マイナビにおける、「 Google Apps 」の導入は成功した。その裏には、部長の薄井照丈(以下 薄井)を始めとする業務システム統括部員たちの、システム構築に対する心意気があった。そして彼らは、新たな挑戦に向かうこととなる。

ユーザーに過度な負担をかけないために

「 Google Apps 」を導入するにあたり、様々な部署からの問い合わせがあった。

「アカウントが全部gmail.comになるのか?」
「今まで使っているメーラーはどうなるのか?」
「余計な手間が増えるのではないか?」

株式会社マイナビ 業務システム統括部 薄井照丈

結局のところ、これらの不安は杞憂に終わることになる。それは業務システム統括部のメンバーが、「これまでと同じように使えること」を目指した結果だった。実は、当初はメールの受信をすべてブラウザにしてしまうという考えもあった。また、そうすることによって利便性が上がる部分も、確かにあった。

「ですが、使い方を変更してしまうと、短期的には生産性が落ちてしまいます。確かに便利にはしたい。ただし、人が介在する以上は使い慣れたルールがあります」(薄井)

システムが移行しても、使用しているアカウントは導入以前と同じものが、そのまま使えるようになっている。このように独自ドメインでGmailが使えるのも「 Google Apps 」が持つ特徴の一つだ。

更に、メーラーは、これまで使用していたものがそのまま利用することができる。また、移行の手順についても、簡単なマニュアルで行うことができる。これらは、業務システム統括部のメンバーが、そうなるようにシステムを選定し工夫したからである。

「移行前と後で、もともと使っていたメーラーをそのまま使えたので、全く変化はありませんでした。変わったのはわかっていましたが、意識することはありませんでした」(営業部 社員)

システムは、それを使う人たちに過度な負荷をかけてはいけない。もちろん、システムである以上、仕組みが変わることはある。だが、使い方が変わるようなことは、できるだけ避ける。彼らはそれを重視した。

「目的は、仕組みを使うことではありません。システムは、業務をスムーズにするためのものです。いくら便利な機能が追加されても、ユーザーが使い難かったら意味がありません」(薄井)

「 Google Apps 」の可能性を追求し、より便利なシステムを

現代のビジネスにおいて、メールは命そのものである。移行後も、スムーズに違和感なくメールが利用できるように、業務システム統括部は常に気を配り続けた。そして、移行から約8カ月、様々な調整を重ねた結果、メールシステムの運用方法はほぼ完成に近づいているとのことである。

もはや以前のように、メールが止まるというプレッシャーや恐怖や、サーバーの拡張などに頭を悩ます日々からは解放された。だが、だからといって業務システム統括部の仕事がなくなった訳ではない。

「 Google Apps にあるサービスを使って、システムをもっと使いやすく便利なものに進化させること、それが今の目標です」(薄井)

今回、マイナビが導入した「 Google Apps 」には、様々なサービスがある。例えば、「Google ドキュメント」が活用できれば、情報の共有という面においても、更に利便性が増す。また、スマートフォンやタブレットを活用できる仕組みについても検討中とのことだ。

「今はやることが多くて、すごく困っています」と薄井は語る。だが、その表情は意外にも明るい。忙しくて困っている。その言葉だけをとれば、1年前と状況は同じかもしれない。だが、それは以前のような不安とプレッシャーに追われたものとは違う。より便利に、より使いやすく、創意工夫をする。そのための忙しさである。システムの移行は、業務システム部のメンバーたちの意識もまた、プラスの方向へと移行させることとなった。

「 Google Apps 」は、今後も新たなサービスを次々と発表して行くものと思われる。それらを、どのように消化し、どのようにシステムに活かして行くか、今後も業務システム統括部員の創意工夫は続いていくことだろう。

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