宇宙には予測が秒単位でできることから、どーなるかわからんことまで色々おこります。「素人でも手軽に関われる」宇宙についてのあれこれを、サクっと紹介する恒例の「宇宙、どうでしょう」。前回の星空編に続き、2025年前半となる1~6月の宇宙開発をご紹介! 

日本

1月中にHAKUTO-R M2が打ち上げ

日本の宇宙ベンチャーispaceによる月着陸機「HAKUTO-R」が、スペースXのファルコン9によって打ち上げ予定です。さてうまくいきますか。座して待ちましょう。

2月1日、準天頂衛星システム 6号機が打ち上げ

昨年(2024年)、日本の新主力ロケットH3は、初成功の2号をふくめ、打ち上げに3回成功しました。

このうち3号は、地球探査衛星だいち4号 の軌道投入に成功しています。このH3ロケットの2025年の役割は、まず「準天頂衛星システム(みちびき)」の打ち上げです。いわゆる日本版GPSでございますな。H3が順調ということで、みちびき6号機を2月1日に、5号(順番ひっくり返っています)を3月までに、4月以降に7号機が予定されています。みちびきは、3機の人工衛星が見えていればよく、軌道上見えないところにいつも1機がいってしまうため、原理上4機で機能するものですから、これは冗長性ということでございますな。

  • 準天頂衛星システム「みちびき」6号機(QZS-6)のフライトモデル

    準天頂衛星システム「みちびき」6号機(QZS-6)のフライトモデル (編集部撮影)

HTV-X

2025年中に、国際宇宙ステーション(ISS)への新型貨物補給機HTV-Xの打ち上げが予定されています。従来のHTV(こうのとり)とほぼ同じ大きさでありながら、6割ほど搭載量を増やし、さらに長期間の宇宙空間を単独で飛行が続けるように改良されています。成功すれば、月への物資補給や、探査基地のパーツなどへの応用もスコープに入っています。

ともあれ、まずは軌道投入とISSへのドッキング成功でございます。いよいよですな。

  • HTV-X 1号機のサービスモジュール本体

    HTV-X 1号機のサービスモジュール本体 (編集部撮影)

技術試験衛星「ETS-9

技術試験衛星「ETS-9」は、静止軌道におく大型の通信衛星です。今のトレンドは、スペースXのスターリンクのような低軌道の衛星コンステレーションですが、静止軌道で広範囲をカバーし、光通信の実証実験も行うなど、違うアプローチの実験が予定されており、これが今年中に打ち上がる予定です。

「MMX」と「LUPEX」

火星衛星探査機「MMX」と月極域探査機「LUPEX」が予定されているのですが、2025年中にはなさそうです。2026年度もしくは2028年度くらいの予定ですね。

スペースワン「カイロス

民間で話題になっているのが、和歌山県から打ち上げる「カイロスロケット」ですな。発射直後に失敗した1号に続いて、発射からしばらくしてうまくいかなくなった2号でございましたが、3号ではもっと遠くまでいって、成功につなげてほしいですな。

アメリカ

スペースX社の快進撃は続く

スターリンクで、低軌道の衛星コンステレーションによるインターネット通信を、コストコで小売りできるまでにしたスペースX社ですが、一方で超巨大宇宙船スターシップもガンガン進めていますな。

衛星の打ち上げペースはすさまじく、ここ1年は毎週1~2回の打ち上げでした。ちなみに430回も打ち上げているとか。今後は近々しかスケジュールがわからないのですが、1月9日にはファルコン9ロケットでスターリンクV2Mini衛星を大量軌道投入。10日にはスターシップの第7号の打ち上げ、14日にはファルコン9の打ち上げが予定されています。また1月中にスターリンクの打ち上げがもう一回、またHAKUTO-Rの打ち上げも予定されていますな。

先の方では4月に太陽風探査のTRACERS、「Ax-4宇宙ステーション補給機」、5月に太陽探査衛星「IMAP」をそれぞれファルコン9で打ち上げ予定なのですが、NASAの発表では9月にずれこむようですな。

ブルーオリジンはどうかな?

Amazonの創業者ベゾスが立ち上げた宇宙ベンチャー、ブルーオリジンも次々にロケット打ち上げを行います。この1月にも新型の大型ロケット「ニューグレン」の打ち上げが予定されていますね。

NASAの計画は?

さてなんか順番が逆になっていますが、アメリカのNASA。大統領が替わることで影響があるかもですが(前回トランプ大統領だったときは、予算が縮減された)、とりあえず公式から予定をざっと見てみましょう。

1月中旬以降、月着陸CLPS

10個の科学実験装置をつんで月面着陸をする「CLPS」。月の有人計画のサポートミッションとも位置づけられています。

2月下旬以降、観測的宇宙論探査衛星「SPHEREx

全天をくまなくスキャンする探査機で、宇宙初期の再電離時期を調べる目的をもった衛星です。4億以上の銀河と、1億以上の天の川銀河の恒星を調べるということで、いやはやすごいですな。

3月、地球レーダー探査衛星「NISAR

巨大なレーダーで地球の表面を12日ごとに2回ずつチェックし、地球の気候変動を調べる探査機です。陸上と氷床をチェックすることになっております。

4~6月、火星探査機の「ESCAPADE

ESCAPADEは火星の磁気圏をさぐる探査機です。

このほか、ISSへの補給や人員交代のミッションが予定されています。ちゃんとロシアのソユーズも参加していますよ。

ヨーロッパ

ヨーロッパはアリアンスペースによるロケット打ち上げですな。

2月25日に「CSO-3」の打ち上げがアナウンスされています。また、3月には新鋭の「VEGAロケット」によって森林監視衛星「BIOMASS」の打ち上げがアナウンスされています。

ロシア

3月17日に「ソユーズロケット」によって地球観測衛星「AIST-2T」を2機打ち上げ予定です。また、4~6月に、レーダー地球観測衛星「Obzor-R」も予定されています。

中国

独自の宇宙ステーション「天宮」に、月探査とイケイケの中国ですが、ちょっとペースが落ちている? 

1月に新型の「長征8号ロケット」にて通信衛星を打ち上げます。また5月には、有人宇宙船の神舟20号を打ち上げるほか、小惑星探査機「天問2号」の打ち上げが予定されています。小惑星「2016HO3」からのサンプル・リターンを目指します。

インド、オーストラリアなどのその他の国々

1月にインド版GPS衛星の打ち上げがあるほか、オーストラリアの「ERISロケット」のテスト打ち上げがあります。1月以降ですが、インドが有人宇宙船「ガガンヤーン」のテストを行います。無人のテストです。インドも有人宇宙船に踏み出しますな。

3月にはインドとNASA共同の地球観測衛星「NISAR」が打ち上げられるほか、インドのガガンヤーンのテストが行われます。

なにげにインドがすごいですな。ということで楽しんでまいりましょう。