原口 豊(はらぐち・ゆたか)
大手証券会社システム部に在籍後、1998年ベイテックシステムズを設立し社長就任。2008年に、いち早くクラウドコンピューティングの可能性に注目し、サービスの提供を開始、GoogleAppsの導入サポート実績はこれまで250社以上。「サテライト・オフィス」ブランドで多数のテンプレートを無償提供するなど、GoogleAppsの普及に尽力。GoogleEnterprise Day 2009ではパートナーアワードを受賞した。
リモート操作でモバイル・デバイス内のデータ消去も可能に
Googleは2月5日、Google Appsにモバイル・デバイス管理機能を追加したと発表した。これは企業向けの「Premier Edition」と教育機関向けの「Education Edition」を対象に提供される新機能で、Google AppsにアクセスするiPhone/Nokia Eシリーズ/Windows Mobileの各モバイル・デバイスが管理できるようになるというもの。具体的には、下記の5点について設定が行えるようになった。
- 紛失や盗難にあったモバイル・デバイスの全データをリモートで消去する
- 一定期間使われていないデバイスをロックする
- 携帯電話のデバイスパスワードを要求する
- より安全なパスワード設定のために、最小パスワード長を設定する
- パスワードに、文字、数字、カンマやピリオドなどの記号を含めるよう要求する
これにより、従来は「営業が外出先からGoogle Appsにアクセスできれば便利だけれどセキュリティ面が心配」と感じていた企業でも、安心してGoogle Appsのモバイルアクセスを利用することが可能になり、業務の効率化へとつなげることが可能だ。また、これらはGoogle Appsの管理コントロールパネルから設定できるため、ソフトウェアやAPIを別途用意する手間がいらないのも注目ポイントと言える。
早期導入したい場合は拡張版を利用
Google Appsは英語版から新機能を順次導入していくため、この記事を執筆している時点(3月12日現在)では、まだ日本語版の管理コントロールパネルからモバイル・デバイス管理機能を設定することができなかった。
しかし、「ドメインの設定」にある「拡張版(アメリカ英語のみ)」を選択すればすぐに利用が可能だ。近いうちに日本語版からも使えるようになるはずだが、できるだけ早く機能を試したい人や、英語表示でも気にならないという人には拡張版がオススメだ。
ちなみに、公式リリースに「Nexus OneやDroidなどの、Androidデバイスに対する同様の機能については、もうしばらくお待ちください」という記載があるので、その他のモバイル・デバイスを使っているユーザーも期待していただきたい。
現時点の日本語版ではまだモバイル・デバイス管理機能が表示されていない |
「ドメインの設定」の最下部にある「コントロール パネル」項目で「拡張版(アメリカ英語のみ)」を選ぶと、モバイル・デバイス管理機能が使えるようになる |
「Service settings」の「Mobile」からモバイル設定画面を表示し、「Restrict Google Sync」を選ぶとモバイル・デバイス管理機能が有効になる。詳細設定を行うには「Device Settings」の「Require users to set passwords on their devices」にチェックを入れる |
「Mobile」の「Device Settings」の設定内容
●Password strength(パスワード強度)
「Standard(any characters)」――パスワードの使用文字に制限を設けない
「strong(at least one letter, number and punctuation)」――記号入りのパスワードを要求する
●Minimum number of characters(最小パスワード長)
パスワードの最小文字数を数字で指定
●Automatically lock the device after(自動ロック時間の設定)
1/5/15/30分の4種類から選択
モバイル・デバイスの全データをリモートで消去するには「Users and groups」のユーザー一覧からモバイル・デバイス利用者を選択し、最下部にある「Mobile Devices」の「Wipe this device」をクリック |
「ドメインの設定」の最下部にある「コントロール パネル」項目で「拡張版(アメリカ英語のみ)」を選ぶと、モバイル・デバイス管理機能が使えるようになる |
そのほか、企業向けのPremier Editionには安心して使えるさまざまな機能がそろっている。企業の環境に応じて柔軟に対応できるアクセス制限や99.9%の稼働率保証が標準で提供されるほか、メールのセキュリティやアーカイブ機能を提供するホスティングサービス「Google Postini Services」、SSL適用によるアクセス時のセキュリティ強化、最長で10年間メールを保管できるアーカイブ機能、さらには利便性の向上とセキュリティ強化が同時に行えるシングルサインオンなど、オプションの選択範囲も実に幅広い。これらについては次回以降、詳しく紹介していこう。