人間はだれでも、食べずに時間がたつと腹が減ります。それは山の上でも、海の底でも、宇宙空間でも同じ。ということで今回は宇宙メシの話です。ところが、なんと東明、幼少のみぎり、どこぞで購入した宇宙食が「フリーズドライの技術を使っているもの」と知って以来、どうも冷めておりまして、これまでずーっとスルーしていました。脳みそが歯磨きチューブからしぼり出すところからアップデートしておりませんでしたー。ということで、今回宇宙メシ(私が)入門編でございます。
このところ、民間の宇宙旅行が活性化しております。ロシアのソユーズで国際宇宙ステーションに行った前澤さん、平野さんのお二人のような、いかにもというものから、パワーポイントの使用が禁止されている会社Amazonの創業者のジェフ・ベゾスが率いるブルーオリジンで開発した有人宇宙船ニュー・シェパードで、ジェフ自らが登場して高度100kmの宇宙まで行ってもどってくる弾道飛行を行いこれを商業化するなど、2021年はついに職業宇宙飛行士よりも、民間人の旅行者の方が宇宙に行った人数が多くなっております。
なかには、テスラモーターズのCEOイーロン・マスクが率いるスペースXのクルー・ドラゴンで行われたインスピレーション4ミッションのように、億万長者が3人を選んで招待するというケースもございまして、なんというか「私も宇宙旅行、ワンチャンあるんじゃね」という感じになりつつあるような、ないような、でございます。
そうなると、心配になるのはメシですな。不肖しののめ、味音痴で、「あの」アメリカでも「あの」英国でも「あの」ドイツでも、タコスラップやら、フィッシュ&チップスやらザワークラフトの山盛りを「うまい!、うん、うまい!!」と同行者に「えーっ、マジ?」という顔をされながらウマウマと食べる雑な舌をしております。しかし、食べないとそれはあかんわけでして「腹が…減った…」と自然、孤独のグルメなイ・ノ・カ・シ・ラ フーとなってしまうわけでございます。
ただ、宇宙メシっていうと、あれでしょ、歯磨きチューブみたいに入っていて、がっついて食べられないイメージがございますなあ。
「まずはコイツからだ。一見歯磨きチューブ、しかし、側面にロシア語でビーフ&レバーのペーストとある。まちがって本当に歯磨きが入っているなんて事故が1000回に1回くらいないだろうな。…まあ、これは、もんで口腔に迎えるわけだな。あるいは吸うのか。人類の英知は人類の勇気も必要とするわけだ。あたかも、火を最初に使った200万年前の原人のごとし。間違っても歯につけてはいけない。いざ!… うーん、食感がない、ニュルニュルとでてくるのが…気持ち悪い。しかし、これしか食い物がない…、次はチョコレートソースか、駄菓子屋で食べましたねー、チョコっとね…さて、これは、むむ、意外や美味。よーしよし、許すチューチューチョコレート。」
人類が最初の宇宙メシは、1961年宇宙に最初に行った旧ソ連の宇宙飛行士ユーリ・ガガーリンがボストーク1号内で食べたものです。ガガーリンは宇宙に地球一周の108分間=1時間48分間。帰還は宇宙船からパラシュート射出でございました。これくらいの時間だとメシを食わないでもよい感じですが、まあ、実験という意味もあったんでしょうね。食べたんですね。ギネスブックのギネス世界記録のWEBページによると食事は食べかすがでないアルミの歯磨きチューブのようなものに入った(でたー!)もので、牛肉とレバーの練り物だそうです。それに別のチューブに入ったチョコレートのソースがあったとか。
アメリカは1962年にジョン・グレン宇宙飛行士が宇宙メシを味わっています。さすがにアメリカ航空宇宙博物館が詳しく記事にしています。やはり口に直接絞り出すチューブで牛肉と野菜、水でキシロース(木糖)の錠剤をのんだりしたようですな。正直うまいものではなかったとのことでございます。ただ、宇宙メシを食べることには支障なしということがわかったようですな。
その後、アメリカは宇宙遊泳などを伴うジェミニ計画や月探査のアポロ計画など宇宙滞在が数日以上にわたることになり、フリーズドライの食品を搭載するようになります。水で戻すあれですな。スープとかでよくお世話になっております。凍結(フリーズ)した後、真空にして水分を飛ばし乾燥(ドライ)させるテクニックで1960年代、まさに宇宙開発の黎明期に発明されました。元々は輸血用の血液を長距離輸送するために開発されたとか、米軍の携帯食料のために開発がすすめられたそうですな。
で、科学館の売店などでよくみかけるアルミの軽いパッケージに入っている「宇宙食」は、このフリーズドライを利用したものをよく見ますね。
ただ、現在は宇宙メシはもっと多様です。国際宇宙ステーションなどは広い場所使えることもあって、殺菌されパックに入って長期保存をされ(1年とか持つとか、まあ災害食とかそうだもんね)、加熱などの簡易調理で食べられるようになっているものの、ハンバーガーやサラダ、ステーキなど、普通のメシとそうかわりません。
補給の直後ならば、生鮮食料品もアリで、みかんやシャインマスカットなども食べられるそうです。補給といえば、前澤さんが国際宇宙ステーションに滞在するさい、Uber Eatsのデリバリーマンになったというニュースがありましたな。ただ、このときは生鮮食品ではなく缶詰だったそうですが。で、このあたりはJAXAが丁寧なページを作っているので、入門してしったかぶってるしののめの文章より、そちらを読んでいただいた方がよいかなと思いますね。
またちゃんとNASAなど機関認証さえされれば、好きな食品をある程度持って行くこともできます。森永の粉ミルク、キッコーマンのしょうゆ、ハウスのカレーなど様々な宇宙食も作られていますしね。
また、宇宙系のグッズを扱う老舗のBCCさんでは、フリーズドライの宇宙食のほか、宇宙おにぎりなどそうした最近の宇宙メシもちゃんと扱っていますな。
で、宇宙で人間の味わいが変化するのに対応するような食事ということになっているようです。濃い味を好むとどこかで読んだのですが、めずらしく出典を忘れております。
ちな、日本人宇宙飛行士は、カレーとかラーメンとかを持ち込んでいます。宇宙に行ってもカレーかよという感じですが、外国行っても梅干しとお茶漬けが食べたいのとまあ似ていますね。ソウルフード大事ですな。
将来は地産地消というか、栽培したもので食べるのでしょうけど。光はまあ得られるし人間の活動由来の二酸化炭素はあるわけなので、そういう開発も進んでいるようです。またスペース効率よく栽培できるミドリムシを使ったらどう(by ユーグレナさん)という話もありますし。思わぬ方向に行くかもしれません。
ということで、宇宙で「腹が…減った…」ら結構、普通の宇宙メシが食えるということのようで、とりあえず、しののめ宇宙メシの入門は果たせた、と思います。
しかし腹が減ったなー。