まずは3種類のツールが持つ役割を確認
Google Apps ScriptはJavaScriptをベースとした言語で、ローカルではなくサーバ上で動作するスクリプトだ。Google Apps Scriptを用いると、一定のデータ処理や操作をバッチ処理して作業の高速化を図ったり、Google Appsが提供するその他のサービスにアクセスしたりといったことも可能になる。
それでは早速だが、スプレッドシートにおけるGoogle Apps Scriptの使い方を見ていこう。まず、基本構成として覚えてもらいたいのが「スクリプト エディタ」「スクリプト ギャラリー」「スクリプト マネージャ」という3種類のツールだ。
スクリプト エディタは、実際にスクリプトを作成・編集するための専用エディタ。スクリプト マネージャは、作成済みのスクリプトを管理するツール。そしてスクリプト ギャラリーが、世界中のユーザーが公開しているスクリプトを検索・インストールするためのツールとなる。
定番の「Hello World」で基本操作を学ぶ
ここからは、実際に簡単なスクリプト作成を見てもらいながら説明しよう。もちろん「JavaScriptなんてわからない!」という人もいると思うので、プログラミング言語の定番として知られる「Hello World」を例に、Google Apps Scriptの基本から見ていきたい。Hello Worldとは、実行すると画面に「Hello World」という文字が表示されるプログラムのこと。非常に単純ではあるが、基本操作をマスターするには最適と言える。
スクリプトを作成するには、スプレッドシートを開いて「ツール」から「スクリプト エディタ」を選択する。エディタに「function myFunction() { }」と表示されていれば入力準備は完了だ。ちなみに、これは「myFounction」という関数を表しており、この中に必要な命令を入力していく。
「Hello World」の文字を出力するには、メッセージボックスを表示するための命令「Browser.msgBox」を使う。命令の後ろにある「('○○○○○')」に書かれた任意の文字が、画面上に表示されるというものだ。
命令を入力したら、保存後に「実行」→「myFounction」をクリックしてみよう。スプレッドシート上に「Hello World」と表示されたら成功。ちなみに「myFunction」以外の関数を作成した場合は、現在「myFounction▼」と書かれているプルダウンメニューから簡単に選択できる。
なお、この専用エディタには条件に応じた色分けや自動インデント、デバッグ機能などが組み込まれており、スクリプト作成に慣れた人にも使いやすい仕様となっている。
続いて「ツール」から「スクリプト マネージャ」を選ぶと、スクリプト管理用のツールが表示される。このスクリプト マネージャでは、今まで作成したスクリプトを選んで「実行」したり、「編集」からエディタを起動したりすることが可能だ。
スクリプトを作成するには、スプレッドシートを開いて「ツール」から「スクリプト エディタ」を選択 |
これがスクリプト エディタの画面。「function myFunction() { }」と表示されている部分に命令を追加していく |
「Hello World」の文字を出力するには、2行目に「Browser.msgBox('Hello World') ;」と入力する |
命令を入力したら、保存後に「実行」→「myFounction」をクリックすると、スプレッドシート上に「Hello World」と表示される |
「myFunction」以外の関数を作成した場合は、「myFounction▼」と書かれているプルダウンメニューから簡単に選択できる |
「ツール」から「スクリプト マネージャ」を選ぶと、スクリプト管理用のツールが表示される |
Web上に公開されたスクリプトも利用可能
ここまでの解説でスクリプトの基礎的な作成方法はおわかりいただけたと思うが、それでも「実務に使えるようなスクリプトが組めるまで何年かかるだろう」と思う人もいるはず。
しかし、Google Apps Scriptにはそんな不安を解消してくれる「スクリプト ギャラリー」という機能がある。これは冒頭でもお伝えした通り、世界中のユーザーが公開しているスクリプトを検索・インストールできるツールだ。これを使えばスクリプトに関する知識がなくても、実用的かつ必要な機能を入手することが可能となっている。
スクリプト ギャラリーはキーワードによる直接検索のほか、ビジネス・カレンダーとスケジュール・変換と計算・教育・エンターテインメント・個人ファイナンス・統計情報といった、カテゴリごとの分類から目的のスクリプトが探し出せる。現在はまだ日本人による制作物は少ないようだが、今後に期待したいところだ。
使い方は簡単で、任意のスクリプトを指定して「インストール」をクリックすると、自分で作成したものと同じくスクリプト マネージャから管理できるようになる。
ただし、スクリプト ギャラリーで公開されているのは大半が個人作成のスクリプトであるため、業務利用に不安を感じるようならば、Google Appsの正式販売代理店などが販売・配布しているものを使うのがベストだ。
今回は、Google Apps Scriptの基礎となる部分について、駆け足気味で紹介してきた。このGoogle Apps Scriptは使えば使うほどに日々の業務を効率化できるので、これを機に学んでみてはいかがだろうか。
参考になるWebサイト
Google ドキュメントのテンプレート集
http://www.sateraito.jp/Google_Docs_Spreadsheets.htmlGoogle ドキュメントの使い方テクニック
http://www.sateraito.jp/google_apps_learning.html