早いもので、5月も半ばとなりました。そして、メジャーリーグは各地で試合が行われており、年々増えている日本人選手の活躍が気になる季節ともなりました。日本と米国では何かと数字の表現が違うのですが、野球では、ボールカウントがone-twoになったら、ボールが1でストライクが2です。ご存知のように日本で1-2といったら、ストライクが1でボールが2ですね。ほかにも米国には日本人にはとっさに判断できない数字が多々あります。今回は日本と米国の数え方の違いについて話をしましょう。

海外旅行が終わってみれば、財布の中はコインだらけ…

米国を訪れたときに一番困る数え方の違いは、お金、中でもコインではないでしょうか。何年住んでいても、私はいまだに瞬時に正しく計算できません。スーパやドラッグストアの買い物でも、たとえ小額の支払いであってもクレジットカードですし、チェックやデビットカードを使うことはあっても、現金を使う機会はめったにありません。こんな日々ですから、手持ちのコインを減らそうと一生懸命計算したつもりが、なんだかよけいに増えて返ってきてしまったことも一度ではありません。

なんといっても計算を難しくしているのは日本円には存在しないクォータ(25セント)の存在でしょう。ところが、米国ではクォータは最もよく使うコインで、コインランドリーの洗濯機/乾燥機はクォータしか受け付けなかったり、自動販売機もモノによってはクォータのみだったりします。また、コインの計算はクォータがベースになっているといってもいいくらいです。まず、クォータが何枚と計算し、残りをダイム(10セント)、ニッケル(5セント)、ペニー(1セント)がそれぞれ何枚というような計算が多いのではないでしょうか。AAA Math, Coins for ChangeのChange Dueに、おつりの計算方法が解説されていますが、コインはやはりクォータが最初です。

余談ですが、このクォータの絵柄をじっくりと見たことはあるでしょうか。米国50州それぞれの絵柄がついているクォータがあるのです。50州分すべて、つまりすべて柄が違う50枚を集めるのは米国内の住人なら、家族の誰かがトライしているのではないかと思います。

クォータもいろいろ: "The Evergreen State"のワシントン州(左)と"Gateway to Freedom"のニューヨーク州(右)

紙幣の方は20、10、5、1ドル札ですからわかりやすいですね。1ドル札は多めに持っていないとチップとして渡すお金がなくて困るので、財布のなかは1ドル札で埋め尽くされていることもよくあります。では20ドル以上の紙幣はどうでしょうか。非常に珍しい存在です。米国内ではたとえ500ドルをATMから引き出してもすべて20ドル紙幣で出てきます。100ドル札を持っている日本人を見ると、「旅行者だなぁ」とつくづく思います。店によっては100ドル紙幣を受け付けてくれないところもあると聞いたことがありますので、みなさん、ご注意ください。

さて、読者の皆様はドルのことをbuckと言うことはご存知だったでしょうか。ドルとまったく同じ使い方で、$5なら"five bucks"、$20なら"twenty bucks"で、そして、"big bucks"ならたくさんのお金です。とてもよく使われている言葉なので、米国にやってきたことがある人なら、きっとどこかで耳にしているはずです。

数字は"2ケタずつ"が米国流

また、お金に関わらず数字は2桁ずつまとめ読みするのはご存知ではないかと思います。本連載第25回の「数字の表現の難しさ…」のところでもこの話をしているので、そちらもご覧になってください。おさらいですが、たとえば234だったら"two thirty-four"で、1520だったら"fifteen twenty"になります。契約など数字の誤解があってはならない場面では"a thousand five hundred twenty"のように言いますが、"fifteen twenty"の方がよく聞く言い方です。New York Timesの記事の"A DARING DIAMOND ROBBERY.; FIFTEEN HUNDRED DOLLARS' WORTH TAKEN BY A THIEF."では1500をfifteen hundredと数えています。

そして、プログラムを書く者として忘れてはいけないのが、お金は整数ではなく、実数型でなければならないという点です。日本円の考えで、うっかり整数のつもりでいると、$3.87のような金額を扱っているときに小数点以下、セント部分が切り捨てられてしまいます。日本円以外も扱うプログラミングを行うときは金額部分を実数型にするのをお忘れなく。

最後に、前回のdictationのおさらいをひとつ。 ミュージカル映画RENTの主題歌でもある"Seasons of Love"には1年の分数が歌詞に出てきます。"♪Five hundred twenty…" - この数字を書き取ってみてください。正しく分数を書き取れましたか?

数字の話はいかがだったでしょうか。メジャーリーグを観戦するときには、"How many runs did we get/lose this inning?"(この回に何点入った?)などど会話しながら数えてみてください。