スピードの速い食品業界で必須のコミュニケーション強化

持ち帰り弁当でおなじみ「ほっかほっか亭」の総本部を子会社にもち、西日本地域のフランチャイズチェーンを統括しているのが株式会社ハークスレイ(以下 ハークスレイ)だ。フレッシュベーカリーの製造とベーカリーショップ「HOKUO」を展開する北欧フードサービスや、店舗委託事業を行う店舗流通ネット、加盟店や直営店向け食材等の物流を受け持つアサヒ物流など、「食」にかかわるさまざまなサービスを幅広く展開している。

そのハークスレイが、営業担当者など社員全員にGoogle Appsアカウントを発行し、情報共有に活用している。主な利用機能はメール、カレンダー、サイトといったところだが、ドキュメント等も含めて幅広く活用しているという。

ハークスレイ システム部 部長
中西信夫氏

「コンシューマー向けの飲食業界は非常にスピードが速く、迅速なコミュニケーションが必須です。従来はExchangeとOutlookを組み合わせていたのですが情報がうまく共有できず、メール等で1対1で送るのみになっていました。なんらかの方法で改善しなければならないと考え始めた」と語るのは、システム部 部長である中西信夫氏だ。

フリーウェアから大手メーカー製のグループウェアまで幅広く検討したが、思うようなものが見当たらないまま時間が過ぎた。そうした中、1年半ほど前にIT系ニュースで法人導入事例が拡大していることを知ったのがGoogle Appsだった。

二度の導入断念を経て出会ったグルージェント

「最初はコンシューマー向けのGmailのイメージが強かったのですが、法人導入事例が増えたことで仕事にも使えるのだと感じました。そこで導入を試みたのですが、実は二度ほど断念しています」と中西氏。

ざっと試用した段階でもパッケージ化されているツールに比べるとわかりづらく、自社にマッチした使い方を確立するのが難しいように感じたという。導入支援ベンダーにも相談したが、芳しい結果は得られなかった。

「やりたいことがどう実現していいのかわからず質問しても、それは難しい、できないという返事が多かったのです。何度か検討しなおしたのですが、Google Appsには強い将来性を感じていたこともあって、ぜひ使いたいと改めて思いました。しかし失敗はできません。困っていた時に出会ったのが、グルージェントでした」と中西氏は語る。

大阪で開催されたGoogle Apps関連のセミナーに参加した際にグルージェントに出会った中西氏は、具体的な導入についての相談を開始する。

ハークスレイ システム部 課長
中野雅哉氏

「これまでは出来ない、無理と言われていたことをグルージェントは"できる"と言ってくれました。たとえばポータルのカスタマイズなどです。実際に一緒にやってみようということになり、1日かけて一緒に使ってみた時に、壁を越えたなと感じました」と語るのは、システム部 課長の中野雅哉氏。

具体的な導入を開始したのは2012年2月。5月初旬にユーザー部門への導入を開始し、その後段階的に展開。7月には社員全員に400アカウント分が発行された。

PCができる人から展開しユーザーの慣れを待つことで導入成功

同社は、最初の段階ではシステム部門だけに導入し、ノウハウを蓄積。その後、事務職の女性など普段からPCに触れ、比較的使いこなせている社員から展開した。

「一番使うのは事務の女性です。まずはよく使う人から展開し、キーマンとしてご協力頂きました。質問があるなら同じ部署の人に聞いてください、という形ですね。それでも導入当初は大量の問い合わせがありましたが、先に使い尽くしていたことで我々自身にノウハウがたまり、対応もスムーズに行えました」と語るのは、システム部の築山信也氏だ。

ハークスレイ システム部
築山信也氏

導入初期段階の2~3週間は毎日のように教育を行い、初期ユーザーを鍛えながら問い合わせに対応。当時はシステム部で別のシステムを担当している人員もGoogle Appsのサポートとして活躍したという。しかし一度展開し始めると、部門導入はスムーズだった。

「隣の部署ではこういうことをやっているらしい、というような話が広がり、それぞれがノウハウを交換するようになりました。今では我々も知らないような機能を工夫して使っているユーザーもいるようです」と中野氏は語る。

スムーズな展開の影には、システム部の知恵も一役買っていた。OutlookユーザーがGmailを使い始めた時に不満になりやすいメールのフォルダ管理について、「いずれ教える」と初期教育からはずした。

「フォルダ管理のようなことはできるけれど、まずは普通のメールに慣れてくれ、というような言い方をしました。使っているうちに、フォルダ管理はなくてもいいと考えたユーザーも多かったようです。もちろん中には慣れた頃に問い合わせてきたユーザーもいたのですが、ラベル管理を教えるとこれでも十分だと納得してくれました」と中西氏は語る。

使い始めは違和感を持っても慣れてしまえば問題がないというのは、システム部門自身が手探りでGoogle Appsの各種機能を使いながら身につけた導入のノウハウだった。

Google Appsで不安なセキュリティを「Gluegent Gate」でカバー

Google Appsを導入するにあたって、基本機能では足りないと感じていたのはセキュリティだ。どこからでも同じデータが利用できるのはGoogle Appsの魅力だが、外部から全てのデータが閲覧できることには危険を感じていたという。

「教育でセキュリティ問題を解決するのは不可能だと考えています。これは悪意の有無ではなく、使っているうちにどうしても緩くなる部分があると思うからです。情報の利用範囲は発信者や管理者が切り分けるべきだと考えました」と中野氏。

現場での対応を行っている築山氏も「ログをとるといっても、全てのログは追い切れません。しかも問題が起こってからログを検証するのでは後追いです。まずはきちんと制限することが大事だと考えていました」と、Google Appsをそのまま利用することの危険を指摘する。

ハークスレイではこの問題を、グルージェントの提供する「Gluegent Gate」を利用することで解決した。指定された端末だけがアクセスできるといった、各社のポリシーに沿ったアクセス制御等を実現するこの機能によって、安全なシステムを構築している。

「営業担当者の業務効率化や店舗とのコミュニケーションなどでモバイルを使いたいという考えはあります。しかし、どこからでも自由にアクセスできるというのは危険です。現在はしっかりと制御した上で、よりよいモバイルの活用について実験中です」と中西氏は語った。

地方拠点とのコミュニケーションやグループ展開も目指す

モバイルに加えて、今後の利用法拡大を狙っているのはビデオチャット機能を利用した地方拠点とのフェイスtoフェイスのコミュニケーションだ。

「もともとGoogle Appsに最初に出会った頃、非常に魅力に感じていたのがビデオチャット、プレゼンス情報の取得、ドキュメントのストックが簡単にできることでした。現段階ではチャットというものに社員が慣れていないので、一部の社員が個別に利用するだけに留まっていますが、積極的に利用できるようにしたいですね」と中西氏は語る。

すでに一部グループ会社では導入しているが、いずれはグループ会社全体へ波及させシナジー化を狙っている。

「将来性に期待してGoogle Appsにこだわったのは、時代に合わせた新機能が登場したらスムーズに取り入れたいという意味でもあります。セミナー等で魅力的な機能に出会って簡単そうに思えても、実際に自分たちだけでは難しいことも、今回の導入で強く感じました。今後はグルージェントにはぜひそうした新機能の導入でも協力してもらいたいですね」と中西氏は語った。