情報整理ツールとしては有名な「あとで読む」をご存じのかたも多いでしょう。ウェブページのキャッシュを、登録したメールアドレスに送ってくれるというシンプルなツールです。登録したメールアカウントを読む習慣さえあれば、「あとで読みたい」と思ったウェブページを必ず再度、目にすることができます。

[あとで読む」。使い方はこちらを参照

今や情報収集ツールとして、広範に活用されている「あとで読む」ですが、言うまでもなく問題は「いつ読むか?」ということだと思います。

私も以前、この「あとで読む」をGmailで利用する便利さに衝撃を受け、それまでは印刷対象にしていた情報やちょっとした小ネタまで、あらゆる情報を「あとで読む」事にしていました。

しかし、メールの受信トレイに「あとで読む」ウェブページのキャッシュが貯まってくれば、だんだんと手に負えない状態になります。そもそもメールボックスには、多種多様な情報が届くものです。人からの連絡事項はもとより、ネットバンクからのお知らせや、オンラインツールの登録完了証も入ってきます。スパムメールも届きます。そこへ大量の「あとで読むページ」が混ざってきたのでは、たまったものではありません。

結果どうなったかというと、「あとで読む」だけは受信されたタイミングで、「あとで読む」のラベルをつけ、アーカイブするように自動処理化を施しました。こうしておけば、受信ボックスから「あとで読む」のメールは一掃されます。あとは、時間ができたときに「あとで読む」のラベルをクリックし、まとめて「あとで読め」ばいいのです。

そう思ったのですが、これは浅はかな考えでした。つまり、こうすれば「あとで読む」メールを目にする機会は自然と消失し、二度と読まなくなってしまうのです。[あとで読む]のラベルがついたメールの数を眼にしたとき、もはや[あとで読む]ラベルをクリックする気が失せました。

ハックス [あとで読む]専用リーダーを作る

この問題を解決する方法として、私自身は[あとで読む]専門のリーダーを用意しています。具体的には、Thunderbird2.0です。

Thunderbird2.0で、[あとで読む]から送られてきたメール以外は、即ゴミ箱行きになるよう、自動振り分け設定するわけです。そうすれば、Thunderbird2.0の受信トレイには、[あとで読む]から来るメール以外には、何もないことになります。

さらに、「収集する時間」と「閲覧する時間」を分けます。これが一緒になっていると、相乗効果が悪循環を生み、きりがなくなるからです。

ここまでシステム化した上で、「情報を読み、整理する時間」がやってきたら、前の日までに「あとで読む」で送信し、受信トレイに残っている[あとで読む]メールだけを読むようにします。当日入ってきたものは、「明日以降」に読みます。区切りをつけるためです。

この時間帯に「読んだ」メールには必ず、何らかの処理を施します。「読む」のが最善ですが、「読む気」が起こらなければ捨てます。読む気も起こらないけれど、捨てるのも惜しいというのであれば、「カテゴリ分類」してから「アーカイブフォルダ」に保存します。

Thunderbird2.0では、すべてのメッセージに好きなだけタグが付けられる

とにかく、受信トレイからは追い出すわけです。 そうしてすべての作業が終わった暁には、もはや受信トレイには、「今日の日時」が入った[あとで読む]メールしか残っていなくなるはずです。

面倒くささが、情報収集レベルを上げる

こうしたやり方は、若干「面倒くさい」と感じられるかもしれません。しかし、その若干の面倒くささが、情報収集時において緩やかなフィルタとして機能するのです。

あまりに手間のかかる情報収集術は、もちろんよい結果を生みません。イヤになって、止めてしまうのです。しかし、あまりに容易に情報収集できることも、決してよくありません。極端な話、一番簡単な情報収集術とは、インターネットを使うことです。オンラインのすべての情報は「そこ」にあるのですから、これ以上大量で高速の情報収集はできないでしょう。

しかし、ただインターネットで情報を探すのは、情報収集術としては何もしていないのと同じ事です。結局のところ、インターネットから情報収集することの意味は、自分にとって意味のある情報だけを「切り出してくる」ということなのです。であれば、その切り出しにはある程度の「選別」が必要になります。この「選別するハードルの高さ」は、収集の「面倒くささ」に、ほぼ比例するでしょう。