宇宙には予測が秒単位でできることから、どーなるかわからないことまで、いろいろな事象がおこります。そんなニュースから「素人でも手軽に関われる」宇宙についてのあれこれを、サクっと紹介する恒例の「宇宙、どうでしょう」。2024年後半7~12月の星空分を一気にご紹介!
なお、天文現象を一年分紹介している年鑑の類が、毎年刊行されています。そのあたりは、半年前の宇宙、どうでしょうにまとめたので、適宜ご参照くださいませ。
なお、今回も星空の作図は、天文ファンには定番のWindowsアプリ、アストロアーツ社のステラナビゲータを使っています。
星空情報7・8月
図は、この時期の夜、東京郊外の星空全体の様子を示した「星図」です。
〇の円周が地平・水平線。中心が頭の真上です。
「星図」と夜空をみくらべるときは、自分が向いている方を星図の下にします。
たとえば、北を向いて見ていれば、星図をひっくり返し、北の字が下になるようにしてて使います。そうすることで結構、夜空がわかるものなのでございます。
8月10日夜8時すぎ「スピカ食」
おとめ座の1等星、スピカが月に隠される「スピカ食」が北海道をのぞく全国で見られます。1等星の食は、道具なし、都会でも肉眼で見られるのでなかなか貴重な機会です。しかも時間が8時すぎで子どもでも観察しやすいのがよいですな。
見所は、スピカが月に隠れる時と月から出てくる時で、特に隠れるときは、突然スピカが見えなくなるので不思議な感じです。また、その前後も月にだんだんスピカが接近していく(実際は月が接近しているのですが)様子はおもしろく、タイムラプスで撮影するのもよいかと思います。図は、双眼鏡で見たときの見え方です。
ところで、時刻を曖昧にしているのは、スピカ食は場所によって起きる時間が違うからなんですね。月はいっても地球に近いので、日本国内くらいでも場所によって見える方向の違いがわかります。
各地の予報は、国立天文台がされているので、そちらをごらんください。
8月12~13日 ペルセウス座流星群
1年で最も流れ星がよく見える日のうち、夏はこの日です。平均して1時間10~20程度の流れ星。夜空が真っ暗で天の川が見えるくらいだと、ピーク時に1時間に50個数えることもできるくらいです。
観察の仕方は、この連載の第136回をご覧ください。はい、寝転がるのがよいです。ただし、安全には万全の配慮を! でございます。
夏の大三角
夏休みの「見てきなさい」宿題の定番ですな。
星図の中央にある=頭の真上に見えます。真上にある1番明るい星がおりひめ(ベガ)で、2番がひこぼし(アルタイル)、3番がはくちょう座のデネブです。いずれも白い星です。都会でもよく見えますよ。
さそり座
南の空に大きなSの字型に見える星座で、ちょっと郊外にいくとよくわかります。また、大都会でも、南がわに公園など照明が少ない場所だと結構よく見えますよ。
北斗七星
春の星座なのですが、北西の空に見えています。これまた意外と大きいです。
かんむり座T星
この連載の第281回でご紹介した「かんむり座T星」。この原稿を書いている時点では、まだ爆発していません。まあ2年以内くらいかなというところですが、秋くらいまでチェックできます。マークをしたところには普段は星はなく、2つの星がならんで見えたら、爆発! ということです。
なお、この爆発は表面でだけ起こり、星全体が爆発して消し飛ぶことはなく、だから80年ごとに見えているのでございます。
土星
夏の後半または前半でも夜遅い時間なら見られます。望遠鏡買ってもらった! とかであればチャレンジしがいがありますね。
月のそばにあるとわかりやすいので、月と土星が並ぶ日付をお知らせすると、6月28日、7月24日、8月21日、9月17日、10月14日、11月11日、12月9日でございます。
星空情報9・10月
ふたたび、この時期の夜の様子の星図です。
夏の大三角 まだ見えますな
すこし西によるのですが、まだまだ高いところに見えています。
なんなら12月でも見えます。本当に「夏の」大三角なのかなという感じですが、欧米では「the Triangle」という言い方もするぐらいでございます(もちろんSummer Triagleとも言いますよ)。
土星がみごろ。9月17日と10月15日には月と接近!
天文台の望遠鏡でリングをみせてもらおう。
土星がバッチリ見ごろです。リングを見るには望遠鏡が必要でございます。ただ、観察会なども各地の科学館や「公開天文台」で行われますので、そうしたところに足を運ぶのもよいですな。公開天文台は、研究者でなく、ごくふつうの我々が望遠鏡で観察できる施設です。ガイド付きで見られますし、個人では買えないようなスゴい望遠鏡があったりしますよ。たいてい観察料金も非常に安いのでおすすめなうえ、かなりな地方でもあります。まあ、星が見えるのは都会ではないですからね。
全国の公開天文台のリストは、日本公開天文台協会のものがよいですな。また、天文雑誌や科学雑誌、天文関係の企業アストロアーツ社のWebページ「パオナビ」には、アマチュア天文家などによる独自の観察会の情報も掲載されています。あ、あと意外に町内会の掲示板とかにのっていたりもしますよ。
金星と月が低空にならぶ
金星のみごろはもう少しあとですが、9月5日、夕方の低空で細い月と並び立つ様子が見られます。
星空情報11・12月
みたび、この時期の夜の様子の星図です。
はい、夏の大三角、西の地平線にまだふんばっておりますね。
12月8日夕方6時30分ごろ「土星食」
8月にはスピカ食がありました。そしてこちらも一等星ですが、格上というかなんというか、土星の食が見られます。
土星は望遠鏡で見ると、広がって見えますので、スピカのようにいきなり消えたりはせず、じわじわと消えていくのがおもしろいです。
そして、リングとセットだと、やっぱり望遠鏡で見たくなりますな。まあ、このクラスですと公開天文台などがネット中継をしますので、それをスマホでチェックしながら、リアルな方もあわせて見るってのがよいかなと思います。
12月14日 ふたご座流星群
夏のペルセウス座流星群とならんで、流れ星がよく見えるのですが、今年は明るい満月が空にあり、これを避けながらの観察となります。手でおおっちゃうのが簡単なのですが、しんどくなるので、電柱とかの影に月をおきながらの観察ですかねえ。
木星が見えてきた!
夜半の空に、ひときわ明るい木星がよく見えています。
木星といえば、周囲をまわる衛星です。1610年にガリレオが発見したことから「ガリレオ衛星」といわれますが、400年前の初期型の手作り望遠鏡で見えたのですから、ちょっとした望遠鏡で十分観察できます。オモチャのような望遠鏡でもいけることがあるので、ぜひ押し入れから引っ張り出してみてください。
なお、望遠鏡はたいていネジがゆるんだりしているので、そのあたりはキチンとしめつけて、がたつかないようにするのがポイントでございますよ。
オリオン座と冬の大三角
夜半には、都会でもわかりやすいオリオン座が見えてまいります。このあとの1~3月くらいはオリオン座と冬の大三角が主役をはります。天文ファンはオリオン座が夕方に見えるようになると「冬だなあ」と感じるものでございます。
金星がみごたえあり
秋でも話題にした金星ですが、夕方の空にかなり見やすくなっています。
11月5日と12月5日には月とならび、なかなかかっこいい感じになります。
ということで、後半戦も楽しんでまいりましょう。