宇宙には予測が秒単位でできることから、どーなるかわからんことまで色々おこります。「素人でも手軽に関われる」宇宙についてのあれこれを、サクっと紹介する恒例の「宇宙、どうでしょう」。いつのまにやら2023年も後半戦なので、7~12月分を一気にご紹介いたします。
なお、天文現象を一年分紹介している年鑑の類が、毎年刊行されています。ネットやアプリも年々便利になっています。一方、紙の本もまだ捨てがた一覧性と情報量があり、ここでは書き切れない内容がいっぱい。手帳タイプの1000円くらいから月替わりのカレンダータイプ、そしてDVD・ソフトつきムックで3000円くらいまでですね。それぞれの特徴は、この記事の最後にまとめておきましたので、参考にしてくださいませー。
なお、今回も星空の作図はアストロアーツ社のステラナビゲータというWindows用ソフトを使っています。最新バージョンは12とロングセラーで15000円。半額以下のライト版、試用版もあるので「どんなんかなー」と思う方はお試しあれ。
星空情報7・8月
7月中旬くらいで金星とお別れ
2023年前半は、夕焼けの西の空にずっと金星がとっても明るく見えていました。これが、7月中旬すぎには太陽に接近し、そろそろお別れ。太陽と重なるのは8月お盆のころで、8月には夕方にも明け方にも金星は見えません。
金星は明るいので、日が沈んでまもなく見えますので、日の入り後30分の金星の見え方をプロットしますね。7月の終わりには日の入りすぐに見えなくなるのがわかります。
夏の大三角をチェック
金星の反対、東の空高くには、織り姫と彦星が見えています。
七夕のころの空全体を丸く表示すると、こんな感じね。
織り姫はベガ、彦星はアルタイルという名前ですが、もう1つの星デネブとあわせて「夏の大三角」といいます。これ、学校で「見つけてきてください」な宿題に出るやつですな。
8月13日 ペルセウス座流星群
流れ星は、年に何回か、決まった時期に多く流れます。特に8月13日前後に活動のピークを迎えるペルセウス座流星群。流れ星の数は「月のない夜なら」通常の10倍、1時間に数十個に達することがあります。
で、今年はというと、今年2023年はいうとですね……
条件は良好。なのです。流れ星、楽しめますよー!
では、観察法です。
- 日時:8月13日の夜8時~翌朝まで
- 場所:直接、目に街灯などの照明など光源の光が見えない場所
- ベランダに寝そべってみるのがわりとよいです。
- ペルセウス座とか 特に知らなくて大丈夫。北東を中心に、そこから飛び出すように流れ星が見られるのが特徴です
- 準備:寝転がるのがよいのですが、段ボールなどでもOK。寝いす的なものがあるとよい。望遠鏡などは不要というか邪魔。肉眼で空を眺めましょう。
- 注意事項:虫には注意。防虫スプレーなどを身体に塗り、できれば椅子などで地面から身体を離すとよいです。駐車場などクルマの出入りするところは、いきなりクルマがやってくることもあるので避けましょう。また人による犯罪に注意。うっかり、そのまま寝ちゃったりしがち。風邪引いたり、事故のもとなので、無理はせずに引っ込むのが基本。
星空情報9・10月
土星や木星がみごろに
夜の空に土星や木星がみごろになってきます。
土星は南、木星は東の空です。木星は、とっても明るいので、すぐにわかりますよー。土星も意外とちゃんと町中で見られます。
土星といえば、リングですが、これは肉眼では見えず、見るには望遠鏡が必要です。倍率は30倍ほどあればなんとかいけます。なかなか望遠鏡を用意するのは難しいので、各地で開催されている天体観察会に参加するのがよいですね。
天体観察会は、意外や町内会などで(地域の先生や天文アマチュアが)やっている場合もあるので、町の掲示板もチェックですよ。
また天文台や科学館の定期的に開催しているのも狙い目ですね。公共施設のものをさがすには、この記事の図作成に使っているアストロアーツさんのサイト「パオナビ」が便利です。観察会は、結構大人一人で参加される方もいますし、スタッフも慣れているので、気兼ねなく参加されるとよいと思いますよ。
金星が朝の空に
7月上旬まで、夕方の空にめだっていた金星が、今度は朝の空に見えるようになります。よく見えるようになるのは9月の半ば以降、年内いっぱいは楽しめます。
9月になると日の出もだんだん遅くなってきますので、早起きをしたときにぜひ東の空をチェックしてみてください。
9月21日夕方 アンタレスの食
天文イベントはあまりないのですが、9月21日には、 さそり座のアンタレスという1等星が、月に隠される「アンタレス食」が見られます。
ただ、食のはじまりが17時すぎ、おわりが19時前ですから、まだ周りが明るい感じですね。18時30分ころから月の連続写真を撮影すると、月の向こうからアンタレスが現れ、離れていく様子が見られます。タイムラプス撮影すると面白いので、スマホなどを固定したり、アクションカメラなどを使って試してみてください。
11・12月
夏・秋・冬の星が全て楽しめ、木星がキラキラ!
夏の星が西に、冬の星が東に見え、両方とも楽しめます。
なお、真ん中の南の空はちょっと寂しいのですが、今年は木星がとっても目立っており、寂しさを感じさせません。
秋の星座ではカシオペヤ座がみごろで。都会でも北の空高くになんとかwの字型の姿を見つけられます(北を正面にするとM字型になります)。
また、東京だとやや郊外にいけば、すばるを見つけることができます。普通の星とちがってちょっとごちゃっとした感じに見えるのが特徴で、空の暗いところではけっこう目立ちます。
12月14-15日 ふたご座流星群
夏のペルセウス座流星群とならび、流れ星が多く見られるのがふたご座流星群です。月の影響もなく、絶好の観測日よりで一晩中見られます。特に14日から15日に日付がかわる0時ころがピークとみられています。
観察のコツはペルセウス座流星群と同じですが、寒さだけは違います。けして無理はせず、気をつけて観察をしてみてください。
宇宙開発の話題、2023年後半戦(7~12月)
一昨年から昨年にかけては宇宙飛行ラッシュという感じでしたが、ちょっと下火かなという感じですね。またまたSPACEFLIGHT NOWをチェックしながら書いていきますよ。あ、その前に日本の話題から
日本の宇宙開発今年はどうだ!?
まずは、本山のJAXA&三菱重工さんですな。イプシロン6号機と、H3ロケット初号機失敗をどう乗り越えるか正念場でございますな。
JAXAさんはあまり先の予定を書いてくれないのですが。
国際宇宙ステーションへの次世代貨物機「HTV-X」が、1号機の製造を終え、チェックと打ち上げまであと少しというフェーズです。
また、X線天文衛星「XRISM」、月着陸機「SLIM」は、H2Aロケット47号機によって今年度8月以降に打ち上げ予定です。また火星探査機「MMX」も2020年代前半に予定なんですが、さて来年度までにあがるでしょうか?
日本は他に、北海道でMOMOシリーズのロケットを打ち上げているインターステラテクノジ社さんがあります。人工衛星を打ち上げるのではなく、高度100kmの宇宙空間での実験を実現するロケットですな。また、人工衛星打ち上げ能力があるZEROも開発中で、2024年には打ち上げ予定だそうです。ホリエモンが出資していることで有名な会社ですが、ちゃくちゃくと実績をあげているのがわかりますなー。
また、キヤノン、IHIなどがかかわるスペースワン社のカイロスロケットも、和歌山県の本州最南端串本町から打ち上げ予定です。こちらは最初から低軌道に250kgというそこそこの人工衛星を打ち上げるプロジェクトです。というかもう打ち上がっているはずだったのですが、延期が続いていますね。まあ、ロケット界隈ではよくあることなので、まちましょう。
海外はどうかな?
ロケット打ち上げの実績では、SPACE-X社が図抜けていますが、他もずいぶんたくさんのミッションが予定されています。東明的ハイライトをご紹介しますね。
7月1日には、ヨーロッパの天文衛星ユークリッドが打ち上げ予定
宇宙の95%を占めるとされながら、いまだ発見されていない「ダークマター」と「ダークエネルギー」の探査のための宇宙機です。
これまでは、ハッブル宇宙望遠鏡の観測時間の一部をつかったりしてきましたが、専用機によって一気にデータをとろうという考えですな。
7月14日にはニュージーランドでエレクトロンロケットが打ち上げ
もう、かれこれ20回くらい打ち上げをしてきていますね。
そのほかの打ち上げあれこれ
えー、めっちゃたくさんSPACE-XのFALCONの打ち上げがあります。
軍事衛星もあれば、StarLink衛星や放送衛星の打ち上げもあります。ウクライナの戦争で有名になった画像取得衛星MAXAR社のWorldViewも増強するもようです。
あと、夏の終わりにはクルードラゴンにより、大金持ちのジャレッド・アイザックマンさんを2度目の宇宙旅行に向かわせる予定ですな。
8月2日にはノースロップ社のアンタレスロケットがシグナス補給機を国際宇宙ステーションに届ける予定です。
8月以降には、日本のH2AロケットがXRISMとSLIMという2つの科学衛星打ち上げ予定。SLIMは日本初の月着陸成功なるか!?ですね。
年末の四半期に、アメリカのUnited Launch Alliance 社のVulcan CentaurロケットによりAstrorobotic社の月着陸機のPeregrineが打ち上げ予定です。
10月5日に小惑星探査機「Psyche」が打ち上げ予定です。Maxar社が製作した宇宙機によって、鉄でできているといわれる小惑星Psycheを目指します。到着は2029年の予定となっています。
年末に、ボーイングの有人宇宙機「スターライナー」が打ち上げ予定です。初めて人間を乗せてのミッションです。
11月に中国が3人の宇宙飛行士を宇宙に送り出します。使用ロケットは長征2F、宇宙機は神舟17号です。有人宇宙飛行は12回目。中華宇宙ステーションにランデブーし搭乗予定で、これは6回目になります。
年末にアメリカのULAがドリームチェイサーという有翼宇宙機を打ち上げます
えっと、これ2021年くらいにあがってなかったっけ? あ、この記事のですな。
えー、テストとしては2回目で、宇宙に飛び出すのは初めてとのことです。ようやっっとですな。
ということで、2023年後半戦も宇宙を楽しんで参りましょう。
天文情報に特化した年鑑類
以下は天文情報に特化した、年鑑類でございます。