Google Workspace版のGmailは、Google MeetやGoogle Chatなどとより密な統合がなされていることもあり、見た目にやや違いはありますが、基本的にGmailであることに変わりはありません。GmailのWebサイトにアクセスし、Google Workspace版のアカウントでログインすれば通常通り利用が可能ですし、無料版Gmailの機能や設定のほとんどは従来通り利用できます。
ただし、すべてが同じというわけではなく、一部に関してはそのまま使えるとは限らないケースがあります。例えば、オフラインメールの設定(第30回参照)やアカウントの委任(第39回参照)など、いくつかの設定項目は標準状態のGmailでは設定自体ができなくなっているのです。
では、これらの設定をGoogle Workspace版で利用するにはどうすればいいかと言えば、Google Workspaceの管理コンソールから各機能を使えるよう、設定変更する必要があります。管理コンソールは専用のURLからアクセスし、最初に登録した管理者のアカウントでログインすることで利用可能です。
管理者アカウントにログインすると下のような画面が現れるので、ここからまず「アプリ」を選びます。
続いて「Google Workspace」を選びます。
Google Workspaceの主要アプリ一覧が現れるので、その中から「Gmail」を選びます。
するとGmailのアプリ設定画面が現れます。先に触れたオフラインメールなどの設定を変更するには、ユーザー設定」をクリックします。
設定画面が現れたら、まずは設定変更の対象となる組織を選びます。左側のペインから「組織部門」をクリックし、「組織部門の検索」から自身が所属する組織を選びます。ただしこの操作は複数のユーザーを登録した時に必要になるものであり、1人で利用する、あるいは組織が1つしかないという場合は実質的にこの操作は必要ありません。
続いて右側のペインで設定を変更します。オフラインメールの利用を許可する場合は、「Gmail ウェブ オフライン」を選択した後に「Gmail ウェブ オフラインを有効にする」にチェックを付けた後、「保存」をクリックします。
これで設定は完了し、Gmail上からオフラインメールの設定が可能になります。ただし設定がGmailに反映されるには少々時間がかかるようで、最長で24時間かかるとされています。
なぜGoogle Workspaceでは、一部の設定を利用するのに管理コンソールでの変更が必要なのかと言いますと、セキュリティが大きな理由といえます。Google Workspaceは規模の大小を問わず企業などの組織が利用するサービスであり、ユーザーや組織単位で使える機能を制御することが可能であることから、不正利用につながる可能性もあるアカウントの委任や、利用したパソコンに情報が残るオフラインメールなどを、システム管理者が利用制限するためこうした設定ができるようになっているのでしょう。
それゆえ、このユーザー設定では他にも情報保護モードやテーマの変更なども制御できますし(いずれも初期状態では「オン」になっている)、同じGmailの「エンドユーザーのアクセス」の設定では、外部メーラーを使う上で必要な、POPやIMAPのアクセスも制御できるようになっています。これら機能をユーザーに使わせたくないと思ったら、機能をオフにすることも可能なのです。
こうしたことは1人でGmailを利用するならあまり気にする必要はないかもしれませんが、複数の従業員などと一緒に利用する場合は、組織のセキュリティポリシーに配慮した管理や運用が必要になってくる訳です。Google Workspaceは機能が高度な分、運用には無料版のGmail以上に配慮が必要だということは、覚えておくべきでしょう。