新しいパソコンと高速なブロードバンド回線が利用できる普段のオフィスであれば、いつも通りGmailを使ってメールをやり取りしても特に不自由を感じることはないでしょう。しかし、出張などで外に出て、ノートパソコンを使ってGmailのやり取りをするとなれば、話はやや変わってきます。今回はパソコンやインターネットが重い時の対策を解説します。
例えば、会社から支給されているノートパソコンが古く、ブラウザの動作速度が遅い場合は、最近急速に進化しているGmailの動作が重く、不自由を覚えることがあるかもしれません。
また、最新のノートパソコンを使っていたとしても、海外などのネットワーク環境が悪い場所で利用したり、最近増えている飛行機の中から利用可能なインターネットサービスを使ってメールの送受信をしようとすると、ネットワーク速度の遅さが原因で通常のGmailではうまく動作しないケースが少なからずあるのです。
遠方や海外での取材が多い筆者もそうしたシーンに出くわすことが意外と多いのですが、そんな時に役立つGmailの機能が「簡易HTML形式」です。これは要するに、最新のHTMLの機能をフル活用した通常のGmailとは異なり、旧来のHTMLだけを用いて表示する、簡易版のGmailというべきもの。
下の画面を見てもらえば分かる通り、見た目はかなり昔のGmailといった印象で利用できる機能にもいくつかの制限がありますが、その分動作や読み込みが非常に軽く、メールの送受信というGmailの基本的な機能はしっかり利用できることから、手元の環境が悪い時に利用すると非常に役立ちます。
簡易HTML形式のGmailを利用するための方法は、大きく2つあります。1つはGmailの起動画面が現れた時、画面右下に現れる「簡易HTML形式で読み込み」をクリックする方法。ここをクリックするだけで簡易HTML形式のGmailが起動します。
しかし、この方法の場合、タイミングによっては簡易HTML形式に切り替わらない場合があります。そんな時は「https://mail.google.com/mail/h/」にアクセスしてみましょう。すると下のような画面が現れるので、「簡易HTML形式のGmailを使用」をクリックすると、簡易HTML形式のGmailが利用できます。
表示が簡素になるとは言え、中身はGmailそのものなので、受信トレイからメールを選んで内容を参照したり、「メール作成」をクリックすることで新規メールを作成したりすることはもちろん可能です。アーカイブやスター、ラベルやフィルタ、そして検索演算子などといったGmailの基礎的な機能もちゃんと利用できます。
ただし当然のことながら、あくまで簡易版であるため通常のGmailとは使い勝手が大幅に変わってしまうことは覚えておく必要があるでしょう。特に大きな違いが出てくるのが、メールの送信画面です。
簡易HTML形式では、例えば第40回や第42回で紹介した「From:」での送信元メールアドレスの選択はできなくなりますし、リッチテキストでメールを書くこともできません。
また、ファイルをドラッグ&ドロップして添付したり、「Googleドライブ」や「Googleフォト」などと連携したりする機能もなく、「参照」ボタンを押してローカルからファイルを選び、追加していくという旧来の方法しか利用できなくなります。
設定の項目タブも「全般」「アカウント」「ラベル」「フィルタ」「メール転送と POP/IMAP」の5つに絞られる上、それぞれ設定できる項目も少なくなります。他にも簡易HTML形式では、メールだけでなく連絡先も通常とは異なる簡易版の表示になる、キーボードショートカットが利用できなくなる……などさまざまな制限があります。
それゆえ、簡易HTML形式のGmailは常に利用するものではなく、環境が悪い場面で一時的に利用するというのが現実的といえるでしょう。ですがネットワーク環境が非常に悪いけれど、どうしてもメールを送る必要がある……というケースは意外と起き得るもの。覚えておいて損はない機能といえるのではないでしょうか。