宇宙には予測が秒単位でできることから、どーなるかわからんことまで色々おこります。「素人でも手軽に関われる」宇宙についてのあれこれを、サクっと紹介する恒例の「宇宙、どうでしょう」。2023年前半1~6月の分を一気にご紹介! 今回は星空編と宇宙開発編に分けて、星空編でございます。
なお、天文現象を一年分紹介している年鑑の類が、毎年刊行されています。ネットやアプリも年々便利になっています。一方、紙の本もまだ捨てがたい一覧性と情報量があり、ここでは書き切れない内容がいっぱい。手帳タイプの1000円くらいから月替わりのカレンダータイプ、そしてDVD・ソフトつきムックで3000円くらいまでですね。それぞれの特徴は、この記事の最後にまとめておきましたので、参考にしてくださいませー。
なお、今回も星空の作図はアストロアーツ社のステラナビゲータというWindows用ソフトを使っています。10000円あまり。半額以下のライト版、試用版もあるので「どんなんかなー」と思う方はお試しあれ。
星空情報1・2月
冬の星に、火星と木星が加わりにぎやかです
1月20日ごろの夜9時の全体の星空を描いてみました。名前がつけてある星は大都市の都心でも見られますよ。目立つのは、木星、シリウス、1月中の火星ですね。
火星が明るく見えているのは、実は2年ぶりです。
2022年12月1日に地球に接近した火星。以前の連載でもご紹介しましたね。いまは、地球からだんだん遠ざかっているものの、明るい状態が続いています。東~南の空に見える赤くて明るい星なので、すぐにわかります。なお火星は2月の終わりごろになるとアルデバランやベテルギウス並の明るさになります。次第に見分けにくくなりますな。早めにごらんください。
なお、この火星にさらに月がならぶと豪華な感じになります。1月3日、1月31日、2月28日がそうです。さらに、日本では見えませんが、「火星食」が海外では起こります。なかでも1月31日(現地では30日)はカリフォルニア・メキシコ湾岸などアメリカの広い範囲で火星食が見られますので、チャンスがある人もいるかもですな。シミュレーションソフトのOccultで見える範囲を示します。線で囲ってある部分です。
木星もみごろが続く
火星以上に明るいのが木星です。西の空によく見える明るい星がそうです。
月と木星がならぶのが、1月26日と2月23日です。
肉眼では無理ですが……ズィーティーエフ彗星が接近
1月下旬~2月に接近します。明るいと予報されていますが、それは「天文マニアにとって」であり、5~6等級と、ものすごく星がよく見えるところで、目がいい人がわかるかな? というレベル。双眼鏡や望遠鏡で専門的にとらえないといけません。が、彗星は時に「化ける」ことがあるので一応ご紹介だけしておきます。場所は北極星の近所を通り、2月11日には火星の横をすり抜けます。
1月29日、北海道で天王星食
えー、観測しがたいということであれば、こちらも。昼間ですけどね。で、あれ? 天王星食ってなんか100年にいっかいとか…。はい、皆既月食の最中におこるのが珍しいのですが、天王星食は珍しくありません。これからの10年間で、18回起こります。ただ、ばらつきがあって、2023年は3回ありますが、その次は2029年。で、2029年は5回、2030年は10回あって、その次は2037年になります。月の軌道が天王星の軌道に対してかなり傾いているためにこうなるのでございます。
2月下旬から金星が見頃に
こちらは、都会でもバッチリの金星。2月下旬から夕方の空に見やすくなっていきます。2月22日に二日月と金星がならびます。ちなみに木星も近づいてきております。
星空情報3・4月
まだ冬の星や火星は見えますが、主役は金星に変わっていきます。特に3月初旬は木星と金星が夕空に並び立つのがみごとです。
3月5日夜8時ごろの空の様子です。西の空に2つくっついているのが金星と木星です。
3月初旬、夕方の西空、見事な木星と金星と月のランデブー
夜空で1番明るい月、2番の金星、3番の木星が、3月初旬の西の地平線に並び立ちます。本州などでは春霞の季節になりつつありますが、西の水平線が見えるところとか、都心でもタワーや高層ビルの展望台などから見たいですな。
2月21日~3月10日まで、夜19時の西の空をタイムラプスにするとこんな感じです。どの日に見るのもよいですな。
そして3月24、25日には、木星と月、金星と月のランデブーを再び見ることができます。
4月になると、木星は地平線に近くなり、金星のみが主役となっていきます。
4月12日ごろ、水星を見つけるチャンス
一部の魔女からちょっと名前があがっている水星。太陽に最も近く表面温度が400度になるという生きていけるか! という天体でございます。この天体は、太陽の近くに見えるため、観測しにくいのですが、4月12日前後は、太陽から最も離れる場所に見え、金星との位置関係もあり見つけやすくなっております。
図は夕方の7時30分の水星の位置。西の低空ですが、春霞さえなければ結構明るく見えます。ぜひチャレンジしてみてください。
4月20日午後2時ごろ 部分日食(日本の南の方でだけ見える)
東京や大阪では次に日食が見られるのは、2030年ですが、2023年4月20日、房総半島の先っぽ~紀伊半島~四国の南~鹿児島あたりより南でわずかにかける部分日食が見られます。南へ行くほどかけかたが大きく。インドネシア~オーストラリアの北部で皆既日食~金環日食になります。じゃあ、どこでなら欠けるのかというと……
関東地方がビミョーですね。精度ないのを無視して拡大すると。
三浦半島の南の方では欠けるけど、横須賀駅のあたりは欠けない。熱海は欠けるけど三島は欠けないとか。本当に微妙。まあ、欠けても。「え? そうなの」くらいですな本州だと。それでも貴重な機会ですから、日食メガネをちゃあんと用意しておくとよいですよ。
日食が起きる時間は場所ごとに違いますが、国立天文台のWebサイトでおのおの調べるのがよいでございますよ。
星空情報5・6月
星空全般では冬の星はいなくなり、春の星が見えています。金星が一人気を吐いている感じですなー。
5月20日午後9時の空でございますよ。
金星と月の接近日 5月23日、6月22日
金星がしばらく主役です。夕方の空に明るく強烈に見え続けます。
特によいのが月との接近です。5月23日は、かなり近づき、見応えがあります。前22日と翌24日はちょいと離れますが、それも良きって感じです。
5月6日未明(5月5日深夜過ぎ)は「半影」月食
5月5~6日にかけての深夜過ぎ。月食があります。ただし、半影月食といって、あらわには欠けず、地球の影の一部がうっすら月にかかるという感じでございます。
最も欠けるのは2時23分(深夜の)です。写真で撮影するとわずかに縁がくらくなるのがわかるようなわからんような、そんな感じかと思います。
ということで、2023年も天文現象楽しんでいきましょー。