前回までの記事では、SEOに強いWebサイトを構築するには、有益なコンテンツを提供することが大切であり、そのために「ユーザーのニーズを把握すること」「自社の強みを明確にすること」が重要であるとお伝えしました。そして、検索キーワードからユーザーのニーズを探る考え方とその手法を紹介しました。

本稿では、取得した検索キーワードをコンテンツに対しどのように活かすかや、Googleに評価されるサイトにするため、どのような構造にするべきかということをお話します。

ユーザーのニーズはロングテールキーワードから探る

検索キーワードには、ユーザーのニーズが隠れています。それを明らかにするために、キーワードアドバイスツールやサジェスト機能を利用することで、自社商材に関するキーワードを拡張することができます。一例として、「カメラ」というキーワードをベースに拡張したキーワード一覧を見てみましょう。

これによると、ベースとなるキーワード「カメラ」のように1単語のみのワードのほか、「カメラ 通販」のように2つの単語が組み合わさっているもの、「カメラ 通販 激安」のように3つの単語で組み合わされているものがありますね。

業界では一般的に、1つの単語で構成されているキーワードを「ビッグキーワード」、2語以上で構成されているものを「ロングテールキーワード (複合キーワード)」と呼んでいます。ビッグキーワードは比較的検索ボリュームが多く、ロングテールキーワードは検索ボリュームが少ない傾向にあります。

では、ユーザーのニーズを "より" くみ取ることができるキーワードは、どちらでしょうか。先ほどの例をもとに考えてみましょう。

「カメラ」というキーワードを入力したユーザーは、カメラの使い方を調べているのでしょうか。それとも、カメラを購入したいのでしょうか、その逆で、手持ちのカメラを売りたいのかもしれません。だとすれば、そのカメラは、一眼レフでしょうか、コンデジでしょうか……さまざまな可能性が考えられます。

このように、「カメラ」という1つの単語からは、明確なユーザーの意図を読み取ることはできません。上記のどれが正解でどれが不正解ということではなく、すべての意思が「カメラ」というキーワードには含まれているのです。

では、「カメラ 通販」ではどうでしょうか。検索したユーザーにカメラを購入する意思が見て取れます。「カメラ 通販 激安」ともなれば、このワードを検索したユーザーは購入する意思に加え「値段」に重点をおいていることが推測できます。

どのようなキーワードが検索された際に上位表示を狙うべきか考えるとき、どうしてもビッグキーワードに目がいきがちになります。しかし、ビッグキーワードだけを見ていては、ユーザーのニーズを把握することはできません。ロングテールキーワードにまで目を向け、より具体的なユーザー像をイメージするようにしましょう。

次に、抽出したキーワードからWebサイトに訪れてほしいユーザーのニーズを理解したのち、それをコンテンツに反映させていきます。その際に考慮すべき点を紹介しましょう。

SEOに適したWebサイト構成の "大前提" とは

1. 1コンテンツには1テーマ

例えば、記事コンテンツを作成する際、ユーザーに対して「あれも、これも伝えたい」という思いからテキスト量が増えてしまって、「最も伝えたいテーマが何か分からない記事になってしまった」という経験はないでしょうか。

極端な例ですが、デジカメに関するコンテンツにフィルムカメラについて記載すれば、訪問したユーザーは混乱してしまいますよね。Googleも同様に、コンテンツのテーマが統一されていないと正しく評価できません。コンテンツを作成する際には必ず、どんなユーザーが何を求めてサイトを訪れるのかイメージし、"1コンテンツ 1テーマ" となるようにしましょう。

2. 複数のページに同じ内容を記載しない

「SEO対策においては、サイトを構成するページが多い方が有利である」という認識は、間違いではありませんが、それらページが "焼きまわし" かのような内容であれば、意味がありません。むしろ、ユーザーのためではなくSEO目的にページを量産したと判断され、マイナス評価を受けてしまう可能性もあります。

ユーザーにとってどうしても必要なコンテンツであれば、SEO上マイナスになることはありませんが、原則としては、同一のテーマを複数ページに分散させず、1つのページにまとめましょう。

3. サイト階層の理想はピラミッド型。下層に行くほど横列が広がるイメージ

サイトの階層をディレクトリ構造といいますが、これはピラミッド型であることが理想です。

先ほどの「カメラ」を例にすると、「カメラ」という大きな箱(属性)の中に「デジカメ」や「一眼レフ」があり、また、「デジカメ」の中に「メーカー」や「型番」があるという具合に、キーワードを選択すればするほど、ユーザーのニーズは具現化されていきます。

言い方を変えれば、「カメラ」というキーワードは、「デジカメ」や「メーカー」などの意味を含んでいるということになります。

サイトのディレクトリを考えるときも、同様です。「カメラ」をトップページとし、次いで「カメラの種類」「メーカー」「シリーズ名」「型番」と、ユーザーニーズが詳細になるごとにディレクトリが一段下げていきます。このような考え方に基づいたサイトは自然とピラミッド型のディレクトリ構成となり、下層になればなるほど同階層の横列が広がっていきます。

一方、ピラミッド型になっていないサイトは、「カメラの種類」の横列に「型番」が並んでいるようなものを指します。そのようなサイトは、Googleにきちんと評価されない可能性が高く、SEOにおいて損をしていると言わざるを得ません。

Webサイト制作におけるSEO対策は、最初が肝心

2015年8月現在、SEOに適したサイトに必要な要素として、ユーザーのニーズに応えるコンテンツを保有することのほか、サイトの構造がピラミッド型であることが非常に重要になっています。せっかく良いコンテンツをもっていてもサイトの構造がいびつなことにより正当に評価されないサイトも多く存在するのが事実です。

また、コンテンツはサイト制作後でも質を高めていくことができます。一方、サイトの構造は、制作後に修正しようと思っても非常に労力のかかる作業になる上、SEO以外の問題も発生してしまうこともあります。だからこそ、サイトの制作に入る前に、きちんとユーザーのニーズをくみ取り、コンテンツと構造に反映させましょう。

次回は、サイト制作時にここだけは抑えておくべきSEOのポイントやテクニックを紹介します。

執筆者紹介

ジオコード SEO事業部 課長 中村一浩

2009年ジオコード入社。SEO事業の技術者として活躍し、その知識欲と向上心から半年でSEOディレクターに抜擢される。その後、SEO新サービスの企画や企業全体の業務改善に取り組み、3年でSEO事業部の責任者となる。

2015年8月現在、SEOサービスの企画開発のほか、サムライファクトリーやSEO株式会社等のSEO事業の買収、「ネクストSFA」など自社サイトのSEO施策アドバイザーなど、社内外問わず幅広くSEOに従事する。