前回に引き続き、今回もグラフのカスタマイズについて解説していこう。今回は、横軸の書式を変更したり、縦軸と横軸が交わる位置(交点)を変化させたりする方法を紹介する。少し特殊な例になるかもしれないが、グラフのカスタマイズ方法を理解する上で役に立つ内容なので、よく仕組みを理解しておこう。

横軸のラベルの間隔

まずは、横軸のカスタマイズについて紹介していく。横軸に表示される「ラベルの数」が多いと、以下の図のようにラベルの間隔が狭くなったり、ラベルが縦や斜めに配置されたりする場合がある。

横軸のラベルの間隔が狭いグラフ

横軸のラベルが縦に配置されたグラフ

こういったラベルの配置を調整するときは、横軸の「軸の書式設定」を利用する。「軸の書式設定」を呼び出す手順は縦軸の場合と同じ。「横軸」の部分をマウスでダブルクリックするか、もしくは横軸を右クリックして「軸の書式設定」を選択すればよい。

「軸の書式設定」の呼び出し

すると、以下の図のような設定画面が表示される。ラベルを表示する間隔を調整するときは、「ラベル」の項目を展開し、「間隔の単位」を変更すればよい。たとえば、「間隔の単位」に2を指定すると、横軸のラベルが1つおきに表示されるようになる。

ラベルの表示間隔の指定

「間隔の単位」を2にした場合

このようにラベルを間引いて表示することで、グラフを見やすくできる場合もある。ラベルをすべて表示しなくてもグラフの内容を把握できる場合に活用するとよいだろう。

縦方向の目盛線の表示

横軸のラベルを間引いたときは、縦方向の目盛線を表示しておくとグラフが見やすくなる場合もある。縦方向の目盛線は、グラフツールの「デザイン」タブにある「グラフ要素を追加」をクリックし、「目盛線」→「第1主縦軸」を選択すると表示できる。

縦方向の目盛線の表示

縦方向の目盛線を表示したグラフ

さらに、この目盛線の間隔を変更することも可能だ。この場合は、横軸の「軸の書式設定」で「目盛」の項目を展開し、「目盛の間隔」に適当な値を指定する。

目盛線の間隔の指定

「目盛の間隔」に2を指定したグラフ

「ラベル」と「目盛線」を同じ間隔にすることで、グラフをより見やすくできる場合もある。横軸の「軸の書式設定」には、「ラベル」と「目盛線」の間隔を指定する項目が個別に用意されていると覚えておこう。

横軸の文字を斜めに配置

横軸のラベルを省略したくない場合は、文字を斜めに配置するのも効果的な手法となる。この書式は横軸の「軸の書式設定」で「文字のオプション」→「テキストボックス」の画面を開き、「ユーザー設定の角度」で指定する。

ラベルを斜めに配置する書式指定

-45度で配置したラベル

なお、上記の例では、横軸のラベルの間隔を1、縦方向の目盛線を非表示に戻してある。

これまでに解説してきたように、横軸のラベルは「間隔」や「角度」を自由にカスタマイズできる。また、「縦方向の目盛線」もグラフを見やすくする要素として活用できる。それぞれの指定方法をよく理解しておけば、カスタマイズの幅が拡がるだろう。

横軸に日時データとして処理されている場合

続いては、「横軸のラベル」となるセルが「日付」や「時刻」として処理されている場合について補足しておこう。

「日付データ」として処理されるセル

先ほどの表を基に作成したグラフ

この場合、グラフの横軸も数値軸として扱われる。よって、横軸の「軸の書式設定」は以下の図のように変化する。基本的には、縦軸の書式設定とよく似た設定画面になると考えればよい。つまり、「最小値」と「最大値」で「グラフ化する範囲」を指定し、「主」と「補助」で目盛線の間隔を指定することになる。

横軸が日付データの場合の「軸の書式設定」

ラベルの間隔を変更するときは「主」の項目を操作する。「ラベル」と「目盛線」の間隔は連動しているので、たとえば「主」の項目に7日を指定して「縦方向の目盛線」を表示すると、以下の図のようにグラフをカスタマイズできる。

「主」の項目を7日に変更したグラフ

また、この場合は「横軸のラベル」の表示形式も指定できるようになる。まずは「表示形式」の項目を展開し、「シートとリンクする」のチェックボックスを外す。続いて、書式記号を使って表示形式を指定し、「追加」ボタンをクリックすると、日付や時刻を好きな形式で表示できる。

(※)書式記号の使い方については、本連載の7~8回を参照。

表示形式の指定

表示形式を変更した「横軸のラベル」

グラフの基となる表を変更せずに、「横軸のラベル」のみ表示形式を変更する方法として覚えておくとよいだろう。

縦軸と横軸の交点を指定した特殊なグラフ

少し長くなってしまったが、最後に「縦軸」と「横軸」の交差位置を変更する方法を紹介しておこう。

前回の連載で「グラフの縦軸を反転させる方法」を紹介したが、このままでは横軸が「グラフの上」に配置されてしまい、あまり見た目がよくない。

横軸が上に配置されたグラフ(縦軸を反転)

このような場合は、縦軸と横軸の交点を変更するとよい。この書式は、縦軸の「軸の書式設定」で指定する。今回の例の場合、「横軸との交点」を「軸の最大値」に変更すると、横軸を「グラフの下」に配置できる。

縦軸と横軸が交わる位置の指定

交点を「軸の最大値」に変更したグラフ

交点の変更は、(縦軸を反転させない)通常のグラフでも活用できる。たとえば、毎月の売上目標が325万円に設定されていたとしよう。この場合、325万円を基準にグラフを描画したほうが状況を把握しやすくなる。そこで、縦軸と横軸の交点を3250000に変更し、最小値/最大値/目盛線の間隔(主・補助)を調整すると、以下の図のようにグラフをカスタマイズできる。

横軸との交点を「3250000」に指定

横軸が「3,250,000」の位置にあるグラフ

325万円を基準にグラフが上下に伸びるため、目標達成の可否や過不足を把握しやすくなる。ただし、グラフの内部に「横軸のラベル」が配置されている点が気になる。このような場合は、「横軸のラベル」だけをグラフの下に配置するとよい。

こちらの設定は、横軸の「軸の書式設定」で指定する。「ラベル」の項目を展開し、「ラベルの位置」に「下端/左端」を指定すると、横軸の位置に関係なく、ラベルがグラフの下に配置されるようになる。

「横軸のラベル」の位置指定

「横軸のラベル」を下端に配置したグラフ

今回ならびに前回の連載で解説したように、「軸の書式」を変更すると、グラフを様々な形にカスタマイズできる。単に「グラフも作成しました」というのではなく、「明確な意図を持ったグラフ」を作成できるように、色々と試しておくとよいだろう。いつか、きっと役に立つはずだ。