本連載ではこれまで、SEO対策における基本的な考え方やWebサイト制作のノウハウなどをお伝えしてきました。今回は、サイト運営において活用すべきツール「Google サーチコンソール (以下、サーチコンソール)」について紹介したいと思います。
サーチコンソールとは?
Google アナリティクスを「サイトに訪れたユーザーがどのように行動したか分かるツール」だとしたら、Google サーチコンソールは、「Googleのクローラーがどのようにサイトを見ているか分かるツール」だといえます。
同ツールは、Google検索結果でのサイトのパフォーマンスを監視・管理できる無料サービスとして、自身のサイトがGoogleにどのように認識されるかを確認し、検索結果でのサイトのパフォーマンスを最適化するもの。元々「Googleウェブマスターツール」と呼ばれていましたが、2015年5月にサーチコンソールへと名称変更が行われた際、「サイトがどのような検索キーワードで表示されているか」を閲覧できるようになりました。
サーチコンソールの初め方
サーチコンソールを利用するには、自社サイトのURLを同サービスの公式サイトより登録する必要があります。
その際、サイト所有者で有ることの証明が求められますが、下記の5つにて対応することができます。サイトにユニバーサルアナリティクスという新バージョンのアナリティクスを導入しているのであれば、「4番」を選択するとスムーズに行うことができるほか、「1番」「2番」も比較的簡単な方法です。ただし、特別な事情がない限り、アナリティクスを登録したアカウントと同じアカウントで登録するように注意しましょう。
1. HTML ファイルをアップロード
2. HTML タグメタをサイトのホームページに追加
3. ドメイン名プロバイダにログイン
4. Google アナリティクスを利用
5. Google タグマネージャの利用
サーチコンソールの注目機能
サーチコンソールで利用できる機能はすべて、SEO対策において有効に活用できるものですが、今回はその中でも特に、利用頻度が高いものや重要度が高いと思われるものを紹介します。
1. メッセージ
この機能は、Googleよりサーチコンソール上にメッセージが届くというものです。基本的には、サイトに何か問題があった場合に届くことが多いのですが、中には「サイトにペナルティを課した」というような非常に深刻な場合もあります。
2. 手動ペナルティの解除フォーム
ほどんどのサイト運営者にとって関係のないことであってほしいのですが、ユーザーを無視した過剰なSEO対策を行った結果として、サイトにペナルティを課せられることがあります。
このペナルティには手動と自動の二種類があり、そのうち手動ペナルティに関してはサーチコンソール上から申請しない限り解除されることはありません。もちろん、ユーザー目線でのSEOを実施する限り、この機能を利用することはありません。
3. サイトへのリンク
SEO対策を行う上で、「どのユーザーが(そのユーザーの)サイトにリンクを貼っているか」や「ユーザーに評価されている記事はなにか」「(ユーザーのサイトにおいて)どのように紹介されているか」など、ユーザーに評価されているコンテンツとその理由を把握することは、サイト運営者において非常に重要なことです。
この機能では、自社サイトやページのリンクが貼られている場所、そのリンクがどのようなキーワードで貼られているか、どのドメインから多く張られているかなどのデータを閲覧することができます。これにより、たとえば「不審なリンクが貼られていないか」などをチェックすることも可能なため、定期的に利用したい機能となります。
4. HTMLの改善
前回の記事にて、タイトルタグはSEO対策において重要であると言いました。それは、そのページに何が書いてあるか端的に明記する役目があり、Googleも評価の際に参考にするためでしたね。したがって、ページが違えば当然、タイトルも変わってきますし、タイトルが他のページと同じであるならば、タイトルかコンテンツのどちらかを修正する必要があります。
しかし、何百・何千ページにもなるサイトを運用していると、すべてのページタイトルを確認することは現実的ではありません。そこで、サーチコンソールの「HTMLの改善」を利用することで、重複するタイトルや長すぎる・短すぎるタイトルなど一覧で表示することができます。
5. モバイルユーザビリティ
こちらも前回の記事にて言及しましたね。Googleは2月にウェブマスター向け公式ブログにて「モバイルフレンドリーに関しての記事」を投稿し、「サイトがモバイルに最適化されているかどうかをランキング要素として利用し始める」ことを発表しました。
そして告知通り、4月21日に実施されたモバイルフレンドリーアップデートにより、モバイルを利用した検索結果においてモバイルフレンドリーなサイトの順位が引き上げられたほか、米国時間9月1日には、アプリのインストールを促すインタースティシャル広告を表示するWebページに対しても同様の施策をとることを明らかにしました。
今後、ますます重要になってくるモバイルユーザビリティですが、実際、サイトのどの部分が問題なのか具体的に示してくれる機能がサーチコンソールにはあります。この機能を活用し、「どこにも問題がないサイト」を目指していただきたいと思います。
6. 検索アナリティクス
この機能は、ウェブマスターツールからサーチコンソールに変更された際に新たに追加されたもの。Google検索の結果画面において自社サイトが「どのようなキーワードでどれくらい表示されているか」「クリック数はどれくらいなか」ということを把握することができます。
たとえば、ヤフーも検索結果を2015年8月18日より段階的にSSL化するなど、今後ますます流入キーワードの測定が困難になります。その中でサーチコンソールの検索アナリティクスが貢献するインパクトはとても大きいのではないでしょうか。
さて、サーチコンソールには本稿にて紹介した機能の他にも、クローラーに巡回を促す機能や、検索結果にレビューや営業時間を掲載するために利用する構造化データの支援ツールなどが充実しています。参考書などは、Googleアナリティクスに比べ少ないですが、理解し使いこなせばサイト運用の強い味方となります。
サイト制作の際はぜひ、サーチコンソールに登録し、SEOに適したサイト運用を行ってほしいと思います。
執筆者紹介
ジオコード SEO事業部 課長 中村一浩
2009年ジオコード入社。SEO事業の技術者として活躍し、その知識欲と向上心から半年でSEOディレクターに抜擢される。その後、SEO新サービスの企画や企業全体の業務改善に取り組み、3年でSEO事業部の責任者となる。
2015年8月現在、SEOサービスの企画開発のほか、サムライファクトリーやSEO株式会社等のSEO事業の買収、「ネクストSFA」など自社サイトのSEO施策アドバイザーなど、社内外問わず幅広くSEOに従事する。