「虫めがね」。最近では百均でも売っています。この虫めがねと、手近な材料で、カメラ箱(カメラ・オプスキュラ)を作ってみました。思いのほかカンタンにでき、結構楽しいので、ご紹介しちゃいます。いろいろ工夫すると立派な自由研究にもなりそうですよ~。

まずは完成品から。はい、こんな風にスクリーンに風景が写っていますね。これがカメラ箱です。400年以上前からある道具です。風景が写っているスクリーンの部分にフィルムやCCDなどのイメージセンサをおくと、まんまカメラになります。

これ、作るのカンタンなんですよ。不器用を自認する私ですら、わずか15分でできてしまいました。じゃ、さっそくその様子をご覧いただきましょう。かなりアバウトな工作でもちゃんと完成します。

1. 材料と道具

以下の写真の通り、虫めがね、小さ目の段ボール箱、半透明のクリアフォルダ、ガムテープ、カッター、定規、それにマーカーですね。カッティングマットは使いませんでしたがある方がいいでしょう。

2. 虫めがねの焦点距離をチェック

だいたい20~25センチとわかっているのですが、まじめに確認しました。20センチですな。

3. 段ボール箱を20センチ(焦点距離)の大きさに切る

マーカー+定規で端っこから20センチの線を引き、それをカッターで切ります

4. 段ボールにクリアフォルダをつける

スクリーンにあたります。ガムテープでペタペタ、ついでに、箱の弱い部分をガムテープで補強。

5. 虫めがねをつける穴をあける

スクリーンと反対がわの中心付近に穴をあけます。虫めがねより小さければOK。形も適当。

6. 虫めがねをとりつけて完成!

ガムテープでペタリ! これでOK。私の場合、所要時間は15分間でした!

できたカメラ箱を、虫めがねを前にして、あちこちにむけると、おお見えるじゃあないですか。

カメラ箱=カメラ・オプスキュラは、400年ほど前に発明された道具です。カメラ・オプスクーラとか単にカメラといわれることもあります。外から光が入らないようにした箱の一端にレンズをつけ、そのレンズが作る像を楽しむ道具です。

もっと前はレンズを使わずピンホールで行った時代もあったようですが、レンズを使うことで、像が非常にくっきりしたってわけです。最初はアトラクションだったそうですが、のちに画家がこれをつかって、風景画を描いたり、さらには像を化学的、電子的に固定するカメラの元祖になったわけです。さらに、スクリーンにルーペをあてがうと望遠鏡になります。あらゆる光学機器の基本がこのカメラ箱なのですね。

鋭い方は、箱はなくても虫めがねだけでもいいんじゃないか? と思うでしょう。その通りで、レンズだけでもOKです。ただ、まわりの光を遮ることで、像がよりくっきりしてくるわけです。

そんなことを考えて、像をくっきりさせる工夫をすると、自由研究になります。また、カンタンに作れますので、いろいろつくりかえるのも面白いでしょうね。また、虫めがねがわりに、最近活躍の場がないOHPのレンズなど大きなものを使うと、部屋まるごとカメラ箱にもできます。そんな楽しい授業をしている先生もいらっしゃいます。

虫めがねは、磁石とともに、理科の楽しさがよくわかる道具。カメラ箱をヒントにいろいろ遊んでみてはいかがでしょうか? 

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。