クイック分析の活用
Excelには「クイック分析」という機能が用意されている。この機能はExcel 2013から採用されたもので、条件付き書式の指定、グラフの作成、関数の入力などの操作を手軽に行える機能だ。まずは、このクイック分析を使って「合計」や「平均」を調べる方法から紹介していこう。
クイック分析を使用するときは、まず対象となるセル範囲を選択。以下の図に示した例では「B4:E10」のセル範囲を選択している。続いて、「クイック分析」のアイコンをクリックする。
アイコンをクリックすると、処理内容を指定するポップアップが表示される。ここでは「合計」の項目を選択し、一覧の中から計算方法を指定する。なお、計算結果を行う方向は、「縦方向」または「横方向」のいずれかを指定できる。
たとえば、「合計(横方向)」のアイコンをクリックした場合は、選択範囲の右側に関数SUMが入力され、その計算結果がワークシートに表示される。
このとき、アイコン上にマウスポインタを乗せると、クリックしないでもクイック分析の計算結果が表示されるので、「関数SUMを入力するほどではないが、合計を一時的に確認したい」という場合に活用できるだろう。
なお、同様の手順でグラフを一時的に表示することも可能だ。こちらは「グラフを作成するほどではないが、念のためデータの推移を確認しておきたい」といった場合に活用できるだろう。
ステータスバーを使った合計、平均の確認
単純に「合計」や「平均」を確認したいだけなら、ステータスバーを利用する方法もある。こちらは「セル範囲を選択するだけ」という簡単な操作手順だ。
セル範囲を選択した状態でウィンドウ下部にあるステータスバーを見ると、「平均」「データの個数」「合計」の値が表示されていることを確認できる。
「選択範囲の平均と合計がステータスバーに表示されること」はExcelの基本的な仕様のひとつだが、意外と知らない人も多いようだ。合計や平均を最も手軽に確認できる方法なので、この機会に覚えておくと役に立つだろう。
なお、ステータスバーに表示する項目をカスタマイズすることも可能。ステータスバーを右クリックし、表示する項目にチェックマークを付ければよい。
セル範囲を指定してから関数を入力
最後に、合計を算出する「関数SUM」を入力するときに役立つテクニックを紹介しておこう。関数SUMは、「Alt」+「=」のショートカットキー(「Alt」+「Shift」+「-」キー)で入力することもできる。
この場合、合計するセル範囲は自動的に識別される。ただし、状況によっては意図していないセル範囲が自動識別されてしまう場合もある。たとえば、以下の表の場合、西暦を示す「2011」(B5セル)まで合計するセル範囲として認識されてしまう。
このような場合は、手動で引数(合計するセル範囲)を修正しなければならない。そこで、先にセル範囲を指定してから関数SUMを入力する方法も覚えておくとよい。
たとえば、C5~E5のセル範囲を選択した状態で「Alt」+「Shift」+「-」キーを押すと、「C5~E5の合計」を求める関数SUMを自動入力できる。
ちなみに、関数SUMの計算結果が入力されるセルの位置は、範囲の選択状況に応じて変化する。先ほどの例のように「横1行のセル範囲」を選択した場合は、右隣にあるセルに関数SUMが入力される。一方、「縦1列のセル範囲」を選択した場合は、すぐ下にあるセルに関数SUMが入力される。
ただし、選択範囲の「右隣」や「すぐ下」のセルに何らかのデータが入力されていた場合は、例外となるので注意すること。たとえば、先ほどの例でD2~D4のセル範囲を選択し、「Alt」+「Shift」+「-」キーを押すと、D6セルに関数SUMが入力される(合計されるセル範囲はD2:D4)。
このように、状況に応じて「関数SUMが入力されるセル」が変化することを覚えておく必要もある。まとめると、以下のような仕組みだ。
◆関数SUMが入力されるセル
- 「横1行のセル範囲」を選択 …… 右側に登場する最初の空白セル
- 「縦1列のセル範囲」を選択 …… 下側に登場する最初の空白セル
また、「2行以上のセル範囲」を選択した場合は、その下側に関数SUMが自動入力される仕組みになっている。この場合、合計を算出できるのは「縦方向のみ」となり、横方向について合計を算出したい場合には使えない。
ショートカットキーを使った関数SUMの入力は便利に活用できるものの、その仕組みをよく理解していないと予想外の結果を招くケースもある。気になる人は、時間があるときに実際に試して研究してみてはいかがだろう。