2022年12月1日は、火星が地球に最接近する日です。日が沈むころ、東の空に「なーんか明るい赤っぽい星」が見えるのですが、それが火星でございます。接近にはランクがありまして、今回は「中接近」。数ヶ月は楽しめるので、まあチェックしてくださいな。という話でございますよ。
火星。地球のすぐ外側の惑星ですな。この火星は2年2ヶ月ごとに地球に接近し、近いぶん、明るく見えます。直近の接近は2022年12月1日。「あ、この原稿の公開日あたりだねー」(しらじらしい))。ということで、今回は火星の接近について書いておきます。といいつつ、接近については、この連載でも2年2ヶ月ごとにお話ししてきておりまして、たとえば、この連載の第21回とか、第68回とか、第127回とかでございますな。
なんども書いていますので、うんちく系は過去の連載を読んでいただければと思うのです。そんなに大幅にニュースとしては変わっておりませんので。まあ、探査機のうちインサイトがそろそろ機能停止かなとか、そういう話があったり、今をときめくテスラでスペースXでTwitterなイーロン・マスクさんが、マジで火星に人類を送りつける野望を持っているとか。あ、鳥嶋真也さんがちゃんとレポートしてました。さすがですな。
で、まあ、適当でいいかなあと思っていたのですが、日々火星を見ながら、接近で異様に明るくなっている様子を見て、いや、やはり、語っとかなければと思った次第でございます。ま、そんなことはどーでもいいか。
さて、ということで2022年12月1日に火星は2年2か月ぶりの接近をします。ただし、10日や1ヶ月くらいずれていても接近ぶり=明るくなっている様子を肉眼で楽しむことができます。単純に、夜空で一番明るい赤い星が火星なので、見つけるのは簡単です。夕方~夜半は東、深夜に南、明け方には西と移りますが、一晩中いつでも楽しめます。一応、火星の位置を星座早見板っぽく示すと下の図の通りです。アストロアーツ社のステラナビゲータという天文シミュレーションアプリを使いましたよ。なお、スマホでは、名古屋市科学館が開発した星座早見というアプリを使うと、火星の位置も表示されますのでおすすめ。
なお、火星接近の理屈などは、私の過去の記事や、国立天文台の記事などをご参照いただくと、まあ「学校で生徒に教える」とかいうシチュエーションには役立つかと。
なお、火星の接近は長く楽しめます。数ヶ月単位です。
2日したら見えなくなっちゃう流星群とか2時間したらもう終わっている皆既月食とはわけが違うのです。
え? ほんとかって? えー、ステラナビゲータには、惑星の明るさの変化をグラフ化する機能があるので、ちょっと調べてみました。
まずは、10年分のグラフ。今回の接近は真ん中です。2年2ヶ月ごとにキュッと明るくなるのがわかりますな。そして、接近ごとに明るくなり方は変わります。これは火星の軌道が楕円形をしていて、接近する場所によって距離が違うからです。今回は中くらいというのがなんとなく見て取れますでしょうか?
さらに、今回の接近をはさんで、前後半年の様子です。
-1等と-2等のところに赤い線が引っ張っています。ちょいと見にくいかもしれませんが、まあ接近後1ヶ月は-1等以上。そのあともしばらく明るいことがわかりますな。
なお、青い線は接近の日なのですが、明るさのピークはそのチョイ後ということがわかります。
これは、火星と地球の距離だけでなく、火星の「満ち欠け」が関係するからです。太陽-地球-火星と並んだとき(業界用語では衝(しょう)といいます)が「満火星」なのですが、接近の時は満火星よりちょいと前なのです。太陽-地球-火星となるのは12月8日です。12月1日の距離は、0.544天文単位。12月8日は0.549天文単位と1%ほど遠いのですが、それよりもわずかに欠けている(数パーセント)が効くのですな。また、衝効果といって、真正面から光を跳ね返すときがひときわ明るく見えるのも効いています。でも、まあ見た目には「ほとんど同じ明るさが2週間続く」。と思って間違いないです。
ちなみに火星は地球の100分の1程度と薄いながらも空気があるため、気象現象がありまして、その加減でも明るさが変化します。火星をモニター観測している天文家によると、砂嵐はそれなりに発生しているようですが、さてどうなりますか。
さて、そういうことで、12月はぜひ明るい火星とチラチラチェックしていただければということですが、もう1つ。近所にオリオン座があることを利用して、位置変化を感じるのもおもしろいですよ。1ヶ月分の簡単なGIFアニメを作ってみましたので、ご笑覧ください。
いまや iPhoneでも星が写せますから、これと同じように実写をしてタイムラプスを作ってもおもしろいかもですね。