときなども、プリントして比較すると見通しが良くなります。今回は、デジタル情報が紙よりも劣る点について考察します。

よくある問題:印刷するのが最善?の情報

とにかく一時的に、ネットからの情報をとっておきさえすればよく、まとめてそれらを一気に見返したい、という時があります。不動産物件をくまなく比較チェックしたいときや、新しいモバイルPCを選別するときなどがそうです。これらの買い物は、「とにかく自分が選択できる中から、自分に最適なものを選びたい」という気持ちと、「買ってしまって後悔したくない」という気持ちが、通常の買い物などに比べて、とても強くなるからです。価格が高い上、買い物に成功したときの幸福感や、失敗したときの残念感が、如実に感じられるからでしょう。

こうした場合、「あとで読む」などを使って、どんどん自分宛にメールで送り、まとめてチェックするというのも、一つの方法でしょう。しかし、受信トレイにウェブスクラップを溜め込みたくないという気持ちもあるし、そういうやり方では「見落とす」恐れもあるため、本コラムでもこれ以外の方法をしばしば模索してきました。だからこそ、「Diigo」「EVERNOTE」「はてなブックマーク2」と、あれこれ渉猟しているわけですが、いずれのツールにせよ、本格的に使い始めると、「一時的な溜め込み」には使いたくなくなります。いわば、バッファとしての入り口と、通常メインで情報管理に使っている空間とを、分けたくなるのです。もちろん、これが「一元化」を壊すきっかけとなりがちでもあります。

ライフハック:紙copi Netで情報処理

かつてこうした問題に対応するために、一時的に激しく活用するネットからの情報は、ひたすら印刷し、紙に打ち出していたという時期がありました。地図などはまさにそうした使い方にうってつけで、不要になったら捨てていたのです。

その後、もっぱら自分宛メールに頼るという時期が続きました。とくに、携帯電話でメールの確認ができるようになってからは、このやり方でいきました。

さらにその後、メールとメモの混在が嫌になったところで、EVERNOTEにすべての情報を集中するようになりました。この方法が最善であると、今も思っているのですが、問題があるとすれば外出先での確認です。iPhoneからもチェックできるEVERNOTEはすばらしいものですが、正直に言って動作が緩慢です。それに、音楽を聴きながらでは「落ちる」ので使えません。

どうしても、一時だけ激しく使う情報を扱いたいと長く感じてきたのですが、やはり印刷に戻そうかと思っていた時、「紙copi」がオンラインで使えるようになった(β版)という情報にぶつかり、さっそく試してみました。

紙copi Net。箱が4つまでで、小箱が使えない制限があるものの、画面は「紙copi」そのもの

すでにこのコラムでもご紹介した紙copiのオンラインバージョンです。これがFirefoxの上で普通に動作しているというのも面白いですが、Macで使えるというのがなんと言ってもポイントでしょう。

・メモ的
・あとで次々に読める
・すぐに捨てる
・すぐにウェブに戻れる
・プレビュー
・一行目が自動的にタイトルになる

など、紙copiの長所のほとんどを網羅しています。

取り込みもローカル版と同じようにできる

現在の4つの箱と小箱なしという制限さえなくなれば、これはかなり便利そうなツールです。なんといっても、タイトルのことを全く考えずによく、メモとウェブスクラップを混在させられ、プレビューを比較的高速にチェックできるというサービスは、そんなにはありません。取り込みの容易さも抜群です。

さらに強調すべき点として、PCの画面で見たものにかなり近い内容を、iPhoneからも利用できるという点です。先日、試しに利用してみたところ、その速度、軽快感に驚きました。この点では、EVERNOTEよりもはるかに使い勝手が良いと言えます。

WindowsやMacから入力したメモを、軽快にiPhoneでチェックできるのもすばらしい点ですが、内容を編集したり、入力するのも、かなり素早くできるところは、感激します。私はiPhoneの入力方式から言って、文字入力だけはあきらめるつもりでいました。しかし、紙copiNetが登場してから、単文を入力するようになりました。

まとめ:要は次々に見ていければいい

情報管理、情報整理などと言っても、結局は目的を果たすために、印刷物を次々に見ていけばいい、判断は自分ですればいい、という状況はよくあります。目的地まで急いでいるときの地図がそうです。急いでいて、雨が降ったりしていれば、PCなどを取り出してはいられません。ポケットに突っ込んだ、くしゃくしゃの地図を取り出して、大急ぎでチェックして、適当に駆け出します(だから迷って余計な時間のロスをしてしまうこともありますが)。

時刻表なども、これ以上ないほど「デジタル向き」だと思えるのですが、いまだにポケットサイズのものを購入して読んでしまうことがあります(単に昔の鉄道好きだった少年時代を懐かしんでいるだけかもしれませんが)。これもやはり、スピーディにいくつもの情報を比較精査できるからです。「一気に、大量に、比較する」という目的では、いまだにインターネットは若干の難があります。