今回は、グラフの縦軸の書式を詳しく指定する方法を解説する。縦軸の書式は「どのような意図でグラフを示すのか?」という問題に深く関わる書式であり、その重要度は意外と高い。目的に応じてグラフを効果的に示せるように、「軸の書式設定」で指定できる内容を把握しておく必要があるだろう。
縦軸に示す数値の範囲の変更
グラフを作成すると、縦軸(数値軸)に示される数値の範囲が自動的に決定される。しかし、値の変化が小さく、データを読み取りにくい場合もある。
このような場合は「最小値」と「最大値」を自分で指定してやると、より効果的なグラフにカスタマイズできる。縦軸の書式を変更するときは、「縦軸」の部分をマウスでダブルクリックする。もしくは、縦軸を右クリックして「軸の書式設定」を選択してもよい。
すると、以下の図のような設定画面が表示される。ここで「最小値」と「最大値」の値を変更すると、それに合わせて縦軸の範囲が変更され、グラフの一部分を拡大して示すことが可能となる。
なお、「最小値」や「最大値」に数値を入力したときに、その数値が「2.5E6」などのように変換される場合もある。これは「指数表記」と呼ばれる表記方法で、「△△×10のn乗」という形で数値を示すものとなる。たとえば「2.5E6」の場合、「2.5×10の6乗」すなわち2500000(250万)を意味していることになる。桁数の多い数値を表記する方法として、合わせて覚えておこう。
補助目盛線の表示
「軸の書式設定」では、目盛線や補助目盛線の間隔を指定することも可能だ。ただし、「補助」の数値を変更しても補助目盛線は表示されない。補助目盛線を表示するには、「グラフ要素を追加」をクリックし、「目盛線」→「第1補助横軸」をONにしておく必要がある。
たとえば、「主」の値を500000(50万)、「補助」の値を100000(10万)に変更して補助目盛線を表示すると、以下の図のようにグラフをカスタマイズできる。
この例のように目盛線、補助目盛線を上手に活用すると、各データの値を読み取りやすくなる。もちろん、目盛線の「線の書式」をカスタマイズすることも可能だ。この場合は、目盛線を右クリックし、「枠線」コマンドで線の書式を指定すればよい。
同様の手順で補助目盛線の書式も指定できるが、線が細いため、正確に右クリックするのが難しい場合がある。このような場合は、グラフ内の適当な位置を右クリックし、その後、操作対象に「縦(値)軸 補助目盛線」を選択するとスムーズに操作を進められる。右クリックしづらい要素を選択する方法として覚えておくとよいだろう。
補助目盛線には、目盛線より線幅が細く、色が薄い書式を指定するのが基本。すると、より見やすいグラフにカスタマイズできる。
千、百万などの単位で数値を表示
売上金額のように桁数が多い数値を縦軸に示すときは、「千」や「百万」といった単位で数値を示すのも効果的な手法となる。この手法を採用するときは、「軸の書式設定」で「表示単位」の値を変更すればよい。すると、指定した単位の分だけ0(ゼロ)が省略され、縦軸に「単位を示す文字」が表示される。
このとき、「単位を示す文字」を消去して、できるだけグラフを大きく表示することも可能だ。「単位を示す文字」を消去するときは、「千」や「百万」などの領域をクリックして選択し、「Delete」キーを押せばよい。ただし、このままでは間違った数値として認識されてしまう可能性がある。必ず縦軸の「軸ラベル」に単位を記しておくのを忘れないようにしよう。
表示形式の指定
縦軸の数値は、基となるデータ表の「表示形式」に従って表示される仕組みになっている。今回の例の場合、基となるデータ表に「通貨」の表示形式が指定されているため、縦軸の数値にも「\」の記号が自動付加されることになる。
とはいえ、千単位で数値を示す場合、この「\」の記号は混乱を招く原因となりかねない。よって、「軸の書式設定」で表示形式も変更しておくとよい。この表示形式はグラフ(縦軸)にのみ反映される書式となるため、基のデータ表に影響を与えることはない。基のデータ表を変更することなく、グラフ内のみ表示形式を変更する方法として覚えておくとよいだろう。
縦軸の反転
そのほか、縦軸の上下を反転して配置する書式も用意されている。この書式は、順位やタイムのように「数値が小さいほど良い結果」を示す場合に活用できる。
以下は、各商品のランキングの推移を示したグラフとなる。ただし、普通にグラフを作成すると、順位が良くなるほど下に表示されてしまうため、適切なグラフにはならない。
このような場合は、縦軸を反転させて配置するとよい。「軸の書式設定」を開き、「軸を反転する」にチェックを入れると、小さい数値ほど上に表示されるグラフに変更できる。その後、「最小値」や「最大値」などの数値を調整すると、以下の図のようにグラフをカスタマイズできる。
なお、縦軸を反転させると、横軸が「グラフの上」に配置されてしまう。これを「グラフの下」に変更することも可能だ。そのためには、「縦軸と横軸の交点」を変更する必要がある。これについては次回の連載で詳しく解説していこう。