よくある問題 ロディアとかモレスキンに弱いですか?
うまく整理すれば、うまいアイデアを上手に有効活用できて、素敵な人生を送ることができる。そんな妄想をふくらませながら、かれこれ三十年。そろそろ気がつきだしたこととして、ロディアやモレスキンに期待しながら、人生をメモ魔として過ごしてしまってはいけないということ。
特に、年末はどうもいけません。ロフトのような文具店をフラフラしていると、使いもしない高級な手帳をじっくり吟味し、時間とお金を浪費してしまいます。本当に、総額でいくらくらい文房具店に貢いできたのか、思い出すだけで鳥肌が立ちそうです。
アナログとデジタルの両方の良さを認める、などと言えば聞こえは良いですが、両方の良さにどっぷり浸ると、両者を隔てる決定的に深い溝を橋渡しする方法が見つからなくなります。メモをアナログに大量に書き付けると、それをデジタルに転記するなど、面倒でとてもやっていられません。
とはいえ、なにもかもをデジタルに集中させようとしたとき、ネックになるのが「自然に弱い」ところと「TPOを選ぶ」ところ。携帯電話を階段から落としたり、早口の人を前に電子手帳でメモを取ろうとしたとき、「紙」の良さを思い知ります。 それでも、紙に書かれた情報は、検索がきかず、紛失する可能性が高いという問題は、おそらく解決できません。このデジタル情報の時代、情報を「どこに」保存しておくかで頭を悩ませるなど、馬鹿げたことに思えますし、膨大な時間をかけてまで、詳細なインデックスをつけるほどの価値は、少なくとも私のメモにはありません。
ライフハックス MVpenとEVERNOTE
しかし最近、この問題がほぼ完全に解決されました。1つはすでにこのコラムでも紹介した、EVERNOTEを使い始めたことによります。
EVERNOTEの良いところは、複数台のPCを使っていても、同期を取るのが簡単なことと、「詳細なインデックス」を短時間でつけられることです。これによって、二度と見返すことのないメモに、「とりあえず」インデックスをつけておくという使い方が、現実的になりました。
さらに、このEVERNOTEにアナログメモを容易に落とし込むツールがあるのです。それが、MVpenという電子ペンです。この電子ペンを使えば、紙を選ぶことなく、ペンで書いたメモの内容を画像ファイルとしてPCに保存することができます。ペンと小さな受信機がセットになっているデバイスなのですが、受信機をUSBでPCに接続すれば、その内容を画像データとして表示してくれるのです。
こうしてPCにダウンロードしたメモは、右クリックでコピーできます。その中で、ストックしたいメモをEVERNOTEに貼り付ければ、どこに書き付けた紙のメモでも、すべてEVERNOTEで一括管理できるというわけです。なおほとんどの場合私は、元のメモを書いたその場で破棄します。
まとめ
EVERNOTE+MPpenという方式のどこが、「アナログノートに一元化」より優れているのかを、検証してみましょう。
そもそも、PCでインターネットとメールを使うこの時代に、アナログノートに全情報を一元化することは、ほぼ不可能です。ほとんどの人にとって、欲しい本やモノ、行きたいお店の情報をノートに一元化することすら、難しいでしょう。しかし、それができてしまったと仮定します。つまり、アナログノートに全情報の一元化ができるものとします。仮にそうだとしても、なお、このEVERNOTE+MVpen方式の方が、メモの管理方法としては優れているでしょう。
第一に、保存先がデジタルなため、インデックスが付けられます。そしてそのインデックスを検索できます。さらにインデックスを一斉に、それも一瞬で書き換えられます。そのいずれも、アナログでは不可能なことです。
第二に、この方法はメモを取る場所を選びません。もちろん、アナログノートでも常時持ち歩けば、メモを取る場所を選びませんが、全てのメモを持ち歩くのは、並大抵の苦労ではありません。とてもかさばるからです。EVERNOTEをインターネットからチェックするのなら、どれほどメモのデータが増えても、体積・容量はノートパソコン1台分で済みます。入力時は、小さなペンと受信装置だけで済むのです。
第三に、この方法はメモの並べ替えと抽出が一瞬でできます。インデックス順、時系列、見出し順。ノートではこれはできません。「連絡先に関するメモ」だけを、EVERNOTEから選び出すのは簡単ですが、紙のメモでは、全部目で探し出すしかありません。
このように考えてみると、仮に「ほとんどの情報を集中するアナログノート」を使うにしても、EVERNOTEとMVpenを用意して損はないことがわかります。
私個人の考えでは、PCユーザーの中にはこうした環境の実現を、長いこと待ち望んでいた人が少なくなかったと思います。いまようやく、「ここまで来た」という感慨に浸れつつあるのです。