今回は、特定のセル範囲のデータを何通りも記録できる「シナリオ」という機能の使い方を紹介。データを入れ替えながら分析作業を行う場合に活用できるので、この機会に使い方を覚えておくとよいだろう。また、データの切り替えをスムーズに行えるように、「シナリオ」コマンドをリボンに配置する方法もあわせて紹介する。

シナリオの登録方法

ここでは、ある施設における「1日の売上」と「目標金額」を比較した表を例に、シナリオの使い方を紹介していく。なお、各分類の「達成率」(E3~E6)と「合計」(C6~D6)は、数式や関数により値を算出している。

  • 「目標金額」と「売上」をまとめた表

    「目標金額」と「売上」をまとめた表

「目標金額」が1パターンしかない場合は、このままでも問題なく表を活用できるだろう。しかし、そうでない場合もある。たとえば、平日と休日で「目標金額」が異なる場合、そのつど数値を入力しなおす必要があり、非常に面倒な作業が発生してしまう。

このように「何パターンかのデータ」を入れ替える必要がある場合に、便利に活用できるのがシナリオだ。それでは、シナリオの詳しい使い方を解説していこう。

まずは1パターン目のデータとして「平日の目標金額」をシナリオに登録する。C2~C5のセル範囲を選択し、「データ」タブにある「What-If分析」から「シナリオの登録と管理」を選択する。なお、今回の例では「合計」を関数SUMにより自動計算しているため、C6セルは選択範囲に含めなくても構わない。

  • 登録するセル範囲の選択

    登録するセル範囲の選択

  • シナリオの管理画面の呼び出し

    シナリオの管理画面の呼び出し

すると、以下のような管理画面が表示されるので「追加」ボタンをクリックする。

  • シナリオの管理画面

    シナリオの管理画面

「シナリオの追加」という画面が表示されるので、適当な「シナリオ名」を入力して「OK」ボタンをクリック。ここでは「平日」と入力した。

  • シナリオ名の入力

    シナリオ名の入力

すると、先ほど選択していたセル範囲のデータが表示される。ここでシナリオに登録するデータを修正することも可能だ。修正する必要がない場合は、そのまま「OK」ボタンをクリックする。

  • 登録される値の確認

    登録される値の確認

最後に「閉じる」ボタンをクリックする。以上で、1パターン目のシナリオの登録は完了だ。

  • 登録されたシナリオ

    登録されたシナリオ

続いて、2パターン目のシナリオとして「休日前の目標金額」を登録する。表内のデータを変更し、セル範囲を選択。あとは、1パターン目と同様の手順で操作を進めていくだけだ。「What-If分析」→「シナリオの登録と管理」を選択し、「追加」ボタンをクリックしてシナリオを登録する。

  • 2パターン目のシナリオを追加

    2パターン目のシナリオを追加

同様の作業を繰り返し、必要なだけシナリオを登録すれば準備完了。今回の例では、「平日の目標金額」「休日前の目標金額」「土日祝の目標金額」という3パターンのデータをシナリオに登録した。

  • 登録したシナリオ

    登録したシナリオ

シナリオの登録が終わると、3パターンの「目標金額」を手軽に切り替えて表示できるようになる。

シナリオの表示を切り替える

次に、シナリオに登録したデータを表に反映するときの操作手順を紹介していこう。

まずは「What-If分析」→「シナリオの登録と管理」を選択し、シナリオの管理画面を呼び出す。続いて、一覧からシナリオを選択し、「表示」ボタンをクリックする。

  • 表示するシナリオの選択

    表示するシナリオの選択

すると、表内のデータが「シナリオに登録していおいたデータ」に置き換わる。もちろん、それに合わせて「達成率」や「合計」の値も自動的に再計算される。

  • シナリオに登録されたデータに置き換わる

    シナリオに登録されたデータに置き換わる

このように「特定のセル範囲のデータ」を「あらかじめ登録しておいたデータ」に手軽に入れ替えられるのがシナリオの利点だ。さまざまな場面に応用できるので、実際に試しながら使い方を覚えておくとよいだろう。

シナリオ変更用のコマンドをリボンに配置

シナリオは便利な機能だが、データを入れ替える際にそのつど管理画面を呼び出さなければならないことが少々難点。そこで、もっと手軽にデータを入れ替えられるように、「シナリオ」コマンドをリボンに追加する手順を紹介しておこう。

まずは「ファイル」タブにある「オプション」をクリックし、Excelの設定画面を開く。続いて、左側のメニューから「リボンのユーザー設定」を選択する。

リボンにコマンドを追加するには、あらかじめ「新しいグループ」を作成しておく必要がある。今回は「ホーム」タブの最後にコマンドを配置するので、「ホーム」→「編集」のグループを選択してから「新しいグループ」ボタンをクリックする。

  • 新しいグループの作成

    新しいグループの作成

「新しいグループ」という名前のグループが作成されるので、「名前の変更」ボタンをクリックしてグループ名を変更する。

  • グループ名の変更

    グループ名の変更

グループ名には、各自の好きな名前を付けることが可能だ。適当な名前を入力し、「OK」ボタンをクリックする。なお、画面上部にあるアイコンは選択しなくても構わない。

  • グループ名の入力

    グループ名の入力

続いて、このグループにコマンドを追加する。分類で「すべてのコマンド」を選び、「シナリオ」コマンドを選択。その後、画面右側に「先ほど作成したグループ」が選択されていることを確認してから「追加」ボタンをクリックする。

  • 「シナリオ」コマンドの追加

    「シナリオ」コマンドの追加

以上でExcelの設定変更は完了。「シナリオ」コマンドが右側のボックスに追加されているのを確認してから「OK」ボタンをクリックする。

  • 追加された「シナリオ」コマンド

    追加された「シナリオ」コマンド

これで「ホーム」タブのリボンを使ってデータを入れ替えることが可能になる。通常の操作手順と比べて格段にシナリオ機能が使いやすくなるので、一度、試してみるとよいだろう。

  • リボンからシナリオを切り替え

    リボンからシナリオを切り替え

なお、このコマンドからシナリオを選択した際に、以下のような画面が表示される場合がある。この場合は「いいえ」ボタンをクリックするのが基本だ。

「はい」ボタンをクリックすると、現在の表内のデータがシナリオに再登録されるため、登録済みのデータが変更されてしまう。操作を間違えると不要なトラブルを引き起こす原因になるので、十分な注意が必要だ。

  • シナリオの再設定

    シナリオの再設定

最後に、カスタマイズしたリボンを「元の状態」に戻すときの操作手順を紹介しておこう。シナリオが不要になたときは、次の手順でリボンから「シナリオ」コマンドを削除しておくとよい。

1.「ファイル」タブを選択し、「オプション」をクリックする。
2.「リボンのユーザー設定」を選択する。
3.自分で作成したグループを選択し、「削除」ボタンをクリックする。

  • グループ(コマンド)の削除

    グループ(コマンド)の削除