Excelには、ピボットテーブルをグラフ化した「ピボットグラフ」という機能が用意されている。ピボットテーブルと同様に「フィールド」を自由に入れ替えられるため、データを様々な角度から視覚的に分析する際に活用できる。今回は、ピボットグラフの基本的な使い方を紹介していこう。
ピボットグラフの作成
通常の表からグラフを作成する場合と同様に、ピボットテーブルから「ピボットグラフ」を作成することも可能だ。まずは、ピボットグラフを作成する操作手順から紹介していこう。
ここでは、以下の図に示したピボットテーブルを基に「ピボットグラフ」を作成する。このピボットテーブルは、前回、前々回の連載で紹介したピボットテーブルと同じもので、イベントの「参加人数」を「日付」、「曜日」、「会場」、「開始時間」の項目別に集計した表だ。
ピボットグラフを作成するときは、ピボットテーブル内にあるセルを選択し、「分析」タブにある「ピボットグラフ」コマンドをクリックする。
すると、グラフの種類と形式を指定するウィンドウが表示される。ウィンドウ左側で「グラフの種類」を選択し、「グラフの形式」を指定してから「OK」ボタンをクリックすると、ピボットグラフを作成できる。
ピボットグラフの特長は、軸(分類項目)や凡例(系列)に配置するフィールドを自由に変更できること。このため、様々な角度からデータを比較・分析することが可能だ。数値の大小をグラフで確認できるため、ピボットテーブルより状況を把握しやすいことも利点のひとつといえるだろう。
たとえば、先ほど示したピボットグラフは、それぞれの「会場」と「開始時間」について「参加人数」を比較するときに役立つと思われる。
フィールドの変更
もちろん、グラフを作成した後に「軸」や「凡例」に配置するフィールドを入れ替えることも可能だ。この操作手順は、ピボットテーブルで「行」や「列」のフィールドを変更する場合と基本的に同じ(詳しくは本連載の32~33回を参照)。
ピボットテーブル内にあるセルを選択しているときは、画面右側にピボットテーブルの操作パネルが表示される。一方、グラフ内をクリックしてグラフを選択した場合は、画面右側にピボットグラフの操作パネルが表示される。
ピボットテーブルとピボットグラフは連動しているため、どちらの操作パネルを使った場合でも同じ結果が得られる。たとえば、凡例(列)に配置するフィールドを「開始時間」から「曜日」に入れ替える場合は、
(1)「開始時間」のフィールドを凡例(列)から削除 (2)「曜日」のフィールドを凡例(列)に指定
という手順で操作を行えばよい。これらの操作はマウスのドラッグ&ドロップで行える。基本的な操作手順はピボットテーブルの場合と同じなので、すぐに使い方を覚えられるだろう。
これで、それぞれの「会場」と「曜日」について、「参加人数」の違いを比較できるようになった。もちろん、他のフィールドに入れ替えることで、様々な角度からデータを比較・分析することが可能だ。
フィルター機能の活用
ピボットテーブルと同様に、一部のデータだけを抽出して集計することもできる。この場合は、軸や凡例に表示されている「フィールド名」のボタンをクリックし、集計する項目をチェックボックスのON/OFFで指定すればよい。
以下は、「東京」と「大阪」の会場についてのみデータを集計した場合の結果。
また、「フィルター」を利用して、ピボットグラフ全体についてデータの抽出を行う機能も用意されている。たとえば「曜日」を基準にデータの抽出を行う場合は、フィルターの領域に「曜日」のフィールドを指定すればよい。
すると、グラフの上部に「フィルター用のボタン」が表示される。このボタンをクリックして「集計するデータ」を指定する。たとえば「土曜日のデータ」だけを集計したグラフに変更したい場合は、ここで「土曜」の項目を選択すればよい。
こちらも基本的な使い方はピボットテーブルと同じなので、すぐに仕組みを理解できるだろう。
さらにフィールドを追加したグラフ
軸(行)に複数のフィールドを配置し、階層構造のあるピボットグラフを作成することも効果的な手法である。たとえば、「会場」の下に「曜日」のフィールドを追加すると、以下の図に示したようなグラフを作成できる。
このように、少し変わった形のグラフを作成する場合にもピボットグラフが活用できる。色々な場面に応用できるので、使い方をよく覚えておくとよいだろう。
ピボットグラフの書式設定
最後に、ピボットグラフの書式設定について紹介しておこう。ピボットグラフはExcelグラフの一種となるため、その書式を自由に変更することが可能だ。グラフの書式を変更するときは、「デザイン」タブにあるコマンドを利用するか、もしくはグラフ内の要素をダブルクリックして書式指定を行う。
これらの操作は、「通常のグラフ」をカスタマイズする場合と基本的に同じである。グラフの書式指定に詳しくない方は、本連載の26~30回も合わせて参照しておくとよいだろう。実際に操作しながら試していけば、グラフをカスタマイズ方法を把握できるはずだ。
Excelでグラフを作成することは特に難しくはないが、「説得力のあるグラフ」を作成するには、それなりのテクニックを身に付けておく必要がある。その手段のひとつとして、ピボットグラフの使い方もマスターしておくと、グラフ作成の幅が拡がるだろう。