Excelは、「縦棒グラフ」と「折れ線グラフ」を組み合わた複合グラフの作成にも対応している。そこで今回は、2つの縦軸を使った複合グラフの作成手順、ならびに目盛線を見やすく表示する方法について紹介していこう。
複合グラフの作成手順
まずは、今回の例で使用するデータ表とグラフを紹介する。以下の図(左)は、各年の「会員数」と「売上高」の推移をまとめた表となる。この表を基に「縦棒グラフ」を作成すると、図(右)のようなグラフが描画される。
「会員数」の数値データは「売上高」に比べて極めて小さく、おおよそ1万分の1のスケールにしかならない。このため「会員数」のデータはほとんどグラフに表示されず、その推移を読み取ることが不可能となってしまう。このように、数値が大きくかけ離れているデータを1つのグラフにまとめるときは、「縦棒グラフ」と「折れ線グラフ」を組み合わせた複合グラフを活用するとよい。
順番に手順を解説していこう。まずは、普通に「縦棒グラフ」を作成する。このとき、グラフの形式を2-D形式の中から選択するのが基本だ。3-D形式のグラフは複合グラフに変更できないので注意すること。続いて、いずれかのデータを右クリックし、「系列グラフの種類の変更」を選択する。
すると、以下の図のような設定画面が表示される。この設定画面では、各系列について「グラフの種類」を個別に指定できる。今回の例では、「会員数」の系列を「マーカー付き折れ線」に変更する設定を行った。
さらに、右側の縦軸(第2縦軸)で数値を示す系列を指定する。今回の例では「売上高」を右側の縦軸で示すように設定した。
以上で、複合グラフに変更するための設定は完了。「OK」ボタンをクリックすると、指定した形式にグラフが変更されるのを確認できる。今回の例の場合、
「会員数」の系列 ・・・・ 折れ線グラフ、軸は左側(第1縦軸)
「売上高」の系列 ・・・・ 縦棒グラフ、軸は右側(第2縦軸)
という形でグラフが描画される。
軸ラベルと目盛線の表示
左右に2つの縦軸を配置したグラフを作成するときは、「それぞれの縦軸が何を示しているのか?」を明確に示しておく必要がある。よって、「第1縦軸」と「第2縦軸」の両方に軸ラベルを表示するのが基本となる。この設定は、グラフツールの「デザイン」タブにある「グラフ要素を追加」で指定する。
あとは、それぞれの「軸ラベル」に適切な文字を入力し、文字の書式を整えるだけ。なお、今回の例は右側の縦軸(第2軸)の桁数が多すぎるため、第2縦軸の表示単位を「千」に変更している。この操作手順は本連載の27回目で解説したとおり。よくわからない方は合わせて参照しておくとよいだろう。
目盛間隔のカスタマイズ
ここまでの操作で複合グラフの基本形は完成となる。しかし、グラフをよく見てみると、「第2縦軸のラベル」と「目盛線」が合っていないことに気付くと思う。これは、第1縦軸のみ目盛線が表示されていることが原因だ。第2縦軸にも目盛線を表示するには、「グラフ要素を追加」を操作する必要がある。
すると、今度は左右の目盛線が混在して表示されるようになり、逆にグラフが見にくくなってしまう。このような問題を解消するには、左右の縦軸で「目盛線」が同じ間隔になるように調整してやる必要がある。たとえば、各軸を8等分するように目盛線を描画する場合は、
第1縦軸(左側)・・・・範囲 0~8000、間隔 1000
第2縦軸(右側)・・・・範囲 0~4000万、間隔 500万
と「軸の書式設定」を指定すればよい。
すると、左右の縦軸の目盛線がちょうど重なるようになり、見やすいグラフに仕上げられる。
もちろん、このほかにも色々なパターンが考えられる。「会員数」の推移を大きく見せたい場合は、以下のように各軸を4等分する目盛線を指定し、さらに補助目盛線を描画してもよい。
第1縦軸(左側)・・・・範囲 0~6000、間隔 1500、補助 300
第2縦軸(右側)・・・・範囲 0~4000万、間隔 1000万、補助 200万
最後に、各系列の色を変更して、目盛線と補助目盛線の書式を整えると、複合グラフが完成する。これらの書式は各自の好みに応じて指定すればよい。書式の指定方法は、本連載の26~27回で紹介したとおりだ。
以上が、複合グラフを作成するときの操作手順となる。もちろん、系列が3つ以上ある場合も複合グラフを作成することが可能だ。その手順は、「系列グラフの種類の変更」を開き、それぞれの系列について「グラフの種類」と「第1縦軸/第2縦軸」を指定するだけ。基本的な考え方は、今回の例と同じである。気になる方は試してみるとよいだろう。