今回は、項目別の小計などを自動計算できる集計機能の使い方を紹介する。古くからExcelに搭載されている機能であるが、この機能を活用している方は意外と少なく、あまり存在を知られていない機能といえるだろう。便利に活用できる場合もあるので、この機会に基本的な使い方を覚えておこう。

集計機能を使って「小計」を算出する方法

まずは、今回、例として使用する表を紹介する。以下の表は、6/17~6/20の4日間について、「新宿」「上野」「恵比寿」の各会場を訪れた観客数をまとめた表となる。

会場別に観客数をまとめた表

観客数のデータが会場別にまとめられているため、「各日に合計何人の観客が来たか?」を調べるには、それぞれの「日付」ごとに合計を算出しなければならない。このような場合に活用できるのが集計機能となる。

集計機能を使用するときは、表内にあるセルを1つだけ選択し、「データ」タブにある「小計」をクリックする。

集計機能の呼び出し

すると、以下の図のような設定画面が表示される。ここでは最初に“集計の基準となる列”を選択する。今回は「日付」ごとにデータの合計を算出するので、「グループの基準」に「日付」を選択する。

「グループの基準」の選択

続いて、集計方法と集計するデータを指定する。「集計の方法」に「合計」を選択し、データを合計する列にチェックを入れる。

集計方法と集計するデータの指定

あとは「OK」ボタンをクリックするだけ。すると、以下の図のように集計結果が表示される。今回の例の場合、「日付」を基準にデータが分類され、各日のデータの合計(小計)が集計行として自動挿入される。また、表の最下部には全データを合計した「総計」も表示される。

集計結果の表示

このように、集計機能を使うとデータを自動分類して合計(小計)を求めることが可能となる。そのつど関数SUMを入力する必要がないため、短時間で計算結果を確認できるのが利点といえるだろう。

そのほか、集計機能を使って「平均」や「最大」「最小」「分散」などの計算を行うことも可能だ。よって、合計以外の計算を行う場合にも集計機能を活用することができる。

用意されている集計方法

なお、集計機能を解除して表を元の状態に戻したいときは、  (1)表内のセルを1つだけ選択  (2)「データ」タブにある「小計」をクリック  (3)「すべて削除」ボタンをクリック という手順で操作を行う。

集計行を削除する場合

すると、集計行が削除され、表を元の状態に戻すことができる。こちらの操作手順も、あわせて覚えておく必要があるだろう。

集計するデータが離れている場合は「並べ替え」が必要

集計機能を使用するときは、データの並び順にも注意すること。たとえば、先ほどの表を「会場」の列を基準にして集計すると、以下の図のような結果になってしまう。

「グループの基準」に「会場」を指定したときの集計結果

もちろん、これでは会場別の集計結果として意味をなさない。このような場合は、あらかじめ「会場」の列を基準にデータを並べ替えておく必要がある。

「会場」の列を基準にデータを並べ替え

この状態で集計機能を使用すると、以下の図のように会場別のデータの合計を算出できる。

集計方法の指定

「会場」の列を基準にした集計結果

こちらも集計機能を使うときの基礎知識となるので、よく仕組みを確認しておこう。

アウトラインを操作して必要なデータだけを表示

集計機能は、関数を入力する手間を省略してくれるだけでなく、データをグループ化する機能も兼ね備えている。むしろ、データをグループ化するために集計機能を活用する場合の方が多いかもしれない。

集計機能を使って合計などを算出すると、ウィンドウの左端にアウトラインの操作パネルが表示される。

アウトラインの操作パネル

ここに表示されている「-」ボタンをクリックすると、その項目の詳細データを折りたたむ(非表示にする)ことが可能となる。たとえば、「恵比寿 集計」の左側にある「-」ボタンをクリックすると、「恵比寿」会場のデータが折りたたまれ、「恵比寿」の集計結果だけを表示できるようになる。

「恵比寿」の詳細データを折りたたんだ場合

もちろん、「+」のボタンをクリックし、折りたたんだデータを展開(再表示)することも可能だ。

また、操作パネルの上部にある「1」「2」「3」のボタンをクリックして表示内容を変化させる方法も用意されている。たとえば、「2」のボタンをクリックすると、各項目の詳細データが非表示になり、「会場別の集計結果」だけを表示できる。

「2」ボタンをクリックしたときの表示

「1」のボタンをクリックすると「会場別の集計結果」も非表示になり、「総計」だけが表示される。一方、「3」のボタンをクリックした場合は、全データが表示される仕組みになっている。

「1」ボタンをクリックしたときの表示

「3」ボタンをクリックしたときの表示

このように、状況に応じて詳細データの表示/非表示を自由に変更できるのが集計機能の特長といえる。「会場」もしくは「日付」でデータを比較する場合などに活用できるだろう。

今回の例で紹介した表はサイズが小さいため、さほど魅力を感じないかもしれない。しかし、データが何百行もある大きな表になればなるほど、詳細データの表示/非表示を自由に変更できるアウトラインが非常に重宝する存在となる。サイズが大きい表を快適に扱うテクニックの一つとして覚えておくとよいだろう。

なお、データのグループ化は、集計機能を使用しない場合にも活用することが可能である。次回は、データを手動でグループ化し、アウトラインを使って行の表示/非表示を変化させる方法を紹介しよう。集計機能と合わせて使い方を覚えておくとよいだろう。