よくある問題 雑誌がたまる
「情報誌」という言葉がある通り、雑誌というのは情報のアーカイブです。とくに、『日経ビジネスアソシエ』や『PC fan』のように、「役に立ちそうな新着情報」を収集した内容となると、買って読んでからどうするか、という問題に悩まされがちです。 気になる情報、後で買いたい書籍、後で買いたいデジタルグッズ、後で試したいウェブサービスなどのページに付箋を貼る。または折り目を付ける。そしてどこかに積んでおく。雑誌だけを買っていたとしても、これを繰り返せば書棚は雑誌だらけであふれかえってしまいます。
問題は、あとで読んで感銘を受けることは、それほど多くないわりに、思い切って捨てることもなかなかできない、という心境になることです。雑誌はレイアウトにも十分力を入れているので、「何か持っているだけで有意義なことをしている気分」にさせられてしまいます。
もちろん、ある意味ではそうした気分を堪能するだけでも、悪いことではないのですが、死蔵しているだけの情報誌に、貴重な書棚を占拠されているというのも、面白い話ではありません。お金がもったいない、とも思うわけです。
そもそも買うのをやめてしまえばいい、という考え方もあると思いますが、今回は、買い続けることを前提として、「電子ファイリング」ほど時間も手間もかからない対応策を、考えてみましょう。
一冊買ったら二冊処分
まずは、取っておきたい情報だけはどうにか「死守」し、同時に書棚も空けるという都合のいい方策を考えます。
その方法は実に単純で、入る速度よりも出る速度を速めさえすれば、いつかは片付くだろうというやり方です。具体的には、一冊の雑誌を買ったら、2冊の雑誌をチェックし、直後にそれを処分します。
2冊の雑誌は、古いものを適当に選べばよいでしょう。自分で買って書棚に眠らせておいたくらいですから、一度は読んだ覚えがあるはずです。その中から、特に「これだ!」と思うような情報を、救っておきます。一番容易な方法は、携帯電話のデジカメで撮影し、自分宛にメールすることでしょう。自分のEVERNOTE宛てに携帯からメールするという方法もあります。
もう少し余裕があったら、気になるツールはその場でネット検索するなど、「処置」を施しておきます。しかし、私はこれを目指してはいますが、お金も失う危険がありますし、今ではほとんど実践していません。
このやり方の問題としては、いったいいつになったらすべての雑誌が片付くのか、という気持ちになるところだと思います。基本的には「気長に」やっていくしかありません。少なくとも、1冊買ったら3冊処分するというやり方にしない方がいいと思います。
無理をすれば続かなくなる可能性が高いからです。そもそも「処理する」という作業それ自体は、利益を生むわけでもなんでもなく、実り多い作業かどうかすら、疑問が残ります。ですから、これをやるのが心理的に負担になるようでは、すぐにやめてしまうでしょう。それでも、1冊増やす都度、2冊減らしていけば、いつかは必ず「在庫」がなくなるはずですから、それを続けていく方が堅実です。
まとめ 情報は回遊させて処理する
以上の流れを少しだけ詳しく見ると
情報取得 → 情報放置 → 情報再チェック → 情報処理
という流れがあることがわかります。どうしてこのように、回りくどいやり方だとうまく回り、その場ですぐに情報処理するという、一見理想的なやり方がうまくいかないかというと、「現実的には非常に役立つと感じられる情報量は多すぎて、めったに役立たないことを、人は経験的に知っている」からなのです。
雑誌を買って、即座に魅力的な情報をそのつど取捨選択するという、一見非常に理想的な方法は、うまくいかないのです。だから雑誌は溜まっていくことが多くなります(これはネットスクラップでもメールでも同じ)。
この「理想的な」やりかたには、情報が時間経過した場合、どの程度価値を保ち続けるか、という考え方が含まれていません。目にした瞬間は「大変な価値のある情報」であっても、ひと月後には、「捨てても惜しくもない情報」に変わっているということは、珍しくないのです。
そして、逆はめったに起こりません。したがって、情報収集から、情報の取捨選択までは間を置いた方が、最終的にストックする情報の量を、大幅に減らすことが可能になり、コントロールが容易になるのです。