ブラス、白銅、ピューター、そして超合金。今回は、合金について話します。あ、金属材料についてのキチンとしたサイエンスに踏み込めないので、ゆるーく読んでくださいませ。半ば備忘録です。
昭和な人たちは、超合金と言う言葉にビビッと反応します。おもちゃ大手のバンダイさんが、ロボットアニメの主人公メカを金属のミニ模型で作ったものを「超合金」と称したのですな。もう「アニメ史」といっていい、50年前に少年ジャンプで連載開始の巨大戦闘ロボットアニメ。マジンガーZのそれが嚆矢です。1974年スタートだそうです。昭和49年ですな。ずっしりと重く、緻密な造形の金属おもちゃは、別格でした。その頃買えた|買えなかった少年少女(今は……)を狙ってか、超合金魂がリリースされております。うん、やっぱ今も買えないかも。ちなみに超合金というのは、マジンガーZの話の中で、マジンガーZが超合金Zで作られているという設定に基づいているんだそうです。当初はダイキャストだったそうで、これは鋳物、金属を溶かして型に流し込んで作る作り方の名前です。鋳物マジンガーZでは微妙なので、ダイキャスト、さらに超合金。ネーミングのセンスですなー。
さて、この時代の人は合金という言葉を、この超合金オモチャで「かっこいいもの」と刷り込まれています。ちなみに、超合金をオモチャでなく、真面目にググると、「航空用や発電用をはじめとするガスタービンのタービンブレードなど、高度な耐熱性が必要とされる部位に用いられる合金 (Wikipedia)」だそうです。オモチャにそんなもの使うわけがないわけで、はい、名前でございますな。
なお、この(本物の)超合金を入手するなら、航空マニアに聞けば良いです。よく「F15イーグルのエンジンのブレード持ってる」とかいう人がいるのですが、どこで入手するのかしらってなもんですが。……あ、ANAとかが売ってたりするんだ。へー、そういえばどこぞの空港の売店で見たような見てないような……。
さて、合金に戻りますな。合金は、複数の金属を混ぜ合わせたものです。なんというか大抵の身のまわりにあるものは、純粋な単体の金属である方が希少な位ですな、24金とかプラチナ99.99%のインゴッドとかですな。だいたい純粋にするのに、どれだけ苦労するのかってなもんです。自然金のような例外はありますけどね。
代替ピュアなものは色々弱点を持っています。やたら柔らかくて使いにくい金とか、すぐ錆びる鉄とか、銅もそうですな。銅も金も純度が高いのは電線として重宝されていますがそんなものです。
そして、複数の金属を溶かして混ぜると、硬いとか錆びにくいとか良い性質を持つので、合金は重宝されます。色々な合金をリストしてみましょう。
青銅(ブラス)
人類最初の合金は、おそらく青銅で、銅とすず(あと亜鉛とか鉛を適宜少々)を混ぜることで、硬くなることを利用しています。ちなみに青銅といっていますが、黄色かったりしますよ。
青銅は、身近なところでは、十円玉がそうです。あと、青銅は「ブラス」とも言いますな。そう、ブラスバンドに使われる、トランペットなどは青銅で、そこにクロームや銀などでメッキをしているものです。
ステンレス
一方、身近な合金といえば、ステンレスですな。ステンレスは以前の連載で書きましたので詳しくは省略しますが、錆びないが、強い鉄というのは、非常に使いでがあるわけです。また、ステンレスはほぼ磁性がなくなるので、これも鉄としてはおもしろいですな。
白銅、赤銅
50円玉や100円玉に使われるのが白銅です。え? 100円玉って銀貨じゃなかったのと思わず言いたくなります。貨幣については、国の貨幣を作っている大阪の造幣局のサイトが詳しいですな。銅とニッケルの合金ですね。
あと、あまりお目にかかりませんが、金と銅の合金が赤銅です。工芸品などに使われているそうです。
ニクロム
熱線として使われるニクロムも、合金の名前です。ニッケル+クロムでニクロム。わかりやすーい。
マグネシウム合金
マグネシウムは単体の金属ですが、アルミと混ぜて作るものですな。丈夫で軽いものを作るのに使われます。カメラとかによく使われてきました。
はんだ
はんだ付けのはんだは、電気を通し、かつ溶けやすいという条件を満たす合金で、鉛とすずの合金です。鉛が有害なので、すずと亜鉛のはんだもあります、というか、最近はそちらが主流ですかね。
ピューター
すずに銅、鉛、アンチモンなどを少量混ぜた合金で、美しいので工芸に使われますね。花瓶とかね。
さて、調べていると色々ありすぎるのでこれくらいにしておきます。ところで、私ちょっと勘違いしていまして、ブリキとトタンは合金ではないのですよ。
合金でないもの…ブリキ、トタン
一方、合金っぽいのですが、そうでないのがブリキです。ブリキは鉄の板にスズで表面処理をした合板です。もちろん錆びにくいことと鉄の丈夫さ、そしてステンレスより安いということがポイントですな。
トタンは、亜鉛メッキをしたものです。ブリキと並んでよく使われますな。最近はガルバニウム鋼板というのがトタンに代わってよく使われます。トタン+アルミとケイ素がドーピングされていて、傷がつくとアルミが変質してそれを自己修復するという優れものです。まあ、トタンのアップグレード版ですな。
いずれも、瓦屋根よりもずっと軽く、同じように丈夫な屋根が作れるので活用されていますね。メッキも面白いですな。