今回は、階級別グラフ(ヒストグラム)を作成する方法を紹介する。たとえば、年齢データを10代、20代、30代と範囲を区切ってグラフ化する場合、「10~19歳」「20~29歳」「30~39歳」についてデータ数をカウントしてからグラフを作成する必要がある。このような場合にExcelに用意されているツールを使うと、手軽に階級別グラフを作成することが可能だ。
階級別グラフ(ヒストグラム)とは?
まずは、階級別グラフ(ヒストグラム)の例を示しておこう。以下の図は、とある施設の来場者数を年齢別にまとめたグラフである。
Excelにはグラフの作成機能が用意されているが、階級別グラフを作成する場合は、それなりの工夫が必要だ。たとえば、グラフの基となるデータ(来場者の年齢を調べたデータ)が以下のように集計されていた場合、そのままグラフ化することは不可能である。
階級別グラフを作成するには、10代、20代、30代……と年代別に来場者数を集計し、それをまとめた表を作成してからグラフ化しなければならない。上記の例のように数十件ほどのデータであれば手作業で進めることも不可能ではないが、相当な手間を要するはずだ。また、データの集計ミスを犯してしまう危険性もある。
データ数が数百件、数千件という規模になった場合は、現実的に考えて、手作業で階級別グラフを作成するのは難しいだろう。このような場合に備えて、Excelの「分析ツール」を使って階級別グラフ(ヒストグラム)を作成する方法を覚えておくとよい。このツールを使うと、データを集計しなくても、即座に階級別グラフを作成することができる。
分析ツールのアドイン
「分析ツール」はExcelの拡張機能なので、初めて使用するときはアドインを行っておく必要がある。以下の手順で「分析ツール」をExecelに追加しておこう。
はじめに、「ファイル」タブを選択し、左側のメニューから「オプション」を選択する。すると、Excelのオプション画面が表示されるので、「アドイン」を選択して「設定」ボタンをクリックする。
アドインの設定画面が表示されるので、「分析ツール」のチェックボックスをONにしてから「OK」ボタンをクリックする。
以上で「分析ツール」のアドインは完了。「データ」タブを選択すると、右端に「データ分析」というコマンドが追加されているのを確認できるはずだ。
階級別グラフ(ヒストグラム)の作成
それでは、先ほど示したデータを使って階級別グラフ(ヒストグラム)の作成手順を紹介していこう。
階級別グラフを作成するときは、あらかじめ「数値データの分割方法」を指定しておく必要がある。これは「各範囲の最大値」を列記することで指定可能だ。たとえば、以下のように数値を入力すると、「~19歳」、「20~29歳」、「30~39歳」……「70~79歳」という具合にデータ範囲を分割することができる。
データの分割方法を指定できたら、「データ」タブを選択して「データ分析」をクリックする。
すると、以下のような画面が表示される。ここでは「ヒストグラム」を選択して「OK」ボタンをクリックする。
「ヒストグラム」の設定画面が表示されるので、まずは「集計するセル範囲」を指定する。今回の例では、B4~E17セルのデータを基にグラフを作成するため、「入力範囲」に「B4:E17」と指定。このとき、右端にあるボタンをクリックして、マウスでセル範囲を指定してもよい。
次は「数値データの分割方法」の指定だ。今回の例では「G4:G10」のセル範囲に分割方法を記してあるので、このセル範囲を指定する。
最後に、出力オプションに「出力先」を選択し、集計結果を表示する先頭セルを指定する。今回の例では「I4」を先頭セルに指定した。その後、「グラフ作成」をチェックし、「OK」ボタンをクリックする。
すると、自動的にデータが集計され、以下の図のように集計結果とヒストグラムが表示される。
ヒストグラムの横軸には、「各範囲の最大値」に加えて「次の級」というラベルが表示されている。データ範囲を適切に分割している場合、この「次の級」は不要だ。グラフから削除しておこう。グラフをクリックして選択し、集計結果の右下にあるハンドルを1つ上へドラッグすると、「次の級」をグラフの対象外にできる。
階級別グラフ(ヒストグラム)のカスタマイズ
あとは必要に応じてグラフをカスタマイズしていくだけ。この手順は、通常のグラフをカスタマイズする場合と基本的に同じである。自動作成されたヒストグラムは「集計結果の表」と連動しているので、表を書き換えることでラベルの表記を変更可能だ。
今回の例では、横軸に19、29、39……といったラベルが並んでいるが、このままではラベルの意味を理解しにくい。よって、「10代」「20代」「30代」……という文字に置き換える。
ラベル以外の部分も通常のグラフと同様にカスタマイズできる。今回の例では、縦軸/横軸の「軸ラベル」「凡例」は不要なので、右クリックメニューから削除しておく。
さらに「グラフ タイトル」を修正し、「グラフ スタイル」や「色の変更」などを行うと、以下の図のような階級別グラフに仕上げることができる。
ヒストグラムの作成方法さえ理解していれば、あとはグラフ編集に近い操作なので、Excelの基本を学んでいる人なら十分に対応できるはずだ。本連載の第26~28回なども参考にしながら、見やすいグラフに仕上げていくとよいだろう。