FX.php/APIの違い - レコード検索(6)

FX.php/APIの違い - レコード検索(2), (3)で作成した2つの検索/一覧PHPを使用し、動作のパフォーマンス・サーバにかかる負荷を比較する。今回はレコード総数を5,000件に増やした上で、最大レコード取得数を調整した結果を検証する。

今回比較した環境について

前回はレイアウトに配置するフィールドの数を増やし、ソートをおこなった条件で検証をおこなった。クライアントの表示までの表示速度、およびサーバにかかる負荷ともにFileMaker API for PHPの方が大きいことがわかっていただけたと思う。今回からはクライアント側のパフォーマンスに注目して検証をおこなってみよう。レコード数を若干増やし、1リクエストのレコード取得数を調整した。

FileMakerファイル環境 - D～H 共通

• 総レコード数: 5,000件
• レスポンスレイアウトに配置しているフィールド数: 9
• 計算・集計フィールドの有無: なし
• ソート指定の有無: なし

FileMakerファイル環境 - D

• 1リクエストのレコード取得数: 10件

FileMakerファイル環境 - E

• 1リクエストのレコード取得数: 20件

FileMakerファイル環境 - F

• 1リクエストのレコード取得数: 30件

FileMakerファイル環境 - G

• 1リクエストのレコード取得数: 40件

FileMakerファイル環境 - H

• 1リクエストのレコード取得数: 50件

レコード総数を5,000件とし、レコード取得数($max)を10件ずつ増やしていった。なお、FileMaker Web公開ではこの数値をとくに指定しなかった場合は50件取得するようになっている。

これまで同様クライアントPCからApache JMeterを使用し、(2), (3)で作成したfx_find.phpとapi_find.phpにアクセス、応答速度などを計測する。

• 同時使用ユーザ数(スレッド数): 10, 20, 30, 40, 50
• リクエスト回数: 1回
• ループ数: 100

クライアントPCパフォーマンス - fx_find.php - 環境D

同時使用ユーザ数	総リクエスト数	Average[ms]	Min[ms]	Max[ms]	Std. Dev.	Throughput/sec	KB/sec	Time
10	1,000	347	66	8186	696.63	24.5	98.58	00:40.77
20	2,000	739	65	14552	1056.87	24.5	98.47	01:21.71
30	3,000	1040	69	24064	1811.14	25.3	102	01:58.35
40	4,000	1409	83	31558	2785.03	24.9	100.42	02:40.29
50	5,000	1853	67	31814	2658.24	24.9	100.31	03:20.63
	平均	1077.6	70	22034.8	1801.58	24.82	99.96

クライアントPCパフォーマンス - fx_find.php - 環境E

同時使用ユーザ数	総リクエスト数	Average[ms]	Min[ms]	Max[ms]	Std. Dev.	Throughput/sec	KB/sec	Time
10	1,000	588	91	3933	394.65	16.1	97.99	01:01.12
20	2,000	1103	91	16924	1083.9	17	103.06	01:57.68
30	3,000	1753	90	20089	2072.3	16.2	98.26	03:05.18
40	4,000	2098	95	38105	3507.38	17.5	106.15	03:48.48
50	5,000	2618	91	40270	3737.41	17.4	105.63	04:47.13
	平均	1632	91.6	23864.2	2159.13	16.84	102.22

クライアントPCパフォーマンス - fx_find.php - 環境F

同時使用ユーザ数	総リクエスト数	Average[ms]	Min[ms]	Max[ms]	Std. Dev.	Throughput/sec	KB/sec	Time
10	1,000	700	149	1185	111.04	14	121.41	01:11.46
20	2,000	1594	118	20022	2266.23	11.9	103.66	02:47.60
30	3,000	2100	200	18259	1208.39	13.7	118.72	03:39.48
40	4,000	2959	119	37746	3073.91	12.8	110.93	05:13.34
50	5,000	3477	120	45714	4287.09	13.4	116.28	06:13.69
	平均	2166	141.2	24585.2	2189.33	13.16	114.2

クライアントPCパフォーマンス - fx_find.php - 環境G

同時使用ユーザ数	総リクエスト数	Average[ms]	Min[ms]	Max[ms]	Std. Dev.	Throughput/sec	KB/sec	Time
10	1,000	880	174	1366	137.55	11.2	131.24	01:29.29
20	2,000	1861	145	19347	2101.58	10.3	120.56	03:14.87
30	3,000	2601	161	15909	949.16	11.2	131.95	04:27.16
40	4,000	3407	144	25715	2033.19	11.1	130.69	05:59.74
50	5,000	4298	161	51360	3826.76	11	129.19	07:34.79
	平均	2609.4	157	22739.4	1809.65	10.96	128.73

クライアントPCパフォーマンス - fx_find.php - 環境H

同時使用ユーザ数	総リクエスト数	Average[ms]	Min[ms]	Max[ms]	Std. Dev.	Throughput/sec	KB/sec	Time
10	1,000	1110	210	10164	690.23	8.7	129.64	01:53.44
20	2,000	2226	169	19723	2173.85	8.7	129.05	03:50.29
30	3,000	3087	174	21989	1471.33	9.4	140.25	05:18.07
40	4,000	4154	171	40747	3158.41	9.2	137.27	07:13.35
50	5,000	5190	258	47010	3922.88	9.2	137.44	09:00.95
	平均	3153.4	196.4	27926.6	2283.34	9.04	134.73

クライアントPCパフォーマンス - api_find.php - 環境D

同時使用ユーザ数	総リクエスト数	Average[ms]	Min[ms]	Max[ms]	Std. Dev.	Throughput/sec	KB/sec	Time
10	1,000	479	91	7231	374.09	19.4	78.5
20	2,000	980	90	16707	1225.74	18.9	76.37
30	3,000	1493	91	19995	1803.64	18.6	75.43
40	4,000	1988	90	33222	2698.21	18.7	75.88
50	5,000	2509	88	42747	3545.85	18.5	74.95
	平均	1489.8	90	23980.4	1929.51	18.82	76.23

クライアントPCパフォーマンス - api_find.php - 環境E

同時使用ユーザ数	総リクエスト数	Average[ms]	Min[ms]	Max[ms]	Std. Dev.	Throughput/sec	KB/sec	Time
10	1,000	789	159	1327	138.28	12.4	75.37	01:20.49
20	2,000	1507	138	15938	1156.26	12.5	76.2	02:39.70
30	3,000	2552	129	26138	2645.13	11.2	68.13	04:28.02
40	4,000	3061	129	40216	3821.18	12.3	75.17	05:23.74
50	5,000	3807	132	49080	4724.56	12.4	75.43	07:43.56
	平均	2343.2	137.4	26539.8	2497.08	12.16	74.06

クライアントPCパフォーマンス - api_find.php - 環境F

同時使用ユーザ数	総リクエスト数	Average[ms]	Min[ms]	Max[ms]	Std. Dev.	Throughput/sec	KB/sec	Time
10	1,000	1027	188	2005	161.13	9.6	83.54	01:43.91
20	2,000	2090	174	13038	714.75	9.3	81.45	03:33.81
30	3,000	3108	179	23908	1631.01	9.3	81.46	05:20.68
40	4,000	4146	174	37315	2710.98	9.2	80.41	07:13.29
50	5,000	5368	175	48242	4149.93	9	78.24	09:16.73
	平均	3147.8	178	24901.6	1873.56	9.28	81.02

クライアントPCパフォーマンス - api_find.php - 環境G

同時使用ユーザ数	総リクエスト数	Average[ms]	Min[ms]	Max[ms]	Std. Dev.	Throughput/sec	KB/sec	Time
10	1,000	1360	213	2281	276.89	7.2	85.36	01:52.79
20	2,000	2767	301	11098	940.71	7.1	83.31	04:42.47
30	3,000	4340	348	24481	1387.29	6.7	79.15	07:26.06
40	4,000	6079	241	30455	2344.87	6.4	75.85	10:20.87
50	5,000	8176	263	45929	3657.92	5.9	70.01	14:00.96
	平均	4544.4	273.2	22848.8	1721.54	6.66	78.74

クライアントPCパフォーマンス - api_find.php - 環境H

同時使用ユーザ数	総リクエスト数	Average[ms]	Min[ms]	Max[ms]	Std. Dev.	Throughput/sec	KB/sec	Time
10	1,000	1789	356	2849	350.79	5.5	82.42	03:00.12
20	2,000	3652	280	11474	1057.82	5.4	80.52	06:09.71
30	3,000	6008	271	21472	1697.86	4.9	73.24	09:59.99
40	4,000	8188	283	31476	2638.7	4.8	71.55	13:52.62
50	5,000	10633	271	56790	3917.99	4.6	68.24	18:11.35
	平均	6054	292.2	24812.2	1932.63	5.04	75.19

FX.php Average集計表

同時ユーザ数	$max=10	$max=20	$max=30	$max=40	$max=50
10	347	588	700	880	1110
20	739	1103	1594	1861	2226
30	1040	1753	2100	2601	3087
40	1409	2098	2959	3407	4154
50	1853	2618	3477	4298	5190

FileMaker API for PHP Average集計表

同時ユーザ数	$max=10	$max=20	$max=30	$max=40	$max=50
10	479	789	1027	1360	1789
20	980	1507	2090	2767	3652
30	1493	2552	3108	4340	6008
40	1988	3061	4146	6079	8188
50	2509	3807	5368	8176	10633

なおソートをおこなうと1リクエストあたりの応答時間が30秒を越えてしまうため、計測対象外とさせていただいた。

一度に取得するレコードは必要最低限に設定したほうが良い

一度に取得するレコード数を増やせば増やすほど、FX.php・FileMaker API for PHPともに応答速度が長くなることがわかった。同時ユーザ数が10の場合、FX.phpでは10件と50件の場合とでおよそ3.2倍、APIでは3.73倍の時間がかかっている。同時取得レコード数を10件増やすと、FX.phpの場合0.12～0.21秒、APIの場合0.3～0.4秒ごと遅くなっていく。

注目したいのは同時取得件数を40件以上にしたときのパフォーマンスの落ち方だ。とくにAPIの場合、1度に取得するレコード数が10～30件の場合の倍率と、40件～50件の倍率とでは結果に大きな差がある。同時ユーザ数が50の場合、同時取得10件と50件の場合でおよそ4.24倍ものパフォーマンス差がでた。FX.phpと比較した場合、同時取得10～20件の場合はおよそ1.3倍ほどだが、同時取得40～50件の場合ではおよそ1.5～2倍も遅く動作していることがわかる。

同時取得件数はPHP側で件数を明示してやらない限り、50件のレコードを取得しようとする。FX.php・FileMaker API for PHPともに検索画面を実装する場合は、可能なかぎり最大取得レコード数を減らしたほうが良さそうだ。また、対象レコードが多い場合は全体ソートも控えたほうが良いだろう。

次回は検索機能比較の最後として、レコードが大量にある場合の処理を検証・比較してみたいと思う。