前回、SEOは流行りを過ぎた過去のマーケティング手法ではなく、今でも、企業のWebサイトの財産として蓄積されていく取り組みとして影響力を持つとお話しました。

そして、検索エンジンの最大手となるGoogleが「SEOは、サイトを訪れるユーザーのために行われるべき」と公言しているように、SEOについて考えることは、ユーザーについて考えることだとお伝えしました。つまり、ユーザーのニーズに答えられるWebサイトがSEOを考慮したサイトだということです。

今回は、SEOに適したWebサイトを構築するために、「どのようにユーザーのニーズを探るのか」や「どのようにサイトに落とし込むのか」を紹介していきます。

有益なコンテンツとは何か

検索エンジンに最適化したWebサイトをつくるにあたり、まず考えたいことは、なぜサイトをつくるのかという「目的」です。どんな目標を達成するためにサイトを持つ必要があるのかを明確にするという作業です。

そんなことは当たり前だと、大多数の人が思うかもしれませんが、意外にも、サイトの多くは目的や目標が曖昧なまま作成されています。これは、「そのサイトに訪問するユーザーがどんな情報を求めているのか」を明確に考えていないということと同じです。前述のとおり、ユーザーについて考えていないサイトは当然、SEOに適したサイトになり得ないでしょう。

さて、Googleが低品質なサイトをアルゴリズムで判別できるようになった2012年頃、業界内では「SEOに強いサイトとなるためには、"有益なコンテンツを提供することが大切" である」と多くの人が提唱するようになります。

では、「有益なコンテンツ」とは何でしょうか。

他社のWebサイトなどから流用したものではないオリジナルの文章で、かつユーザーのニーズに答えるもの ―― このような説明を受けて、即座に自社サイトへ落とし込める人はほとんどいないでしょう。

具体的にはどのようなコンテンツなのか。私は、「ユーザーが知りたい情報と自社の強みがクロスするところにある情報」だと考えています。したがって、有益なコンテンツを作るためには、「ターゲットとするユーザーはどんな人か」や「彼らが知りたい情報とは何か」「自社の強みは何か」を深く掘り下げる必要があります。

ユーザーについて深く掘り下げる際、検索キーワードからユーザーのニーズを読み解くことは非常に重要な作業です。なぜなら、検索キーワードにはユーザーの意図が反映されるからです。

たとえば、「○○ とは」というキーワードで検索したユーザーは、「○○とはどういうものなのか」といった定義や意味を知りたいという意図を持っていると考えられます。また、「○○ 安い」であれば、○○が何かは認識しており、選択する上で価格を重視していることが分かります。もしかしたら、購入も検討しているかもしれません。

検索キーワードの裏側には必ず、何かしらのニーズを持っているユーザーがいます。自社に関連するキーワードを検索するユーザーはどんな要望を持っているのか ―― これを把握することは、SEOに適したWebサイトを作成する上でとても重要です。

検索キーワードの調べ方

では、その検索キーワードはどのようにして調べればよいのでしょうか。いくつかの方法がありますが、ここでは代表的なものを紹介します。

1. キーワードアドバイスツール / キーワードプランナーなどのツールを利用する

Yahoo! やGoogleでは、入力したキーワードに関連したキーワードを出力してくれるツールを提供しています。関連キーワード意外にも、さまざまな項目が出力され、サイト制作時の大きな手助けとなります。利用するにはアカウントを作成する必要がありますが、利用料は無料です。

2. 検索エンジンのサジェスト機能を利用する

サジェストとは、キーワードを打ち込んだ際に検索窓の下に表示されるキーワードのこと。これによって表示されるキーワードは、一般的に、検索したキーワードと関連して検索される頻度が多いキーワードが表示されるため、新たな知見を得る際に有効的です。

3. 競合サイトを参考にする

競合サイトは、コンテンツの内容にどのようなキーワードを盛り込んでいるのかを調べるのも、キーワードを抽出する際に有効な手段です。その際には、トップページだけではなく下層ページも含めて調べるとより幅広いキーワードを抽出することが可能です。前述のアドバイスツールにURLを入力すると、関連したキーワードを出力してくれる機能もあり、これにより効率良くキーワードを抽出できます。


検索ボリュームの捉え方

SEO対策を行う上で、「検索ボリューム」という単語をよく耳にします。検索ボリュームとは「キーワードが何回検索されているか」を表すもので、業界では、検索ボリュームが多いキーワードを「ビッグキーワード」と呼んでいます。

数年前まで、キーワードの検索ボリュームが多い順に対策をするような手法が多く存在しましたが、現在では、それは価値のある行為だと言えません。もちろん、せっかく作ったWebサイトですから一定の流入が欲しいのも分かりますが、重要なことは、キーワードの検索ボリュームではなく、キーワードがもつユーザーのニーズです。

自社サイトに関連し、かつユーザーのニーズがあるキーワードで、一定の検索ボリュームを確保することを目指しましょう。

自社の強みを明確にしよう

自社の強みを明確にすることは、ユーザーのニーズを理解することと同じくらい重要ですが、強みは「世界一安い」とか「圧倒的に性能が優れている」というような絶対的なものでなくても構いません。

たとえば、自社の商材が、ほかのどんな商材よりもマッチしているユーザーはどんな人でしょうか。そのユーザーには、なぜ自社の商材がマッチしているのでしょうか。そして、その商材をどうのように利用すれば、ユーザーは抱えている問題を解決することができるのでしょうか。

こういったことを、できる限り丁寧にコンテンツに落とし込みましょう。そうして完成したコンテンツこそ、ユーザーにとって有益なコンテンツであると私は考えています。

SEOに適したWebサイトは、「サイトを持つ目的を明確化すること」「検索キーワードからユーザーのニーズを紐解くこと」「自社の強みを理解すること」「有益なコンテンツに落とし込むこと」を最初にきちんと行うことで実現するのです。

さて次回は、「SEO対策における "考え方の基本"」の後編として、抽出したキーワードに対応するサイト構成はどのようなものなのか ―― サイトディレクトリの重要性や内部リンク構造に関して紹介します。

執筆者紹介

ジオコード SEO事業部

2005年2月14日に設立後、自社開発のSEOサービスを提供する。これまで3,100サイト、4,800ワード以上のSEO対策を実施。「Google Excellent Performer Award」において6期連続で受賞中のリスティング広告の運用や、SEOに適した構成を得意とするWeb制作など、一社で完結するWebマーケティングを提供している。近年は、交通費精算ツール「ネクストICカード」や営業支援ツール「ネクストSFA」などのクラウド系サービスを展開する。