今回は、行をグループ化し、アウトライン機能によりデータの表示/非表示を自由に切り替える方法を紹介する。前回の連載で紹介した集計機能と合わせて、使い方を覚えておくとよいだろう。特に、データが何十行、何百行にもなる大きな表を扱うときに重宝するテクニックとなるので、よく仕組みを確認しておくとよい。
データをグループ化するときの操作手順
まずは、データをグループ化するときの操作手順から解説していこう。複数の行に入力されているデータをグループ化し、1つの集合体として扱いたいときは、その範囲(行)を選択し、「データ」タブにある「グループ化」をクリックする。
すると、選択していた行が1つのグループになり、「+」ボタンや「-」ボタンでデータの表示/非表示を自由に変更できるようになる。
以上がデータ(行)をグループ化するときの基本的な操作手順となる。操作手順そのものに、特に難しい点は見当たらないと思う。ただし、ここで紹介した例は“グループ化の正しい使い方”になっていないことを覚えておく必要がある。むしろ、これまでに紹介してきた例は、根本的な間違いを犯している使い方となる。
Excelでデータ(行)をグループ化するときは、そのすぐ下に集計行となる行を用意しておく必要がある。つまり、「グループを代表する行が1行あり、その上に詳細データが何行か並んでいる」、という形で表を作成しておく必要がある。
先ほど示した例の場合、「+」や「-」のボタンで「6月17日」のデータを開閉することは可能であるが、同様の仕組みを「6月18日」以降のデータにも適用しようとすると、思い通りの結果を得られなくなってしまう。たとえば、「6月18日」のデータが入力されている行(6~8行目)を選択して「グループ化」を行うと、以下のような結果になる。
この場合、「6月17日」と「6月18日」のデータが1つのグループとして扱われるようになり、各日付のデータを個別に操作できなくなってしまう。このような不具合を回避するには、各グループの下に集計行となる行を用意しておく必要がある。
集計行を用意したデータのグループ化
それでは、グループ化の正しい使い方を解説していこう。データ(行)をグループ化するときは、各グループの下に集計行を用意しておくのが基本だ。今回は各グループの集計行として、観客動員数の合計をまとめた行を以下の図のように挿入した。
この状態で、グループ化する行を選択し、「グループ化」コマンドをクリックすると、アウトラインを正しく活用できるようになる。
グループ化された範囲に「縦線」のアウトライン記号が表示され、その集計行に「-」ボタンが表示される。このような形になればグループ化を正しく指定できたことになる。
「6月18日」以降のデータも同様の手順でグループ化していくと、以下の図のような仕上がりになる、
もちろん、「+」や「-」のボタンをクリックしたり、「1」や「2」のボタンをクリックしたりして、データの開閉(表示/非表示)を自由に操作することも可能だ。サイズの大きい表をコンパクトに表示し、必要に応じて詳細データを閲覧できるようにする場合に重宝するテクニックとなるだろう。
このようにグループ化を手動で指定するときは、合計を算出する関数SUMなどを自分で入力し、集計行をあらかじめ作成しておかなければならない。その反面、セルの背景色や罫線などを自由に指定できるため、集計機能を使った場合(前回の連載を参照)より見やすい表に仕上げることが可能となる。
集計行が上に配置されている場合のグループ化
データ(行)をグループ化する際に用意する集計行は、必ずしも「合計」などを算出する行でなくても構わない。各グループを代表する行になっていれば、グループ化を指定することが可能だ。また、「集計行」が「詳細データ」の上に配置されている場合もグループ化を活用できる。
たとえば、社員の連絡先をまとめた表をグループ化して、より使い勝手の良い表に仕上げることも可能だ。
この例では、「各グループ」の上に「集計行」となる行が配置されているので、最初にアウトラインの設定を変更しておく。
「データ」タブを表示し、「アウトライン」の領域にある「ダイアログボックス起動ツール」(小さい四角形のアイコン)をクリックする。続いて、「詳細データの下」のチェックを外し、「OK」ボタンをクリックする。
これで「各グループ」の上にある行を「集計行」とするように設定を変更できた。あとは、これまでと同様の手順でグループ化を指定するだけ。グループ化を指定すると、以下の図に示したようなアウトラインが構成される。
同様の手順で各課のデータをグループ化していくと、データの表示/非表示を自由に切り替えられる表を作成できる。普段は「集計行」だけを表示しておき、必要に応じて各課の「詳細データ」を表示するように操作すれば、使い勝手のよい表に仕上げることができるだろう。
今回の例で紹介した表は“サイズの小さい表”となるが、実際には表全体が何十行、何百行にも及ぶ“サイズの大きい表”を扱う場合もあるだろう。このような場合にグループ化を有効活用すると、必要な部分だけを開閉して表示できる表を作成できる。様々な場面に応用できるテクニックなので、グループ化 & アウトラインの使い方をいちど確認しておくとよいだろう。